拾遺和歌集卷六、万葉集試訳

拾遺和歌集 卷第六 別歌
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万葉集試訳

4188 【承前,反歌。】
 藤奈美能 花盛爾 如此許曾 浦己藝迴都追 年爾之努波米
 藤浪(ふぢなみ)の 花盛(はなのさかり)りに 如此(かく)こそ 浦漕迴(うらこぎみ)つつ 年(とし)に偲(しの)はめ
 每逢藤浪之 花咲滿開綻放時 往往當如此 榜舟漕迴布勢海 年年來賞翫勝景
大伴家持 4188

「浦漕迴(うらこぎみ)つつ」,「迴(み)る」為巡迴。
「年(とし)に偲(しの)はめ」,「偲(しの)ふ」為賞翫、感銘。

4189 贈水烏越前判官大伴宿禰池主歌一首 【并短歌。】
 天離 夷爾之在者 彼所此間毛 同許 己呂曾 離家 等之乃經去者 宇都勢美波 物念之氣思 曾許由惠爾 情奈具左爾 霍公鳥 喧始音乎 橘 珠爾安倍貫 可頭良伎氐 遊波之母 麻須良乎乎 等毛奈倍立而 叔羅河 奈頭左比泝 平瀨爾波 左泥刺渡 早湍爾 水烏乎潛都追 月爾日爾 之可志安蘇婆禰 波之伎和我勢故
 天離(あまざか)る 鄙(ひな)にしあれば 彼所此間(そこここ)も 同心(おなじこころ)そ 家離(いへざか)り 年經行(としのへゆ)けば 空蟬(うつせみ)は 物思繁(ものもひしげ)し 其故(そこゆゑ)に 心和(こころな)ぐさに 霍公鳥(ほととぎす) 鳴(な)く初聲(はつこゑ)を 橘(たちばな)の 玉(たま)に合貫(あへぬ)き 蘰(かづら)きて 遊(あそ)ばむ端(はし)も 大夫(ますらを)を 伴(とも)なへ立(た)てて 叔羅川(しくらがは) 漂上(なづさひのぼ)り 平瀨(ひらせ)には 小網刺(さでさ)し渡(わた)し 速瀨(はやきせ)に 鵜(う)を潛(かづ)けつつ 月(つき)に日(ひ)に 然(しか)し遊(あそ)ばね 愛(は)しき我(わ)が背子(せこ)
 天離日已遠 身居鄙夷遠國者 無論汝或吾 皆是同心道合也 離家去故土 已然歷月經年矣 空蟬憂世間 憂思念繁情難斷 誠然因其故 欲慰此心令平和 杜鵑霍公鳥 所鳴啼泣初聲矣 混與花橘而 貫為五月藥玉矣 結蘰織環而 遊興端午此時節 大夫伴緒等 結伴相率以出遊 日野叔羅川 漬濡此身溯溪上 安穩平瀨間 張羅小網渡一面 湍急速瀨間 放諸鸕鶿令鵜潛 幾月復幾日 如斯遊興盡歡愉 憙哉愛也吾兄子
大伴家持 4189

「鄙(ひな)にしあれば」,越前、越中相鄰而皆遠離京師。底本原文「夷等之在者」蓋「夷爾之在者」之訛,改之。
「彼所此間(そこここ)も」,「彼所(そこ)」指池主,「此間(ここ)」指家持。身處異鄉,皆心戀京師。
「其故(そこゆゑ)に」,此云上文懷土之念。
「心和(こころな)ぐさに」,舒發鬱情。
「玉(たま)に合貫(あへぬ)き」,「合(あ)へ」為與共。將霍公鳥之鳴聲合以花橘之蕾,共同串為五月藥玉之擬物表現。
「遊(あそ)ばむ端(はし)も」,「端(はし)」表時間點,此云約一個月後之端午節句
「大夫(ますらを)を」,此云池主所屬之越前國廳官人。
「伴(とも)なへ立(た)てて」,「伴(とも)なへ」表率領。
「平瀨(ひらせ)には」,流速緩慢之淺瀨,與「速瀨」相對。
「小網刺(さでさ)し渡(わた)し」,「小網」為四手網,「刺し」為張設,「渡し」乃一整面。
「鵜(う)を潛(かづ)けつつ」,使鵜潛水漁獵。或藉其將鮎魚趕入網中之漁法。
「月(つき)に日(ひ)に」,每月每日。
「然(しか)し遊(あそ)ばね」,「ね」表希求。應當如此遊樂散心。
「愛(は)しき我(わ)が背子(せこ)」,「愛(は)し」表憐愛、懷念。

4190 【承前,反歌第一。】
 叔羅河 湍乎尋都追 和我勢故波 宇可波多多佐禰 情奈具左爾
 叔羅川(しくらがは) 瀨(せ)を尋(たづ)ねつつ 我(わ)が背子(せこ)は 鵜川立(うかはた)たさね 心和(こころな)ぐさに
 日野叔羅川 漬身速瀨溯溪上 愛也吾兄子 當放鸕鶿以鵜漁 遊興盡歡慰此情
大伴家持 4190

「鵜川立(うかはた)たさね」,「立(た)たさね」有催促之意。

4191 【承前,反歌第二。】
 鸕河立 取左牟安由能 之我波多波 吾等爾可伎无氣 念之念婆
 鵜川立(うかはた)ち 取(と)らさむ鮎(あゆ)の 然鰭(しがはた)は 我(われ)に搔向(かきむ)け 思(おも)ひし思(おも)はば
 鵜漁川瀨間 所以捕獲鮎魚矣 冀可將彼鰭 贈予我身為緣物 若汝意之所向者
大伴家持 4191
 右,九日附使贈之。

「然鰭(しがはた)は」,「然(し)」為其之意。
「我(われ)に搔向(かきむ)け」,「搔(かき)」為削下以為漁獲證明之意。
「思(おも)ひし思(おも)はば」,若心思所向,有此意之時。

4192 詠霍公鳥并藤花一首 【并短歌。】
 桃花 紅色爾 爾保比多流 面輪乃宇知爾 青柳乃 細眉根乎 咲麻我理 朝影見都追 妗嬬良我 手爾取持有 真鏡 盖上山爾 許能久禮乃 繁谿邊乎 呼等余米 旦飛渡 暮月夜 可蘇氣伎野邊 遙遙爾 喧霍公鳥 立久久等 羽觸爾知良須 藤浪乃 花奈都可之美 引攀而 袖爾古伎禮都 染婆染等母
 桃花(もものはな) 紅色(くれなゐいろ)に 匂(にほ)ひたる 面輪中(おもわのうち)に 青柳(あをやぎ)の 細眉根(ほそきまよね)を 笑曲(ゑみまが)り 朝影見(あさかげみ)つつ 娘子等(をとめら)が 手(て)に取持(とりも)てる 真十鏡(まそかがみ) 二上山(ふたがみやま)に 木暗(このくれ)の 茂谷邊(しげきたにへ)を 呼響(よびとよ)め 朝飛渡(あさとびわた)り 夕月夜(ゆふづくよ) 幽野邊(かそけきのへ)に 遙遙(はろはろ)に 鳴(な)く霍公鳥(ほととぎす) 立潛(たちく)くと 羽觸(はぶれ)に散(ち)らす 藤波(ふぢなみ)の 花懷(はななつ)かしみ 引攀(ひきよ)ぢて 袖(そで)に扱入(こきれ)つ 染(し)まば染(し)むとも
 錦簇桃花之 艷麗鮮紅曳生姿 容光甚煥發 花顏品貌面輪中 青柳之所如 纖秀長眉根矣 曲垂展笑顏 觀見所映朝影而 婀娜娘子等 執而取持在手中 無曇真十鏡 負名匣蓋二上山 木蔭下暗間 花葉繁茂溪谷邊 啼囀呼鳴響 朝日飛渡越大虛 亦於夕月夜 微光幽渺野邊間 遙遙悠遠兮 鳴囀啼喚霍公鳥 穿梭飛潛而 觸羽一振散零落 澎湃藤浪之 紫花盛咲惹人愛 引攀折其枝 扱入衣袖納懷中 縱為所染不足惜
大伴家持 4192

「匂(にほ)ひたる」,發出嫣紅之光芒,引申指人面龐容光煥發之狀。
「青柳(あをやぎ)の」,美人細長之柳眉。
「細眉根(ほそきまよね)を」,「眉根(まよね)」與眉通。
「笑曲(ゑみまが)り」,微笑而柳眉自然下垂之意。
「朝影見(あさかげみ)つつ」,早朝理容時在鏡中所見之姿儀。
「真十鏡(まそかがみ)」,以上乃藉鏡箱之「蓋(ふた)」帶出「二上山(ふたがみやま)」之序。
「呼響(よびとよ)め」,底本原文「呼等米爾」,元曆校本作「呼等爾米」,蓋皆「呼等余米」之訛,改之。
「幽野邊(かそけきのへ)に」,「幽(かそけ)き」為物事朦朧,輪廓不清之狀。
「羽觸(はぶれ)に散(ち)らす」,「羽觸(はぶれ)」指鳥類飛翔時其羽翼所觸及之狀。「に」表藉由。
「袖(そで)に扱入(こきれ)つ 染(し)まば染(し)むとも」,「とも」表放任,無所謂。下文省略「よし」。

4193 【承前,反歌。】
 霍公鳥 鳴羽觸爾毛 落爾家利 盛過良志 藤奈美能花【一云:「落奴倍美,袖爾古伎納都,藤浪乃花也。」】
 霍公鳥(ほととぎす) 鳴(な)く羽觸(はぶ)れにも 散(ち)りにけり 盛過(さかりす)ぐらし 藤波花(ふぢなみのはな)【一云(またにいふ):「散(ち)りぬべみ、袖(そで)に扱入(こきれ)れつ、藤波花(ふぢなみのはな)。」也(なり)。】
 縱為霍公鳥 鳴啼振羽稍觸者 即倏凋零落 嗚呼咲盛時已過 妍哉藤浪花也矣【一云:「殆要凋零矣,惜也折枝扱袖中,妍哉藤浪花也矣。」】
大伴家持 4193
 同九日作之。

「羽觸(はぶ)れにも」,雖與長歌之「立潛(たちく)くと 羽觸(はぶれ)に散(ち)らす」類似,本文所指則更為纖細、脆弱之狀況。光是停於枝頭就令藤花凋零之樣貌。