NAGI 凪 倭姫命の旅、読了、万葉集試訳

■NAGI 凪 倭姫命の旅、読了
月兎舎『NAGI 凪』特集「倭姫命の旅 なぜ伊勢の地が選ばれたか?」読了。
滝原宮へ參ったとき、三瀬谷道の駅で購入したお伊勢の地方誌。
恐らく皇太神宮儀式帳を元に元伊勢の紹介を行ったですが、実際に元伊勢といわれるのはそれ以上多数あります。
元伊勢も機会があればいつか全部行ってみたいなと思います。



万葉集試訳

0611 大伴宿禰家持和歌二首 【承前,返歌第一。】
 今更 妹爾將相八跡 念可聞 幾許吾胸 欝悒將有
 今更(いまさら)に 妹(いも)に逢(あ)はめやと 思(おも)へかも 幾許(ここだ)く我(あ)が胸(むね) 欝悒(いぶせ)く有(あ)るらむ
 蓋思從今後 不得再與伊人逢 即因此念故 我胸欝悒愁幾許 無以解憂暢心懷
大伴家持 0611

「思(おも)へかも」,意同「思(おも)へばかも」。因前二句假設,而導致後句。
「幾許(ここだ)く我(あ)が胸(むね) 欝悒(いぶせ)く有(あ)るらむ」,「幾許(ここだ)く」表激烈如此。「欝悒(いぶせ)く」表鬱悶不樂。

0612 【承前,返歌第二。】
 中中者 默毛有益乎 何為跡香 相見始兼 不遂爾
 中中(なかなか)に 默(もだ)も有(あ)ら益(まし)を 何(なに)すとか 相見初(あひみそめ)けむ 遂(とげ)ざらまくに
 中中不上下 不若嘿默有益乎 究竟為何以 相見初逢觸戀心 明知無以遂其情
大伴家持 0612

「中中(なかなか)に」表中途半端之狀,期望脫離現狀,而有所改變。
「默(もだ)も有(あ)ら益(まし)を」,後悔與笠郎女相見搭話,而飽受戀苦。
「何(なに)すとか」,究竟為何,以何了見。
「遂(とげ)ざらまくに」,應當無法貫徹愛意。
笠郎女贈歌廿四首,而家持僅返歌三首。可知當家持主動接近,而後有所反悔。

0613 山口女王贈大伴宿禰家持歌五首 【五首第一。】
 物念跡 人爾不所見常 奈麻強爾 常念弊利 在曾金津流
 物思(ものおも)ふと 人(ひと)に見(み)えじと 憖(なまじひ)に 常(つね)に思(おも)へり 在(あり)そ兼(か)ねつる
 每逢沉物思 悲哀不欲他人見 刻意佯憖而 心作鎮定色露常 實則艱苦將欲死
山口女王 0613

「山口女王」,傳未詳。『萬葉集』1617有人贈家持歌,或為同時之作,然以該作有「秋荻に置きたる露」之語,而被歸於四季之歌,遂錄於卷八。
「憖(なまじひ)に」,無法達成卻逞強行之(假裝不在意,故作平常心)之狀。
「常(つね)に思(おも)へり」,「常(つね)」乃平常、普通之意。「思(おも)へり」非單指心中所思,更意不現瑜表情、態度,是即故作鎮定、佯作平靜,不令他人察言觀色窺知內心所念。
「在(あり)そ兼(か)ねつる」,「在(あり)」表狀態持續,難以維持活著的現狀。即哀心將死。

0614 【承前,五首第二。】
 不相念 人乎也本名 白細之 袖漬左右二 哭耳四泣裳
 相思(あひおも)はぬ 人(ひと)をや本無(もとな) 白栲(しろたへ)の 袖漬(そでひ)つ迄(まで)に 音(ね)のみし泣(な)かも
 思不相念人 單戀相思薄情者 無由更情切 白栲衣袖沾襟濕 放聲哭泣號哀鳴
山口女王 0614

「相思(あひおも)はぬ 人(ひと)をや本無(もとな)」,「を」呼應「音(ね)のみし泣(な)くも」,表念人情甚,而對方無意。
「音(ね)のみし泣(な)かも」,「泣(な)かも」乃「泣(な)かむ」之轉。

0615 【承前,五首第三。】
 吾背子者 不相念跡裳 敷細乃 君之枕者 夢所見乞
 我(わ)が背子(せこ)は 相思(あひおも)はずとも 敷栲(しきたへ)の 君(きみ)が枕(まくら)は 夢(いめ)に見(み)えこそ
 親親吾兄子 汝雖薄情不相念 還願敷栲兮 君枕得現吾夢中 以知君心查君情
山口女王 0615

「敷栲(しきたへ)の」,此為枕之枕詞。
「君(きみ)が枕(まくら)は 夢(いめ)に見(み)えこそ」,「こそ」乃接續動詞連用形以表希求之終助詞。所謂欲在夢中見枕者,乃述其人無情,但至少希望能見其枕以知真意。人睡夢時倚枕而眠,古俗以枕為託魂之物。

0616 【承前,五首第四。】
 劍大刀 名惜雲 吾者無 君爾不相而 年之經去禮者
 劍太刀(つるぎたち) 名(な)の惜(をし)けくも 我(あれ)は無(な)し 君(きみ)に逢(あ)はずて 年經(としのへ)ぬれば
 韴稜劍太刀 名譽者雖令人惜 吾不畏浮名 苦痛不得與君逢 已然年經歷餘歲
山口女王 0616

「劍太刀(つるぎたち)」,「名(な)」之枕詞。「な」乃刃之古名,「かたな(片刃=刀)」。或以同音,或刀上往往雕有作者名而為枕詞。
「名(な)の惜(をし)けくも 我(あれ)は無(な)し」,雖譽惜鳴,然更期早日相會,切迫之急,名譽可捨。
類歌有2879、2984。


0617 【承前,五首第五。】
 從蘆邊 滿來鹽乃 彌益荷 念歟君之 忘金鶴
 葦邊(あしへ)より 滿來潮(みちくるしほ)の 彌増(いやま)しに 思(おも)へか君(きみ)が 忘兼(わすれか)ねつる
 其猶自葦邊 滿來潮汐之所如 慕情彌日筯 所念吾君情不止 刻骨銘心誠難忘
山口女王 0617

「葦邊(あしへ)より 滿來潮(みちくるしほ)の」,用以起出「彌増(いやま)し」之序。
「思(おも)へか」,疑問條件。思ふ之主語為作者。
「君(きみ)が 忘兼(わすれか)ねつる」,「君が」乃「忘兼(わすれか)ねつる」之對象。