補給物資、万葉集試訳

■補給物資

  • MacGyver TV 1~7 Season + Movie

万葉集試訳

2670 【承前,百八十九之五二。】
 真素鏡 清月夜之 湯徙去者 念者不止 戀社益
 真十鏡(まそかがみ) 清月夜(きよきつくよ)の 徙去(ゆつり)なば 思(おも)ひは止(や)まず 戀(こひ)こそ筯(ま)さめ
 無曇真十鏡 清澄明晰月夜之 徙去西沉者 相思之情不能止 唯有戀慕更徒筯
佚名 2670

「真十鏡(まそかがみ)」,「清月夜(きよきつくよ)」之枕詞。
「徙去(ゆつり)なば」,「徙去(いうつり)なば」之略。
「思(おも)ひは止(や)まず」,在月仍掛天之時。可賞月以分散心情,月沉之後,則滿心為思念所占滿。
類歌2673。

2671 【承前,百八十九之五三。】
 今夜之 在開月夜 在乍文 公叫置者 待人無
 今夜(こよひ)の 有明月夜(ありあけつくよ) 在(あり)つつも 君(きみ)を置(お)きては 待人(まつひと)も無(な)し
 洽猶今夜之 有明月者之所如 天明月仍在 吾心堅定久不渝 除君以外無待人
佚名 2671

有明月夜(ありあけつくよ)」,天亮之後仍掛於西空之月。此為「在(あり)」之序。
「在(あり)つつも」,一直愛著對方,未嘗變心。

2672 【承前,百八十九之五四。】
 此山之 嶺爾近跡 吾見鶴 月之空有 戀毛為鴨
 此山(このやま)の 嶺(みね)に近(ちか)しと 我(わ)が見(み)つる 月空(つきのそら)なる 戀(こひ)もするかも
 吾人有所思 度其此時在何處 蓋近此山巔 吾人所戀當奈何 恰似月空懸天邊
佚名 2672

「我(わ)が見(み)つる」,「見つる」乃判斷、推定。
「月空(つきのそら)なる」,首句以來,月字為止,乃空之序。

2673 【承前,百八十九之五五。】
 烏玉乃 夜渡月之 湯移去者 更哉妹爾 吾戀將居
 烏玉(ぬばたま)の 夜渡(よわた)る月(つき)の 移去(ゆつり)なば 更(さら)にや妹(いも)に 我(あ)が戀居(こひを)らむ
 漆鄢烏玉兮 闇夜所渡皎月之 徙去西沉者 相思之情不能止 唯有戀慕更徒筯
佚名 2673

「徙去(ゆつり)なば」,「徙去(いうつり)なば」之略。
類歌2670。

2674 【承前,百八十九之五六。】
 朽網山 夕居雲 薄徃者 余者將戀名 公之目乎欲
 朽網山(くたみやま) 夕居(ゆふゐ)る雲(くも)の 薄行(うすれゆ)かば 我(あれ)は戀(こ)ひむな 君(きみ)が目(め)を欲(ほ)り
 九重朽網山 頂上蟠踞夕雲之 淡去薄徃者 余者相思情更甚 欲拜君眉不能
佚名 2674

「夕居(ゆふゐ)る雲(くも)の」,「居る」只蟠踞山上不動之雲。
「我(あれ)は戀(こ)ひむな」,「な」為詠嘆終助詞。
「君(きみ)が目(め)を欲(ほ)り」,想見戀人一面。

2675 【承前,百八十九之五七。】
 君之服 三笠之山爾 居雲乃 立者繼流 戀為鴨
 君(きみ)が著(き)る 御笠山(みかさのやま)に 居雲(ゐるくも)の 立(た)てば繼(つ)がるる 戀(こひ)もするかも
 吾君所戴兮 御蓋三笠山頂上 叢雲之所如 層層湧出繼綿延 此戀源源無絕時
佚名 2675

「君(きみ)が著(き)る」,用以修飾地名「御笠」之枕詞。或訓「君(きみ)の著(き)る」。
「居雲(ゐるくも)の」,以上為「立」之序。
「立(た)てば繼(つ)がるる」,持續思念,如天雲持續湧出不斷。「るる」表自發。
類歌373。山部赤人「高座の 三笠山に 鳴鳥の 止めば繼がるる 戀もする哉」https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m03.htm#0373

2676 【承前,百八十九之五八。】
 久堅之 天飛雲爾 在而然 君相見 落日莫死
 久方(ひさかた)の 天飛(あまと)ぶ雲(くも)に 在(あり)てしか 君(きみ)をば相見(あひみ)む 落(お)つる日無(ひな)しに
 遙遙久方兮 飛翔蒼穹高天雲 願得騰雲矣 妾身欲往與相見 莫有不念吾君時
佚名 2676

「在(あり)てしか」,「てしか」為願望終助詞。
「落(お)つる日無(ひな)しに」,「落つる」表欠落。
希望化身天雲,騰空與戀人相會。

2677 【承前,百八十九之五九。】
 佐保乃內從 下風之 吹禮波 還者胡粉 歎夜衣大寸
 佐保內(さほのうち)ゆ 嵐風(あらしのかぜ)の 吹(ふ)きぬれば 歸(かへ)りは知(し)らに 嘆(なげ)く夜(よ)そ多(おほ)き
 自於佐保內 疾猛嵐風吹拂者 道路為所遮 雖欲歸去不知方 徒然長嘆夜多矣
佚名 2677

「佐保內(さほのうち)ゆ」,「ゆ」表自從。
「嵐風(あらしのかぜ)の」,自山上吹下之山嵐
「歸(かへ)りは知(し)らに」,無術可歸。就歌詞難以判斷該歸去何處。

2678 【承前,百八十九之六十。】
 級寸八師 不吹風故 玉匣 開而左宿之 吾其悔寸
 愛(は)しきやし 吹(ふ)かぬ風故(かぜゆゑ) 玉櫛笥(たまくしげ) 開(あ)けて小寢(さね)にし 我(われ)そ悔(くや)しき
 慎矣愛憐兮 竟以不吹之風故 珠匣玉櫛笥 開而敞兮孤寢之 獨守空閨吾甚悔
佚名 2678

「愛(は)しきやし」,可憐自身,感到哀憫。底本原文「級子八師」,此依『萬葉考』訂之。
「吹(ふ)かぬ風故(かぜゆゑ)」,夏日天暑,夜間倘開門戶以令風吹納涼。然風不拂。比喻等待男子來訪,而男方不至。
「玉櫛笥(たまくしげ)」,「開」之枕詞。

2679 【承前,百八十九之六一。】
 窗超爾 月臨照而 足檜乃 下風吹夜者 公乎之其念
 窗越(まどご)しに 月臨照(つきおして)りて 足引(あしひき)の 嵐吹夜(あらしふくよ)は 君(きみ)をしそ思(おも)ふ
 越窗灑落而 明月臨照耀空閨 足曳勢嶮兮 山嵐疾拂此月夜 難忍相思總念君
佚名 2679

「窗越(まどご)しに」,此窗形式不明。或為連子窗,或為張紙之間戶。
「月臨照(つきおして)りて」,「おし」乃自高處放光之狀。原文「臨照」為漢語表現。
「足引(あしひき)の」,「山嵐」之枕詞。

2680 【承前,百八十九之六二。】
 河千鳥 住澤上爾 立霧之 市白兼名 相言始而言
 川千鳥(かはちどり) 棲(す)む澤上(さはのうへ)に 立霧(たつきり)の 灼然(いちしろ)けむな 相言始(あひいひそ)めてば
 河邊川千鳥 所棲水際澤之上 湧霧之所如 灼然可為他人見 吾等若始相言者
佚名 2680

「川千鳥(かはちどり)」,棲息川邊之千鳥。雖然現在多指桑鳲千鳥,上代卻未必如此。
「立霧(たつきり)の」,以上為「灼然」之序。
「灼然(いちしろ)けむな」,顯目。

2681 【承前,百八十九之六三。】
 吾背子之 使乎待跡 笠毛不著 出乍其見之 雨落久爾
 我(わ)が背子(せこ)が 使(つかひ)を待(ま)つと 笠(かさ)も著(き)ず 出(い)でつつそ見(み)し 雨降(あめのふ)らくに
 相思情難忍 為待夫子信使來 不著笠蓋而 迫不及待出而見 縱然雨零無所懼
佚名 2681

「使(つかひ)を待(ま)つと」,「と」乃「とて」,用以表其意圖。
「笠(かさ)も著(き)ず」,為令對方清楚分辨自己。
3121重出。

2682 【承前,百八十九之六四。】
 辛衣 君爾內著 欲見 戀其晚師之 雨零日乎
 韓衣(からころも) 君(きみ)に打著(うちき)せ 見(み)まく欲(ほ)り 戀(こ)ひそ暮(く)らしし 雨降(あめのふ)る日(ひ)を
 妙裁韓衣矣 欲令吾君試著而 量見其裄丈 如斯戀慕不能抑 徒然虛度雨降日
佚名 2682

「韓衣(からころも)」,舶來品之華麗衣服。此云欲令戀人穿著之衣裝。
「君(きみ)に打著(うちき)せ 見(み)まく欲(ほ)り」,欲使戀人穿上,或試穿以丈量裄丈。

2683 【承前,百八十九之六五。】
 彼方之 赤土少屋爾 霡霂零 床共所沾 於身副我妹
 彼方(をちかた)の 埴生小屋(はにふのをや)に 小雨降(こさめふ)り 床(とこ)さへ濡(ぬ)れぬ 身(み)に添(そ)へ我妹(わぎも)
 遙遙彼方之 赤土埴生小屋上 霡霂小雨零 以其床為漬濡故 來添此身吾妹矣
佚名 2683

「彼方(をちかた)の」,「彼(をち)」指遠方,乃「此(こち)」之對。
「埴生小屋(はにふのをや)」,以赤土所築之小屋。
「小雨(こさめ)」,原文「霡霂」與「霢霂」通。『爾雅』云:「霢沐,小雨也。」
「床(とこ)さへ濡(ぬ)れぬ」,此云連地板皆為淋濕,因而呼籲女方來此與之共度。

2684 【承前,百八十九之六六。】
 笠無登 人爾者言手 雨乍見 留之君我 容儀志所念
 笠無(かさな)しと 人(ひと)には言(い)ひて 雨障(あまつつ)み 留(とま)りし君(きみ)が 姿(すがた)し思(おも)ほゆ
 藉口無雨笠 言於他人而請暇 奉為雨障而 昔日留宿不歸去 君之光儀吾所念
佚名 2684

「笠無(かさな)しと」,因為未攜帶斗笠。
「雨障(あまつつ)み」,為防遭雨淋濕,而避居家中。此云留置女方之家,而不歸去。

2685 【承前,百八十九之六七。】
 妹門 去過不勝都 久方乃 雨毛零奴可 其乎因將為
 妹(いも)が門(かど) 行過兼(ゆきすぎか)ねつ 久方(ひさかた)の 雨(あめ)も降(ふ)らぬか 其(そ)を由(よし)に為(せ)む
 朝思暮想之 伊人門楣難行過 遙遙久方兮 天雨欲得可降哉 願以為由借雨宿
佚名 2685

「行過兼(ゆきすぎか)ねつ」,無法過門而不入。
「雨(あめ)も降(ふ)らぬか」,「ぬか」表希求。
「其(そ)を由(よし)に為(せ)む」,借避雨為由而見心上人一面。

2686 【承前,百八十九之六八。】
 夜占問 吾袖爾置 白露乎 於公令視跡 取者消管
 夕占問(ゆふけと)ふ 我(わ)が袖(そで)に置(お)く 白露(しらつゆ)を 君(きみ)に見(み)せむと 取(と)れば消(け)につつ
 夕占問待人 所置吾袖衣手上 白露誠剔透 吾惜彼晶瑩欲令視 將手取者逝無蹤
佚名 2686

「夕占問(ゆふけと)ふ」,黃昏時刻,至八十衢聽聞熒惑洩漏天機,以占戀人來否。
「我(わ)が袖(そで)に置(お)く 白露(しらつゆ)を」,或訓「袖」為ころもで,此依仙覺本、神宮文庫本、𥶡元本系。
「取(と)れば消(け)につつ」,欲以手取露珠,則瞬時消逝無蹤。

2687 【承前,百八十九之六九。】
 櫻麻乃 苧原之下草 露有者 令明而射去 母者雖知
 櫻麻(さくらあさ)の 麻生下草(をふのしたくさ) 露(つゆ)しあれば 明(あ)かしてい行(ゆ)け 母(はは)は知(し)るとも
 夏日櫻麻茂 苧田麻生下草者 以其露有者 不妨宿此度終夜 縱令母知無所惜
佚名 2687

「櫻麻(さくらあさ)の」,櫻麻為麻之一種,『古今和歌集』雜歌上有「櫻麻の、麻生の下草、老いぬれば。」https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/kokin/kk17.htm#892
「麻生下草(をふのしたくさ)」,麻生指麻畑。
「明(あ)かしてい行(ゆ)け」,「明かし」為通夜而明。
「母(はは)は知(し)るとも」,縱使因此令母親知道兩人之關係也無所謂。

2688 【承前,百八十九之七十。】
 待不得而 內者不入 白細布之 吾袖爾 露者置奴鞆
 待兼(まちか)ねて 內(うち)には入(い)らじ 白栲(しろたへ)の 我(わ)が衣手(ころもで)に 露(つゆ)は置(お)きぬとも
 迫不及待而 出外引領不入內 白妙敷栲兮 吾衣袖雖沾露濕 無意枯守空閨中
佚名 2688

「待兼(まちか)ねて 內(うち)には入(い)らじ」,女性無法安於枯待家中。

2689 【承前,百八十九之七一。】
 朝露之 消安吾身 雖老 又若反 君乎思將待
 朝露(あさつゆ)の 消易(けやす)き我(あ)が身(み) 老(お)いぬとも 又變若返(またをちかへ)り 君(きみ)をし待(ま)たむ
 朝露之所如 稍縱即逝此身者 縱然年事高 仍將返老更還童 復若以待君至來
佚名 2689

「又變若返(またをちかへ)り」,「若返(をちかへ)り」乃再度變得年輕。
類歌3043。

2690 【承前,百八十九之七二。】
 白細布乃 吾袖爾 露者置 妹者不相 猶豫四手
 白栲(しろたへ)の 我(わ)が衣手(ころもで)に 露(つゆ)は置(お)きぬ 妹(いも)は逢(あ)はさず 猶豫(たゆたひ)にして
 白妙敷栲兮 吾人衣手襟袖上 置露沾漬濕 伊人遲遲不予逢 蓋是猶豫不能
佚名 2690

「露(つゆ)は置(お)きぬ」,表示自身在外久待,以致衣袖結露。
「妹(いも)は逢(あ)はさず」,「逢(あ)はす」乃「逢ふ」之敬語。
「猶豫(たゆたひ)にして」,此云女方內心動搖,猶豫不決。

2691 【承前,百八十九之七三。】
 云云 物者不念 朝露之 吾身一者 君之隨意
 云云(かにかく)に 物(もの)は思(おも)はじ 朝露(あさつゆ)の 我(あ)が身一(みひと)つは 君(きみ)が隨(まにま)に
 吾不復煩惱 沉澱此思莫忐忑 朝霧之所如 儚幻虛渺此一身 隨君恣意任汝命
佚名 2691

「云云(かにかく)に」,「か」乃指稱遠方之指示語,與かく相對。如此這般,如是那樣。想東想西。
「朝露(あさつゆ)の 我が身」,如朝露般稍縱即逝,虛無飄渺之自身命數。

2692 【承前,百八十九之七四。】
 夕凝 霜置來 朝戶出爾 甚踐而 人爾所知名
 夕凝(ゆふこ)りの 霜置(しもお)きにけり 朝戶出(あさとで)に 甚(いたく)し踏(ふ)みて 人(ひと)に知(し)らゆ莫(な)
 以其夕凝之 霜露降置結地者 朝戶出歸時 切莫甚踐留跡矣 相睦莫令他人知
佚名 2692

「夕凝(ゆふこ)りの」,露霜於夜晚結置之狀。
「朝戶出(あさとで)に」,於戀人處過夜,而朝早開門時歸去。
「甚(いたく)し踏(ふ)みて 人(ひと)に知(し)らゆ莫(な)」,莫在露霜上留下足跡,而令他人知悉兩者之情事。

2693 【承前,百八十九之七五。】
 如是許 戀乍不有者 朝爾日爾 妹之將履 地爾有申尾
 如是許(かくばか)り 戀(こ)ひつつあらずは 朝(あさ)に日(け)に 妹(いも)が踏(ふ)むらむ 地(つち)にあら益(まし)を
 戀慕如此許 相較常苦相思者 不若化黃土 無論日出或當中 伊人可踐不相離
佚名 2693

「朝(あさ)に日(け)に」,「日(け)」指正午。
「妹(いも)が踏(ふ)むらむ」,らむ表恆常事實之現在推量語。
古時訪妻制,夜至戀人住處纏綿,朝日歸去,且不欲他人知之。故云比起苦於相思之情,不若化作女方家前的土地,時時可以與之接觸。

2694 【承前,百八十九之七六。】
 足日木之 山鳥尾乃 一峰越 一目見之兒爾 應戀鬼香
 足引(あしひき)の 山鳥尾(やまどりのを)の 一峰越(ひとをこ)え 一目見(ひとめみ)し兒(こ)に 戀(こ)ふべき物(もの)か
 足曳勢險峻 山鳥雉尾之所如 需越一峰而 方能一面窈窕女 吾竟戀慕至如此
佚名 2694

山鳥尾(やまどりのを)の」,以「尾」同音而起「峰」之序。山鳥屬雉科。
「一峰越(ひとをこ)え」,「峰(を)」指山之脊部。
「戀(こ)ふべき物(もの)か」,責問自嘲自己之輕率。自己怎麼愛上必須翻山越嶺才能見得一面的女性。

2695 【承前,百八十九之七七。】
 吾妹子爾 相緣乎無 駿河有 不盡乃高嶺之 燒管香將有
 我妹子(わぎもこ)に 逢由(あふよし)を無(な)み 駿河(するが)なる 富士高嶺(ふじのたかね)の 燃(も)えつつかあらむ
 吾與我妹子 相隔已久無逢由 唯如駿河國 富士高嶺不二峰 燃煙裊裊無絕時
佚名 2695

「富士高嶺(ふじのたかね)の」,富士山之噴火紀錄以天應元年最古,然萬葉集可見詠其噴煙之曲多有。
「燃(も)えつつかあらむ」,此云新中思念之慕火無息,為戀苦所焦烤,永無絕日。

2696 【承前,百八十九之七八。】
 荒熊之 住云山之 師齒迫山 責而雖問 汝名者不告
 荒熊(あらぐま)の 住(す)むと云(い)ふ山(やま)の 師歯迫山(しはせやま) 責(せ)めて問(と)ふとも 汝(な)が名(な)は告(の)らじ
 人云荒熊之 所以棲息此山間 師歯迫山矣 縱遭百般責問者 吾仍不願告汝名
佚名 2696

「荒熊(あらぐま)の」,性質荒爆之熊。
「師歯迫山(しはせやま)」,未詳所在,以上乃借「迫(せ)」帶出「責(せ)」之序文。
「責(せ)めて問(と)ふとも」,主語蓋為母親。
「汝(な)が名(な)は告(の)らじ」,一般和歌中汝為男對女之指稱,此為相反。
作者遭母親逼問雙雙之關係,女方三緘其口不予吐實。

2697 【承前,百八十九之七九。】
 妹之名毛 吾名毛立者 惜社 布仕能高嶺之 燎乍渡
 妹(いも)が名(な)も 我(わ)が名(な)も立(た)たば 惜(を)しみこそ 富士高嶺(ふじのたかね)の 燃(も)えつつ渡(わた)れ
 惜妹浮名立 亦憚吾之虛名起 以懼蜚語傳 是以思火心中藏 燃度猶富士高嶺
佚名 2697
 或歌曰:「君名毛,妾名毛立者,惜己曾,不盡乃高山之,燎乍毛居。」
 或歌曰:「君(きみ)が名(な)も、我(わ)が名(な)も立(た)たば、惜(を)しみこそ、富士高嶺(ふじのたかね)の、燃(も)えつつも居(を)れ。」
 或歌曰:「惜君浮名立 亦憚妾身虛名起 以懼蜚語傳 是以思火心中藏 燎居猶富士高嶺」

「惜(を)しみこそ」,受詞為上句之假定條件。
「燃(も)えつつ渡(わた)れ」,「渡(わた)る」指活下去。
表歌為男性視點,或歌為女性視點。

2698 【承前,百八十九之七十。】
 徃而見而 來戀敷 朝香方 山越置代 宿不勝鴨
 行(ゆ)きて見(み)て 來(く)れば戀(こひ)しき 朝香潟(あさかがた) 山越(やまご)しに置(お)きて 寐(い)ね難(かて)ぬかも
 雖徃而逢見 一旦歸來戀慕筯 淺鹿朝香潟 留置彼處越嶺者 輾轉反覆甚難眠
佚名 2698

「朝香潟(あさかがた)」,此明寫留戀當地風光,暗喻對戀人之思念。「あさか」0121「夕去らば 潮滿來なむ 住吉の 淺香浦に 玉藻刈りてな」書淺鹿,此云朝香者有呼應朝日歸去之感。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m02.htm#0121

2699 【承前,百八十九之八一。】
 安太人乃 八名打度 荑速 意者雖念 直不相鴨
 阿太人(あだひと)の 梁打渡(やなうちわた)す 荑(せ)を早(はや)み 心(こころ)は思(おも)へど 直(ただ)に逢(あ)はぬかも
 阿太養鸕部 所以作梁取魚之 湍荑疾且速 是以吾心雖戀焦 苦無方法能立逢
佚名 2699

「阿太人(あだひと)」,居於阿太之人。『日本書紀神武天皇即位前紀云「緣水西行,亦有作梁取魚者。天皇問之。對曰:「臣是苞苴擔之子。」此則阿太養鸕部始祖也。」https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/syoki/syoki03.htm#sk03_03
「梁打渡(やなうちわた)す」,打杭堰水,以捕魚之法。
「荑(せ)を早(はや)み」,以水流湍急隱喻周圍不支持兩人相戀。


2700 【承前,百八十九之八二。】
 玉蜻 石垣淵之 隱庭 伏雖死 汝名羽不謂
 玉限(たまかぎ)る 岩垣淵(いはかきふち)の 隱(こも)りには 伏(ふ)して死(し)ぬとも 汝(な)が名(な)は告(の)らじ
 玉剋魂極兮 磐垣淵者之所如 隱匿不令知 縱令倒臥伏地死 不洩汝名埋胸中
佚名 2700

「玉限(たまかぎ)る 岩垣淵(いはかきふち)の」,用以帶出「隱(こも)り」之序。
「隱(こも)りには」,隱忍不令人知。
「伏(ふ)して死(し)ぬとも」,原文「伏以死」。「以」同「而」,補とも以訓。

2701 【承前,百八十九之八三。】
 明日香川 明日文將渡 石走 遠心者 不思鴨
 明日香川(あすかがは) 明日(あす)も渡(わた)らむ 石橋(いしはし)の 遠心(とほきこころ)は 思(おも)ほえぬかも
 明日香川矣 明日將渡飛鳥河 砌磴石橋兮 兼知未然遠心者 吾所不具莫能耐
佚名 2701

「明日香川(あすかがは)」,一者與後文「明日(あす)」呼應,一者以飛鳥河石橋多而用之。
「明日(あす)も渡(わた)らむ」,「も」表意志。
「石橋(いしはし)の」,「遠」之枕詞。石橋乃至於河中用以越渡之石,若其距離遠則難以飛越。
「遠心(とほきこころ)は」,能知長遠知未然而心平氣和。

2702 【承前,百八十九之八四。】
 飛鳥川 水徃筯 彌日異 戀乃筯者 在勝申自
 明日香川(あすかがは) 水行筯(みづゆきま)さり 彌日異(いやひけ)に 戀筯(こひのま)さらば 在克(ありかつ)ましじ
 明日香川矣 飛鳥河水水更漲 此戀亦如斯 與日俱筯彌日高 不能克之殆毀滅
佚名 2702

「水行筯(みづゆきま)さり」,「筯(ま)さり」表與日俱筯。以上乃「彌日異に 戀筯さらば」之序文。
「在克(ありかつ)ましじ」,難以忍耐,無法持續下去。