メモ:「髪に霊力が宿っているとかないとかについて」作:Y.U.さん

Y.U.さんの許可を得て、高作を以下に転載致します。


髪に霊力が宿っているとかないとかについて

id:kuonkizunaさんの日記の内容に触発されて、なんとなく書いてみた。


昔、楚辞コースで教授から聞いたことがあったな。
古人にとって、髪はどんな意味を持っているのでしょうかと。
まずは物理的な面から見ると、髪は人体で一番成長スピードが早いものであり、故に髪が生命力を富んだ存在と思われた。
また髪には及ばないが、爪と髭も似たような目で見られていた。
シャーマニズムの面から見ると、髪と爪と髭のどれも人体の一部であり、先に言った生命力を富んだ存在ってことも加えて、呪術の媒介としては最も効果的と見なされていた。
イギリスの人類学者ジェームズ=フレイザーの『金枝篇』という本によると、呪術が大まか「類感呪術」と「感染呪術」二種類と分かれる。
その中の「感染呪術」は大体以下通り、

感染呪術 (かんせんじゅじゅつ) は、文化人類学者のジェームズ・フレイザーが定義した、民俗学における呪術の性質を表す言葉である。一度接触したものあるいは一つのものであったもの同士(ある個人とその着衣、ある個人とその人の爪、髪の毛など)は、遠隔地においても相互に作用するという発想を元にしている。

感染呪術 - Wikipedia

金枝篇』には世界中の「感染呪術」の実例も紹介されているので、興味があったら見てみるといいかも。
また我が国の学者江紹原の『髪鬚爪』という本にも似たような内容があるらしい。
自分は見たことないが、ネットで検索したらこのような内容を発見した。

(1)薬物としての効能が認められていた
(2)病気の原因と見なされていた
(3)髪と本人との間に類感的関係(体から離れた髪に与えられた行為が当人にも影響を与える)が認められていた
(4)髪が本人の身代りになると考えられていた
(5)髪を切るには日を選ぶ必要があると考えられていた
(6)死者の残した髪も埋葬の必要があると考えられていた

古代中国人と髪

という民族学的な考察が行われたらしい。
古代中国にでもこのような思想に影響されて、だから「身体髪膚之れを父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり」という概念も生まれた訳だ。


yakuza7の気まま日記より