真字萬葉集 卷十三、万葉集試訳

■真字萬葉集 卷十三 雜歌、相聞、問答、譬喻、挽歌
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万葉集試訳

真字萬葉集 卷十四 東歌

東歌


3348 雜歌 【五首第一。】
 奈都素妣久 宇奈加美我多能 於伎都渚爾 布禰波等杼米牟 佐欲布氣爾家里
 夏麻引(なつそび)く 海上潟(うなかみがた)の 沖洲(おきつす)に 船(ふね)は留(とど)めむ 小夜更(さよふ)けにけり
 夏麻根引兮 下總海上潟之間 沖瀛洲渚上 欲下碇錨泊此舟 夜已深去近三更
佚名 3348

 右一首,上總國歌。

「夏麻引(なつそび)く」,地名「海上」、「宇那比」,或是「命」之枕詞。
「船(ふね)は留(とど)めむ」,繫留船隻。對船頭所述之語。
類歌1176、0274、1229。 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m07.htm#1176 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m03.htm#0274 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m07.htm#1229

3349 【承前,五首第二。】
 可豆思加乃 麻萬能宇良未乎 許具布禰能 布奈妣等佐和久 奈美多都良思母
 葛飾(かづしか)の 真間浦迴(ままのうらみ)を 漕(こ)ぐ船(ふね)の 船人騒(ふなびとさわ)く 波立(なみた)つらしも
 疾風吹猛勁 葛飾真間浦迴間 浮海榜舟之 船人騷動不得閒 蓋是風浪將湧至
佚名 3349

 右一首,下總國歌。

「真間浦迴(ままのうらみ)を」,浦迴乃入江之彎曲部。底本原文作「宇良末」,按廣瀨本則「宇良未」之訛。
類歌1228。 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m07.htm#1228

3350 【承前,五首第三。】
 筑波禰乃 爾比具波麻欲能 伎奴波安禮杼 伎美我美家思志 安夜爾伎保思母
 筑波嶺(つくはね)の 新桑繭(にひぐはまよ)の 衣(きぬ)はあれど 君(きみ)が御衣(みけし)し 文(あや)に著欲(きほ)しも
 常陸筑波嶺 新桑蠶繭所縒絲 華衣雖有者 然觀君所服御衣 妾身莫名欲著之
佚名 3350

 或本歌曰:「多良知禰能。」又云:「安麻多伎保思母。」
 或本歌曰(あるぶみのうたにいふ):「垂乳根(たらちね)の。」又云(またにいふ):「數多著欲(あまたきほ)しも。」 或本歌曰:「恩育垂乳根。」又云:「妾身殊甚欲著之。」

「筑波嶺(つくはね)の」,筑波山
「新桑繭(にひぐはまよ)の 衣(きぬ)はあれど」,以新葉養育之春蠶,其絹絲品質高於秋蠶。「はあれど」指雖然不錯,但相較之下...
「文(あや)に著欲(きほ)しも」,「文(あや)に」表難以言述。
垂乳根(たらちね)の」,首句之異傳,母親之代稱。
「數多著欲(あまたきほ)しも。」,「數多」表非常。

3351 【承前,五首第四。】
 筑波禰爾 由伎可母布良留 伊奈乎可母 加奈思吉兒呂我 爾努保佐流可母
 筑波嶺(つくはね)に 雪(ゆき)かも降(ふ)らる 否(いな)をかも 愛(かな)しき兒(こ)ろが 布乾(にのほ)さるかも
 皚皚筑波嶺 蓋是皓雪零置哉 抑或非矣哉 可人憐愛美娘子 晾布曝日乾之哉
佚名 3351
 右二首,常陸國歌。

「雪(ゆき)かも降(ふ)らる」,「降らる」乃「降れる」之東國語。
「否(いな)をかも」,「否(いな)かもをかも」之略。
「布乾(にのほ)さるかも」,「布(にの)」乃「布(ぬの)」之方言。
詠述筑波山上所晾之白布,猶如雪降一面之情景。

3352 【承前,五首第五。】
 信濃奈流 須我能安良野爾 保登等藝須 奈久許惠伎氣婆 登伎須疑爾家里
 信濃(しなぬ)なる 須我荒野(すがのあらの)に 霍公鳥(ほととぎす) 鳴聲聞(なくこゑき)けば 時過(ときす)ぎにけり
 水薦苅薙兮 信濃須我荒野間 郭公霍公鳥 聞彼不如歸去聲 不覺時過境遷矣
佚名 3352

 右一首,信濃國歌。

「須我荒野(すがのあらの)に」,荒野底本原文作「安良能」,此依元曆校本作「安良野」。
「時過(ときす)ぎにけり」,不覺時光流逝、時節已過。而「時過(ときす)ぎ」本身亦為郭公鳴聲之狀聲語。

相聞往來
3353 相聞 【七六第一。】
 阿良多麻能 伎倍乃波也之爾 奈乎多弖天 由伎可都麻思自 移乎佐伎太多尼
 麤玉(あらたま)の 寸戶林(きへのはやし)に 汝(な)を立(た)てて 行克(ゆきかつ)ましじ 寐(い)を先立(さきだ)たね
 遠江麤玉之 貴平寸戶茂林間 受汝送別者 離情依依難分捨 不若先寢惜春宵
佚名 3353

「汝(な)を立(た)てて」,汝為男子對女子之呼稱。讓女方為男方送行。
「行克(ゆきかつ)ましじ」,無法離開啟程。
「寐(い)を先立(さきだ)たね」,在啟程之前,先與戀人共寢。此「寐(い)」於此表在野外,而非居宅。

3354 【承前,七六第二。】  伎倍比等乃 萬太良夫須麻爾 和多佐波太 伊利奈麻之母乃 伊毛我乎杼許爾
 寸戶人(きへひと)の 斑衾(まだらぶすま)に 綿多(わたさは)だ 入(い)りな益物(ましもの) 妹(いも)が小床(をどこ)に
 遠江麤玉兮 寸戶人之斑衾矣 綿多之所如 可惜還願能多入 親親吾妹小床哉
佚名 3354
 右二首,遠江國歌。

「斑衾(まだらぶすま)」,斑染之棉被。
「綿多(わたさは)だ」,棉被內真綿數量之多。以上為「入(い)りな益物(ましもの)」之序。
「入(い)りな益物(ましもの)」,「益物(ましもの)」為反事實假想。早知如此,一開始就時常與戀人共寢就好了。

3355 【承前,七六第三。】
 安麻乃波良 不自能之婆夜麻 己能久禮能 等伎由都利奈波 阿波受可母安良牟
 天原(あまのはら) 富士柴山(ふじのしばやま) 木暗(このくれ)の 時移去(ときゆつり)なば 逢(あ)はずかもあらむ
 久方天原之 不盡富士柴木山 樹蔭下暗間 時光轉俄移去者 蓋當無緣逢伊人
佚名 3355

天原(あまのはら)」,佈滿整片天空,形容富士山之龐大。
「柴山(しばやま)」,雜木山。
「逢(あ)はずかもあらむ」,「逢(あ)はず」之主語為男方。雖然約束將於初夏相逢,但看似概要食言。

3356 【承前,七六第四。】
 不盡能禰乃 伊夜等保奈我伎 夜麻治乎毛 伊母我理登倍婆 氣爾餘波受吉奴
 富士嶺(ふじのね)の 彌遠長(いやとほなが)き 山道(やまぢ)をも 妹所(いもがり)とへば 氣呻吟(けによ)ばず來(き)ぬ
 不盡富士嶺 十里木越山道者 雖然彌遠長 然而若為臻妹許 不呻不吟樂而來
佚名 3356

「彌遠長(いやとほなが)き 山道(やまぢ)をも」,此云通過富士山、愛鷹山鞍部之十里木越山道。
「氣呻吟(けによ)ばず來(き)ぬ」,氣不喘色不變。若是為了與戀人相會,縱然是遙遠艱險之路途,亦能輕鬆跋涉過來。原文多作「氣爾餘婆受吉奴」,此依『類聚古集』作「氣爾餘波受吉奴」。

3357 【承前,七六第五。】
 可須美為流 布時能夜麻備爾 和我伎奈婆 伊豆知武吉弖加 伊毛我奈氣可牟
 霞居(かすみゐ)る 富士山邊(ふじのやまび)に 我(わ)が來(き)なば 何處向(いづちむ)きてか 妹(いも)が嘆(なげ)かむ
 霞霧湧瀰漫 富士山邊木越道 我身行來者 伊人今當向何方 憂愁悲嘆呻吟哉
佚名 3357

「富士山邊(ふじのやまび)に」,概指十里木一帶。
「我(わ)が來(き)なば」,當作者來到十里木一帶時,或為在御殿場與妻相別時之語。
「何處向(いづちむ)きてか 妹(いも)が嘆(なげ)かむ」,富士山邊為霞霧遮蔽,妻子不知當朝何方思念丈夫。

3358 【承前,七六第六。】
 佐奴良久波 多麻乃緒婆可里 古布良久波 布自能多可禰乃 奈流佐波能其登
 小寢(さぬ)らくは 玉緒許(たまのをばか)り 戀(こ)ふらくは 富士高嶺(ふじのたかね)の 鳴澤如(なるさはのごと)
 雖然相寢者 石火光中玉緒短 戀心澎湃者 則猶富士高嶺上 鳴澤激流之所如
佚名 3358

 或本歌曰:「麻可奈思美,奴良久波思家良久,佐奈良久波,伊豆能多可禰能,奈流佐波奈須與。」一本歌曰:「阿敝良久波,多麻能乎思家也,古布良久波,布自乃多可禰爾,布流由伎奈須毛。」
 或本歌曰(あるぶみのうたにいふ):「真愛(まかな)しみ、寢(ぬ)らくはしけらく、小鳴(さな)らくは、伊豆高嶺(いづのたかね)の、鳴澤是(なるさはな)すよ。」一本歌曰(またのほんのうたにいふ):「逢(あ)へらくは、玉緒(たまのを)しけや、戀(こ)ふらくは、富士高嶺(ふじのたかね)に、降(ふ)る雪是(ゆきな)すも。」
 或本歌曰:「真愛相寢者,寥寥無幾其數稀,然而浮名者,卻猶伊豆高嶺上,鳴澤激流之所如。」一本歌曰:「雖然相逢者,石火光中玉緒短,戀心澎湃者,則猶富士高嶺上,降雪無間之所如。」

「玉緒許(たまのをばか)り」,以玉珠環緒之將斷,比喻時光短暫。
古今和歌集』673「逢事は 玉緒ばかり 名の立つは 吉野河の 激瀨の如」為類歌。 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/kokin/kk13.htm#673

3369 【承前,七六第七。】
 駿河能宇美 於思敝爾於布流 波麻都豆良 伊麻思乎多能美 波播爾多我比奴【一云,於夜爾多我比奴。】
 駿河海(するがのうみ) 磯邊(おしへ)に生(お)ふる 濱葛(はまつづら) 汝(いまし)を賴(たの)み 母(はは)に違(たが)ひぬ【一云(またにいふ)、親(おや)に違(たが)ひぬ。】
 打寄駿河國 海岸磯邊所群生 濱葛之所如 吾以仰賴汝命故 忤逆母堂心所向【一云,忤逆親心之所向。】
佚名 3369

 右五首,駿河國歌。

「磯邊(おしへ)」,將「磯邊(いそへ)」母音位置前後替換之形。
「濱葛(はまつづら)」,海邊所生之蔓性植物,或海藻之類。
「汝(いまし)を賴(たの)み」,汝指男方。
「違(たが)ひぬ」,違背他人意向。「親(おや)に違(たが)ひぬ」為此句異傳,亦指母親。

3360 【承前,七六第八。】
 伊豆乃宇美爾 多都思良奈美能 安里都追毛 都藝奈牟毛能乎 美太禮志米梅楊
 伊豆海(いづのうみ)に 立白波(たつしらなみ)の 在(あり)つつも 繼(つ)ぎなむ物(もの)を 亂(みだ)れしめめや
 東道伊豆海 所湧白浪之所如 如是守鍾情 銘心不變恆久遠 豈擾汝心亂汝情
佚名 3360

 或本歌曰:「之良久毛能,多延都追母,都我牟等母倍也,美太禮曾米家武。」
 或本歌曰(あるぶみのうたにいふ):「白雲(しらくも)の、絕(た)えつつも、繼(つ)がむと思(も)へや、亂始(みだれそめ)けむ。」
 或本歌曰:「白雲之所如,雖然常絕不消散,一心仍欲續所念,相思情意亂始哉。」

 右一首,伊豆國歌。

「立白波(たつしらなみ)の」,以上以波浪不斷,比喻慕情不止之序文。
「亂(みだ)れしめめや」,豈會讓你情迷意亂。
「白雲(しらくも)の」,後句「絕(た)え」之序文。「絕(た)えつつも」雖然停滯但仍欲持續關係之比喻。