阿倍仲麻呂

阿倍仲麻呂と言うものは、言うまでもない優秀なる遣唐留学生である。
また、晁衡(朝衡)という中国名持っている。玄宗に寵遇され、帰国の許可が貰えませんでした。
折角許可を貰っても、海難のために帰国が果たせず、五十余年間中国に居る、そのまま没す。
伝説としても、入唐から幽霊になった阿倍仲麻呂吉備真備の事までの説話も有名で、『伏桑皇統記図絵』*1にも收録された。



玄宗に寵遇される事がわかりますが、
李白・王維・趙驊・包佶・儲光羲らと交友がある事が最近になって初めて知たんです。
ところで、以下は阿倍仲麻呂と関わる詩詞を刊載して頂く、当時の中日友好を垣間見してみます。


唐土にて月を見て詠みける

天の原振りさけ見れば 春日なる三笠の山に出し月かも

阿倍仲麻呂

阿倍仲麻呂最も有名の思郷のうた。

慕義名空在 偷忠孝不全
報恩無有日 歸國定何年

阿倍仲麻呂

吉備真備らの帰国が許されたのが、仲麻呂だけ帰国出来ずことを感懐した漢詩

西掖承休澣 東隅返故林
來稱郯子學 歸是越人吟
馬上秋郊遠 舟中曙海陰
知君懷魏闕 萬里獨搖心

趙驊

仲麻呂が帰国出来ずことを知らないまま作った送別詩。


帰国所感の詩籤

銜命將辭國 非才忝侍臣
天中戀明主 海外憶慈親
伏奏違金闕 騑驂去玉律
蓬萊鄉路遠 落木故園林
西望懷恩日 東歸感義辰
平生一寶劍 留贈結交人

阿倍仲麻呂

やっと帰国の許可が下さった、中国の友人に送る送別詩。残念ですが間もなく海難に遭った。


送秘書晁監還日本國

積水不可極 安知滄海東
九州何處遠 萬里若乘空
向國惟看日 歸帆但信風
鰲身映天鄢 魚眼射波紅
鄉樹扶桑外 主人孤島中
別離方異域 音信若為通

王維

王維による送別詩。同じく海難のためもったないになった。


送日本國聘賀使晁臣卿東歸

上才生下國 東海是西鄰
九譯蕃君使 千年聖主臣
野情偏得禮 木性本含真
錦帆乘風轉 金裝照地新
孤臣開蜃閣 曉日生朱輪
早識來朝歲 塗山玉帛均

包佶

包佶による送別詩。海難のため以下略。


哭晁卿衡

日本朝卿辭帝都 征帆一片繞蓬壺
明月不歸沈碧海 白雲愁色滿蒼梧

李白

海難のことを聞いた、阿倍仲麻呂が死んだと間違った李白による追誄詩。


洛中貽朝校書衡詩

萬國朝天中 東隅道最長
朝生美無度 高駕仕春坊
出入蓬山裏 逍遙伊水傍
伯鸞游太學 中夜一相望
若日懸高殿 秋風入洞房
屢言相去遠 不覺生死朝

儲光羲

阿倍仲麻呂が校書の職に任命された時の祝賀詩。


意外ほど多いですね、これまで知らなかった自分の無知さにはトホホな感じがあります。