秘本玉くしげ

本居宣長『秘本玉くしげ』

然れども又いが程学問良く、経済の筋にも鍛錬し、当世の事情にも通達したるも、兎角に儒者は又儒者気質の一種の料簡ありて、議論の上の理窟は至極尤もに聞えても、現にこれを政事に用ひては、思ひの外に宜しからざる事もおほしくて、返て害ある事も有る也。惣じて何事も、実事かけては、その議論理窟の如くにはゆかぬ物也。

『秘本玉くしげ』

『漢字と日本人』の作者・高島俊男氏のコメントによって:「実は明晰で判りやすい。これが論理的な男の文章である。その代わり、漢語(及び和製漢語)がどんどん出てくる。学問、経済、鍛錬、当世、事情、通達、儒者、一種、料簡、議論、理窟、至極、現、政事...。要する実質的なところは殆ど全部字音語である。」


同じ本居宣長氏の文章ですが、前回の「古事記伝」と比べると、
此方の方が簡単明快と思う人は私だけではないと思います。


私の考えについて、便利なら漢語も和語も構わないと思います。
イノセンスにはこういう対話もあります。

バトー:なぁ、俺のオリジナルの残りはどこだったかな?
サイボーグ医師:やめとけよ。その腕の有機素材だってあんたのDNAと適合させるんだ。
バトー:使い込めば俺のオリジナルになる...か。

実はこういう場合、使い込めばならオリジナルであるかでないかそんなに大事なことではないと思います。
例え本居宣長の『秘本玉くしげ』は字音語を多用しても、あれは借り物だと思う人は多分居ないと思います。



って、まだ用事が有るので暫くそのまま...