拾遺和歌集卷二、万葉集試訳

拾遺和歌集 卷第二 夏歌
https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/syuui/syuui02.htm


万葉集試訳

4161 【承前,反歌。】
 言等波奴 木尚春開 秋都氣婆 毛美知遲良久波 常乎奈美許曾【一云,常无牟等曾。】
 言問(ことと)はぬ 木(き)すら春咲(はるさ)き 秋付(あきづ)けば 黃葉散(もみちぢ)らくは 常(つね)を無(な)みこそ【一云(またにいふ)、常無(つねな)けむとそ。】
 雖不能言語 草木遇春咲招展 每逢秋日臨 紅葉織錦飄零者 諸行無常所以也【一云,皆示諸行律無常。】
大伴家持 4161

「言問(ことと)はぬ」,不發言語。
「黃葉散(もみちぢ)らくは」,紅葉散落之狀,。
「常無(つねな)けむと」,「常(つね)を無(な)みこそ」之別案。

4162 【承前。】
 宇都世美能 常无見者 世間爾 情都氣受弖 念日曾於保伎【一云,嘆日曾於保吉。】
 空蟬(うつせみ)の 常無(つねな)き見(み)れば 世中(よのなか)に 心付(こころつ)けずて 思(おも)ふ日(ひ)そ多(おほ)き【一云(またにいふ)、嘆(なげ)く日(ひ)そ多(おほ)き。】
 空蟬浮生兮 平凡此命無常者 娑婆俗世間 渾渾噩噩心不在 憂思斷腸日苦多【一云,噓唏悲嘆日苦多。】
大伴家持 4162

「世中(よのなか)に 心付(こころつ)けずて」,無論對於人際關係或是自然都採取保持一定距離之姿態,不令自己沉溺其中。

4163 豫作七夕歌一首
 妹之袖 我禮枕可牟 河湍爾 霧多知和多禮 左欲布氣奴刀爾
 妹(いも)が袖(そで) 我枕(われまくら)かむ 川瀨(かはのせ)に 霧立渡(きりたちわた)れ 小夜更(さよふ)けぬとに
 愛也吾妹妻 欲以汝袖以為枕 潺潺川瀨間 冀其霧湧遮人目 在彼小夜未更時
大伴家持 4163

「我枕(われまくら)かむ」,「枕(ま)く」乃以之為枕。
「霧立渡(きりたちわた)れ」,振夜霧瀰漫與愛人相會。
「小夜更(さよふ)けぬとに」,趁夜晚未深,天亦未明之前,方可與戀人好好溫存。

4164 慕振勇士之名歌一首 【并短歌。】
 知智乃實乃 父能美許等 波播蘇葉乃 母能美己等 於保呂可爾 情盡而 念良牟 其子奈禮夜母 大夫夜 无奈之久可在 梓弓 須惠布理於許之 投矢毛知 千尋射和多之 劔刀 許思爾等理波伎 安之比奇能 八峯布美越 左之麻久流 情不障 後代乃 可多利都具倍久 名乎多都倍志母
 乳實(ちちのみ)の 父命(ちちのみこと) 柞葉(ははそば)の 母命(ははのみこと) 凡(おほ)ろかに 心盡(こころつ)して 思(おも)ふらむ 其子為(そのこな)れやも 大夫(ますらを)や 空(むな)しくあるべき 梓弓(あづさゆみ) 末振起(すゑふりおこ)し 投矢持(なげやも)ち 千尋射渡(ちひろいわた)し 劍大刀(つるぎたち) 腰(こし)に取佩(とりは)き 足引(あしひき)の 八峰踏越(やつをふみこ)え 差罷(さしま)くる 心障(こころさや)らず 後世(のちのよ)の 語繼(かたりつ)ぐべく 名(な)を立(た)つべしも
 威嚴乳實兮 明道宏倫父君命 祥和柞葉兮 慧慈賢淑母君命 大凡無所遺 盡心盡力傾其情 懸心念恆常 所以養育其子哉 大夫壯士矣 豈當徒然庸碌哉 梓弓引弩張 振起末梢顫其絃 手持投矢而 射渡飛箭盪千尋 韴稜劍太刀 取佩腰間不離身 足曳勢險峻 踏越八峰跨嚴嶺 差罷銜宸命 此心堅毅無所障 迄千秋後世 口耳相傳當語繼 可以立名留青史
大伴家持 4164

「乳實(ちちのみ)の」,藉同音而為「父(ちち)」之枕詞。或指流出白色乳汁之桑科,或為氣根形似乳房之鴨腳樹之類。
「柞葉(ははそば)の」,藉同音而為「母(はは)」之枕詞。山毛欅科落葉高木。
「其子為(そのこな)れやも」,「為(な)れや」為反語。主語為大夫(ますらを),指其乃受到雙親慈愛之子。
「空(むな)しくあるべき」,承繼自山上憶良0978「士やも 空しくあるべき」之語。 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m06.htm#0978
「末振起(すゑふりおこ)し」,「末(すゑ)」指「弓末(ゆすゑ)」。張弓拉絃令上端震動之狀。
千尋射渡(ちひろいわた)し」,箭矢遠射。
「八峰踏越(やつをふみこ)え」,翻山越嶺。
「差罷(さしま)くる」,未詳。「差(さ)し」、「罷(ま)く」皆有派任之意。而觀其前後文則當為勇士自負之語。
「心障(こころさや)らず」,心中無所畏懼,不被任何事物妨害。

4165 【承前,反歌。】
 大夫者 名乎之立倍之 後代爾 聞繼人毛 可多里都具我禰
 大夫(ますらを)は 名(な)をし立(た)つべし 後世(のちのよ)に 聞繼(ききつ)ぐ人(ひと)も 語繼(かたりつ)ぐがね
 大夫壯士矣 理應立名留青史 千秋萬世後 所聞其事其蹟人 亦當語繼傳後葉
大伴家持 4165
 右二首,追和山上憶良臣作歌。

「語繼(かたりつ)ぐがね」,「がね」表意志與命令。

4166 詠霍公鳥并時花歌一首 【并短歌。】
 每時爾 伊夜目都良之久 八千種爾 草木花左伎 喧鳥乃 音毛更布 耳爾聞 眼爾視其等爾 宇知嘆 之奈要宇良夫禮 之努比都追 有爭波之爾 許能久禮能 四月之立者 欲其母理爾 鳴霍公鳥 從古昔 可多里都藝都流 鸎之 宇都之真子可母 菖蒲 花橘乎 妗嬬良我 珠貫麻泥爾 赤根刺 晝波之賣良爾 安之比奇乃 八丘飛超 夜干玉乃 夜者須我良爾 曉 月爾向而 徃還 喧等余牟禮杼 何如將飽足
 時每(ときごと)に 彌珍(いやめづら)らしく 八千種(やちくさ)に 草木花咲(くさきはなさ)き 鳴鳥(なくとり)の 聲(こゑ)も變(かは)らふ 耳(みみ)に聞(き)き 目(め)に見(み)る每(ごと)に 打嘆(うちなげ)き 萎衷振(しなえうらぶ)れ 偲(しの)ひつつ 爭(あらそ)ふ端(はし)に 木暗(このくれ)の 四月(うづき)し立(た)てば 夜隱(よごも)りに 鳴(な)く霍公鳥(ほととぎす) 古(いにしへ)ゆ 語繼(かたりつ)ぎつる 鶯(うぐひす)の 現(うつ)し真子(まこ)かも 菖蒲草(あやめぐさ) 花橘(はなたちばな)を 娘子等(をとめら)が 玉貫(たまぬ)く迄(まで)に 茜射(あかねさ)す 晝(ひる)は繁(し)めらに 足引(あしひき)の 八峰飛越(やつをとびこ)え 烏玉(ぬばたま)の 夜(よる)は徹(すがら)に 曉(あかとき)の 月(つき)に向(むか)ひて 行歸(ゆきがへ)り 鳴響(なきとよ)むれど 何(なに)か飽足(あきだ)らむ
 四季每時節 更顯彌珍耳目新 多彩八千種 萬葉草木皆花咲 嚶囀鳴鳥之 其聲百變萬籟繁 每逢耳所聞 以及每適目見者 感嘆長唏噓 不覺垂萎感此情 賞翫馳偲而 孰優孰劣難決頃 木蔭下闇之 憂草綻放四月節 夜闌隱更深 鳴也郭公霍公鳥 遠自曩昔時 口耳相傳語繼來 托卵鶯鳥兮 現矣真愛子也哉 直至菖蒲草 以及花橘結朱實 窈窕娘子等 貫為藥玉五月節 斜暉茜日射 晝間無休渡終日 足曳勢險峻 飛越八峰翔千嶺 漆黑烏玉兮 徹夜盡宵至天明 拂曉晨曦時 指向月讀壯士而 行歸雖幾度 來回鳴響盪虛空 然又豈曾飽足哉
大伴家持 4166

「彌珍(いやめづら)らしく」,更為耳目一新之狀。
「聲(こゑ)も變(かは)らふ」,隨著四季交替,鳴鳥遞嬗,啼聲亦有所不同。
「萎衷振(しなえうらぶ)れ」,「萎(しな)え」為草木枯萎,比喻身體精神無力之狀。「衷振(うらぶ)れ」為心有所感。本多用於傷心之情境,此則為美景震攝之狀。
「爭(あらそ)ふ端(はし)に」,種種美景難分軒輊。
「木暗(このくれ)の」,枝葉茂密,樹影成蔭之狀。
「鶯(うぐひす)の 現(うつ)し真子(まこ)かも」,「現(うつ)し」為現實、真實之意。鶯有托卵之習性。
「玉貫(たまぬ)く迄(まで)に」,製作五月藥玉之端午時節。
「茜射(あかねさ)す」,日、晝之枕詞。
「晝(ひる)は繁(し)めらに」,「繁(し)めらに」與「繁(し)みらに」同,長時間反覆同一動作之狀。
「夜(よる)は徹(すがら)に」,徹夜。