星野之宣 『Blue Hole 新裝版』 後記

星野之宣 『Blue Hole 新裝版』 後記

 昨今の恐竜学の進歩で、古い恐竜像は次々に打ち砕かれた。「ブロシトサウルス」という呼び名は何時の間にか消えてしまったし、水中に身を沈めて生活した事実もないらしい。「タイラノサウルス」は「チランノサウルス」等と呼ばれているし、「T・レックス」の方が通りがいい。その尻尾は水平に持ち上げられ、疾走もできたという。
 ユタ州の砂岩やゴビ砂漠から夥しい化石が発掘きれてきて、恐竜は何となく乾燥した環境で生活していたイメージになった。
 中国での目覚しい発掘発見で、羽毛をもった恐竜の姿が定着しつつある。「始祖鳥」と呼ばれた鳥の祖先らしきものは、実は小さな羽毛恐竜だったようだ,
 T・レックスでさえ、羽毛を備えて巨大なドードー鳥のように見えたと考える人もいる。どうもあまり怖そうではない。
 やはり、「ブロントサウルス」は水辺で群れでいて欲しいし、「タイラノサウルス」はウロコに覆われた皮膚をギラつかせて密林に君臨していて欲しい。上空を飛び交う「プテラノドン」もコウモリのような皮膜の翼を羽ばたかせていて欲しいのだ。
 「ブルーホール」は、そんな恐竜大好き小僧の夢そのままに描いた。すでに20年が経過しで、今となっては誤った説に基づく部分もあるだろうが、そこは夢の世界。読者のみなさんも、時の抜け穴をのぞき見るつもりで楽しんでいただきたい。

なんか、凄く分かる気がする......