拾遺和歌集、万葉集試訳

拾遺和歌集 卷十八 賀秋歌
https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/syuui/syuui18.htm
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万葉集試訳

4402 【承前。】
 知波夜布留 賀美乃美佐賀爾 奴佐麻都里 伊波布伊能知波 意毛知知我多米
 千早振(ちはやふ)る 神御坂(かみのみさか)に 幣奉(ぬさまつ)り 齋命(いはふいのち)は 母父(おもちち)が為(ため)
 千早振稜威 嚴神御坂嶮峠間 恭奉獻幣帛 戒慎潔齋此命者 全為所慕父母也
神人部子忍男 4402
 右一首,主帳埴科郡神人部子忍男。

「千早振(ちはやふ)る」,神之枕詞,與「千早振(ちはやぶ)る」同。古俗以為, 險道之間,有荒神阻礙旅人通行,故有荒振之意。中古以降,採用「千早振(ちはやふ)る」者較多。
「神御坂(かみのみさか)」,神所鎮座之恐怖御坂。此云神坂峠,信濃路之險道。
「齋命(いはふいのち)は」,齋祈此身無恙。

4403 【承前。】
 意保枳美能 美己等可之古美 阿乎久牟乃 等能妣久夜麻乎 古與弖伎怒加牟
 大君(おほきみ)の 命恐(みことかしこ)み 青雲(あをくむ)の 棚引(とのび)く山(やま)を 越(こ)よて來(き)ぬかむ
 大君敕命重 誠惶誠恐遵宸旨 晴空青雲之 霏霺棚引峻山嶺 跋涉翻越而來矣
小長谷部笠麻呂 4403
 右一首,小長谷部笠麻呂。
 二月廿二日,信濃國防人部領使上道,得病不來,進歌數十二首。但拙劣歌者不取載之。

「青雲(あをくむ)」,晴空上高掛之雲朵,「青雲(あをくも)」之訛。而上代語「あを」並不限於青色,亦包含灰色之色系。
「越(こ)よて來(き)ぬかむ」,「越(こ)えて來(き)ぬかも」之訛。

4404 【上野國防人部領使大目上毛野駿河進歌,四首第一。】
 奈爾波治乎 由伎弖久麻弖等 和藝毛古賀 都氣之非毛我乎 多延爾氣流可母
 難波道(なにはぢ)を 行(ゆ)きて來迄(くまで)と 我妹子(わぎもこ)が 付(つ)けし紐(ひも)が緒(を) 絕(た)えにけるかも
 此去難波道 往返歸來莫解之 愛也吾妹妻 手結下衣紐緒者 跋涉之間已絕矣
上毛野牛甘 4404
 右一首,助丁上毛野牛甘。

「難波道(なにはぢ)を 行(ゆ)きて來迄(くまで)と」,其下省略應當不會斷絕之語。作者之妻子或無法判斷前往難波與前往筑紫在距離上之迥異。

4405 【承前,四首第二。】
 和我伊母古我 志濃比爾西餘等 都氣志非毛 伊刀爾奈流等毛 和波等可自等余
 我(わ)が妹子(いもこ)が 偲(しぬ)ひに為(せ)よと 付(つ)けし紐(ひも) 絲(いと)に成(なる)とも 我(わ)は解(と)かじとよ
 愛也吾妹妻 以為形見信物而 手結付紐矣 縱令襤褸為碎絲 我亦常繫豈解之
朝倉益人 4405
 右一首,朝倉益人。

「我(わ)が妹子(いもこ)が」,和歌多見「我妹子(わぎもこ)が」之略形,如是書以原形者實屬罕見。
「偲(しぬ)ひ」,用以睹物思人之物品。
「我(わ)は解(と)かじとよ」,口語句法,蓋為出發離別前之誓言。

4406 【承前,四首第三。】
 和我伊波呂爾 由加毛比等母我 久佐麻久良 多妣波久流之等 都氣夜良麻久母
 我(わ)が家(いは)ろに 行(ゆ)かも人欲得(ひともが) 草枕(くさまくら) 旅(たび)は苦(くる)しと 告遣(つげや)らまくも
 欲得徃行人 將去吾家故鄉者 轉述帶口信 告諸草枕在異地 羈旅跋涉艱辛矣
大伴部節麻呂 4406
 右一首,大伴部節麻呂。

「我(わ)が家(いは)ろに」,「家(いは)」乃「家(いへ)」之訛,「ろ」為接尾語。
「行(ゆ)かも」,「行(ゆ)かむ」之訛。
「告遣(つげや)らまくも」,「まく」為推量助動詞「む」之「く」句法。

4407 【承前,四首第四。】
 比奈久母理 宇須比乃佐可乎 古延志太爾 伊毛賀古比之久 和須良延奴加母
 日(ひ)な曇(くも)り 碓冰坂(うすひのさか)を 越時(こえしだ)に 妹(いも)が戀(こひ)しく 忘(わす)らえぬかも
 陽曇薄日兮 翻越東山碓冰坂 艱辛跋涉時 惜別之際妻哀毀 戀慕愁情不能
他田部子磐前 4407
 右一首,他田部子磐前。
 二月廿三日,上野國防人部領使大目正六位下上毛野君駿河進歌數十二首。但拙劣歌者不取載之。

「日(ひ)な曇(くも)り」,為雲所遮蔽之「薄日(うすひ)」,藉同音而為「碓冰(うすひ)」之枕詞。
「越時(こえしだ)に」,「時(しだ)」為時節。
「妹(いも)が戀(こひ)しく」,出發離別之際,妻子離情依依之狀。

4408 陳防人悲別之情歌一首 并短歌。
 大王乃 麻氣乃麻爾麻爾 嶋守爾 和我多知久禮婆 波波蘇婆能 波波能美許等波 美母乃須蘇 都美安氣可伎奈埿 知知能未乃 知知能美許等波 多久頭努能 之良比氣乃宇倍由 奈美太多利 奈氣伎乃多婆久 可胡自母乃 多太比等里之氐 安佐刀埿乃 可奈之伎吾子 安良多麻乃 等之能乎奈我久 安比美受波 古非之久安流倍之 今日太爾母 許等騰比勢武等 乎之美都都 可奈之備麻勢婆 若草之 都麻母古騰母毛 乎知己知爾 左波爾可久美為 春鳥乃 己惠乃佐麻欲比 之路多倍乃 蘇埿奈伎奴良之 多豆佐波里 和可禮加弖爾等 比伎等騰米 之多比之毛能乎 天皇乃 美許等可之古美 多麻保己乃 美知爾出立 乎可乃佐伎 伊多牟流其等爾 與呂頭多妣 可弊里見之都追 波呂波呂爾 和可禮之久禮婆 於毛布蘇良 夜須久母安良受 古布流蘇良 久流之伎毛乃乎 宇都世美乃 與能比等奈禮婆 多麻伎波流 伊能知母之良受 海原乃 可之古伎美知乎 之麻豆多比 伊己藝和多利弖 安里米具利 和我久流麻埿爾 多比良氣久 於夜波伊麻佐禰 都都美奈久 都麻波麻多世等 須美乃延能 安我須賣可未爾 奴佐麻都利 伊能里麻乎之弖 奈爾波都爾 船乎宇氣須惠 夜蘇加奴伎 可古等登能倍弖 安佐婢良伎 和波己藝埿奴等 伊弊爾都氣己曾
 大君(おほきみ)の 任隨(まけのまにま)に 島守(しまもり)に 我(わ)が立來(たちく)れば 柞葉(ははそば)の 母命(ははのみこと)は 御裳裾(みものすそ) 摘上搔撫(つみあげかきな)で 乳實(ちちのみ)の 父命(ちちのみこと)は 栲角(たくづの)の 白髭上(しらひげのうへ)ゆ 淚垂(なみだた)り 嘆給(なげきのたば)く 鹿子(かこ)じ物(もの) 唯獨(ただひとり)して 朝戶出(あさとで)の 愛(かな)しき我(あ)が子(こ) 新(あらたま)の 年緒長(としのをなが)く 相見(あひみ)ずは 戀(こひ)しくあるべし 今日(けふ)だにも 言問為(ことどひせ)むと 惜(を)しみつつ 悲(かな)しびませば 若草(わかくさ)の 妻(つま)も子供(こども)も 彼方此方(をちこち)に 澤(さは)に圍居(かくみゐ) 春鳥(はるとり)の 聲吟(こゑのさまよ)ひ 白栲(しろたへ)の 袖泣濡(そでなきぬ)らし 攜(たづさは)り 別難(わかれかて)にと 引留(ひきとど)め 慕(した)ひし物(もの)を 大君(おほきみ)の 命恐(みことかしこ)み 玉桙(たまほこ)の 道(みち)に出立(いでた)ち 岡岬(をかのさき) い迴(た)むる每(ごと)に 萬度(よろづたび) 顧見(かへりみ)しつつ 遙遙(はろはろ)に 別(わか)れし來(く)れば 思空(おもふそら) 安(やす)くも非(あら)ず 戀(こ)ふる空(そら) 苦(くる)しき物(もの)を 空蟬(うつせみ)の 世人是(よのひとな)れば 玉限(たまきは)る 命(いのち)も知(し)らず 海原(うなはら)の 恐道(かしこきみち)を 島傳(しまづた)ひ い漕渡(いこぎわた)りて 蟻迴(ありめぐ)り 我(わ)が來(く)る迄(まで)に 平(たひら)けく 親(おや)は居坐(いま)さね 障無(つつみな)く 妻(つま)は待(ま)たせと 住吉(すみのえ)の 我(あ)が皇神(すめかみ)に 幣奉(ぬさまつ)り 祈申(いのりまう)して 難波津(なにはつ)に 船(ふね)を浮据(うけす)ゑ 八十梶貫(やそかぬ)き 水手整(かこととの)へて 朝開(あさびら)き 我(わ)は漕出(こぎで)ぬと 家(いへ)に告(つ)げこそ
 大君敕命重 戒慎恐懼循其任 以為島守而 我命出立來此矣 祥和柞葉兮 慧慈賢淑母命者 手繫御裳裾 摘上搔撫祈無恙 威嚴乳實兮 明道宏倫父命者 栲綱皎如月 斑駁虬髯白髭上 淚垂復涕下 憂傷哀愁嘳嘆矣 似鹿非鹿子 唯有隻身獨一人 晨曦出朝戶 可人憐愛我子矣 物換星移兮 日新月異年緒長 久久不相見 相思難止慕情盛 至少在今日 願為言問得相語 離情依依而 悲傷憂愁惜別者 若草稚卉兮 可怜少妻與稚子 彼方與此方 叢聚圍居相依偎 春鳥鶯啼兮 哭號淒厲呻吟矣 白妙敷栲兮 涕泣滂沱濡袖矣 相攜執子手 難分難捨別離難 慰留不令訣 慕往遠隨追行矣 大君敕命重 誠惶誠恐遵宸旨 玉桙石柱兮 啟程旅路康莊道 岡岬丘前處 每每巡迴各隈時 千遍萬度兮 回首顧見望故土 渺渺遙遙兮 離別遠行而來者 胸中所想念 方寸忐忑無所安 內心之所戀 鏤骨虐心哀苦者 空蟬憂世間 浮生凡俗世人也 玉限魂極兮 須臾身命誠難計 滄溟海原之 路途艱險恐道也 繼島越嶼兮 榜舟漕渡而上陸 直至我蟻迴 全任復命歸來日 還願雙親矣 安平無恙常居坐 亦冀吾愛妻 別來無障待吾歸 墨江住吉之 鎮座統御我社神 奉獻呈幣帛 齋戒恭祈申心願 難波御津間 浮据船上泛蒼海 繁貫八十梶 統率水手白水郎 朝明晨曦時 我負重任漕出者 誰來傳語告吾家
大伴家持 4408

「島守(しまもり)」,與防人同。擔任警備壹岐、對馬等九州西北諸島之守戍。
「御裳裾(みものすそ) 摘上搔撫(つみあげかきな)」,蓋為祈求旅人路途平安之古代咒術。
「栲角(たくづの)の」,「白髭(しらひげ)」之枕詞。栲為自楮等桑科植物所取得之白色纖維。
「淚垂(なみだた)り」,「淚(た)り」為滴落之狀。
「鹿子(かこ)じ物(もの)」,鹿為一產一子之動物,故為孤獨之比喻。
「愛(かな)しき我(あ)が子(こ)」,「愛(かな)しき」於此為沁心之意。
「悲(かな)しびませば」,神宮文庫本作「悲(かな)しびいませ」,或為初案。
「圍居(かくみゐ)」,「圍(かく)む」為「圍(かこ)む」之古形。
「春鳥(はるとり)の」,「聲吟(こゑのさまよ)ひ」之枕詞。
「聲吟(こゑのさまよ)ひ」,發出哭泣呻吟之聲。
「攜(たづさは)り」,互執雙手。
「別難(わかれかて)にと」,難分難捨惜別之狀。
「慕(した)ひし物(もの)を」,「もの」為逆接用法。
「い迴(た)むる每(ごと)に」,「迴(た)む」為迂迴行走彎曲道路之狀。
「思空(おもふそら)」,「空(そら)」為不安之心情。
「空蟬(うつせみ)の 世人是(よのひとな)れば」,此云難以抵抗現實社會之制度。
「障無(つつみな)く」,沒有傷病、事故。
「妻(つま)は待(ま)たせと」,「待(ま)たす」為「待(ま)つ」之敬語型。夫對妻採用敬語者,或是因防人身分而詠之故。
「住吉(すみのえ)の 我(あ)が皇神(すめかみ)」,此「皇神(すめかみ)」指領有該地之地主神。祈願當指直到筑紫之航路。
「祈申(いのりまう)して」,「申(まう)し」仙覺本等底本為「まをし=麻乎之」,此依類聚古集作「まうし=麻宇之」。
「家(いへ)に告(つ)げこそ」,「家(いへ)」表家人。

4409 【承前,短歌其一。】
 伊弊婢等乃 伊波倍爾可安良牟 多比良氣久 布奈埿波之奴等 於夜爾麻乎佐禰
 家人(いへびと)の 齋(いは)へにかあらむ 平(たひら)けく 船出(ふなで)はしぬと 親(おや)に申(まを)さね
 蓋是家人之 戒慎齋禱祈功哉 無恙且無障 一帆風順出航矣 誰來傳語告吾親
大伴家持 4409

「齋(いは)へにかあらむ」,與「齋(いは)へばにかあらむ」同。疑問條件語。

4410 【承前,短歌其二。】
 美蘇良由久 久母母都可比等 比等波伊倍等 伊弊頭刀夜良武 多豆伎之良受母
 御空行(みそらゆ)く 雲(くも)も使(つかひ)と 人(ひと)は言(い)へど 家苞遣(いへづとや)らむ 方便知(たづきし)らずも
 縱然人常道 翱行御空天雲者 可為信使矣 雖欲託贈致家裹 唯有愁苦不知方
大伴家持 4410

「雲(くも)も使(つかひ)と」,雲亦可成為使者,託寄書信、贈物。此與『古事記』歌謠「天飛ぶ 鳥も使ひそ」相類。
「家苞遣(いへづとや)らむ」,想要送給家人之禮物,按次曲可知內容物蓋為貝殼。