本棚新調、万葉集試訳

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万葉集試訳

2498 【承前,九三八四。】
 剱刀 諸刃利 足踏 死死 公依
 劍大刀(つるぎたち) 諸刃利(もろはのと)きに 足踏(あしふ)みて 死(し)なば死(し)なむよ 君(きみ)に依(よ)りては
 雖然劍大刀 諸刃之利能傷創 蹈足不顧身 此身若死直須死 若為吾君不足惜
柿本人麻呂 2498

「劍大刀(つるぎたち)」,「大刀(たち)」蓋為總稱而「劍(つるぎ)」乃細項分類。
「諸刃(もろは)」,或書「兩刃(もろは)」,案『東大寺獻物帳』中,鋒刃、兩刃之疇不在少數。
「足踏(あしふ)みて」,用力踏蹈而蹈至足部受傷。
類歌2636。

2499 【承前,九三八五。】
 我妹 戀度 劔刀 名惜 念不得
 我妹子(わぎもこ)に 戀(こ)ひし渡(わた)れば 劍大刀(つるぎたち) 名惜(なのを)しけくも 思兼(おもひか)ねつも
 魂牽夢縈而 朝思暮戀伊人者 韴威劍刀兮 不顧身名無所惜 此命殆毀以相思
柿本人麻呂 2499

「劍大刀(つるぎたち)」,名之枕詞。或云「刀(かたな)」與「名(な)」雙關,或云依刀匠署名作品而來。
「思兼(おもひか)ねつも」,無法作此想。

2500 【承前,九三八六。】
 朝月日 向黃楊櫛 雖舊 何然公 見不飽
 朝日(あさづくひ) 向(むか)ふ黃楊櫛(つげくし) 古(ふ)りぬれど 何(なに)しか君(きみ)が 見(み)れど飽(あ)かざらむ
 晨曦朝付日 彼向黃楊櫛所如 雖然為舊交 何然吾君令人憐 見之百遍不嘗厭
柿本人麻呂 2500

「朝日(あさづくひ)」,與夕日相對,「向(むか)ふ」之枕詞。1294有「朝付日 向山に 月立てり見ゆ 遠妻を 待ちたる人は 見つつ偲はむ」
「向(むか)ふ黃楊櫛(つげくし)」,「向(むか)ふ」為對面。
「古(ふ)りぬれど」,以長年愛用的黃楊櫛比喻兩者相識之年月已久。

2501 【承前,九三八七。】
 里遠 眷浦經 真鏡 床重不去 夢所見與
 里遠(さとどほ)み 戀衷振(こひうらぶ)れぬ 真十鏡(まそかがみ) 床邊去(とこのへさ)らず 夢(いめ)に見(み)えこそ
 以居里甚遠 異地兩隔愁相思 無曇真十鏡 莫離あ床邊寄邯鄲 只願相逢在夢田
柿本人麻呂 2501

「真十鏡(まそかがみ)」,床之枕詞,復為末句「見(み)えこそ」之緣語。以鏡者常置床邊而言。
「夢(いめ)に見(み)えこそ」,古俗以為,常念伊人,則可入其夢中。
類歌2634。

2502 【承前,九三八八。】
 真鏡 手取以 朝朝 雖見君 飽事無
 真十鏡(まそかがみ) 手(て)に取持(とりも)ちて 朝(あさ)な朝(あさ)な 見(み)れども君(きみ)は 飽(あ)く事(こと)も無(な)し
 無曇真十鏡 以手取持之所如 朝朝復暮暮 何然吾君令人憐 雖見百遍不嘗厭
柿本人麻呂 2502

「真十鏡(まそかがみ)」,「手(て)に取持(とりも)ちて」之枕詞。2633、3185有類例。
以上二首,寄情於鏡。

2503 【承前,九三八九。】
 夕去 床重不去 黃楊枕 何然汝 主待固
 夕去(ゆふさ)れば 床邊去(とこのへさ)らぬ 黃楊枕(つげまくら) 何(なに)しか汝(なれ)の 主待難(ぬしまちがた)き
 每逢夕暮時 堅守床邊不離去 嗚呼黃楊枕 何然汝命待主難 久俟無報總空虛
柿本人麻呂 2503

「夕去(ゆふさ)れば」,此為恆常確定、習慣事實條件。
「汝(なれ)の 主待難(ぬしまちがた)き」,對黃楊枕呼籲,何以其主(作者之戀人)遲遲不來。
寄情於枕。

2504 【承前,九三九十。】
 解衣 戀亂乍 浮沙 生吾 有度鴨
 解衣(とききぬ)の 戀亂(こひみだ)れつつ 浮砂(うきまなご) 生(い)きても我(あれ)は 在渡(ありわた)る哉(かも)
 解衣敝裳兮 戀心忐忑情意亂 逐流浮沙兮 我心無依莫安寧 豈得長生憂世間
柿本人麻呂 2504

「解衣(とききぬ)の」,「亂(みだ)れ」之枕詞。縫絲若脫,則衣裳四散而亂。
「浮砂(うきまなご)」,浮於水中之輕石碎片。「砂(まなご)」為細沙。以「浮(う)き」為「生(い)き」之枕詞。
「在渡(ありわた)る哉(かも)」,底本原文「戀度鴨」,此依嘉曆傳本作「有度鴨」。
寄情於衣。

2505 【承前,九三九一。】
 梓弓 引不許 有者 此有戀 不相
 梓弓(あづさゆみ) 引(ひ)きて許(ゆる)さず 在(あ)らませば 斯(か)かる戀(こひ)には 遇(あ)はざらましを
 梓弓振弦兮 引其弩張莫令弛 若得如此者 起遭此戀亂心緒 意亂情迷如是哉
柿本人麻呂 2505

「梓弓(あづさゆみ) 引(ひ)きて許(ゆる)さず」,「許(ゆる)す」乃弛緩之意。比喻堅定心志不放下心防。
「斯(か)かる戀(こひ)には 遇(あ)はざらましを」,「戀(こひ)に遇(あ)ふ」為戀情之擬人表現。自嘲決心不再愛人,卻不覺落入戀情之語。
寄情於弓。

2506 【承前,九三九二。】
 事靈 八十衢 夕占問 占正謂 妹相依
 言靈(ことだま)の 八十衢(やそのちまた)に 夕占問(ゆふけと)ふ 占正(うらまさ)に告(の)る 妹相寄(いもあひよ)らむと
 黃昏大禍時 出居言靈八十衢 以問夕占者 占正灼然謂如是 將靡伊人與相依
柿本人麻呂 2506

「言靈(ことだま)」,言語中所訴之靈力。古俗以為,黃昏大禍時(大禍時其後訛作逢魔時。)之街口,乃熒惑等言靈繁盛之處。竊聞行人所述,可得神靈洩漏之天機。
「八十衢(やそのちまた)」,四通八達之街口。「衢(ちたま)」為「道股(ちたま)」之意。古代人行「辻占」之際,便於黃昏時訪此為之。
「占正(うらまさ)」,此云占事之結果符合自身期待。
「妹相寄(いもあひよ)らむと」,夕占所告知言語。

2507 【承前,九三九三。】
 玉桙 路徃占 占相 妹逢 我謂
 玉桙(たまほこ)の 道行占(みちゆきうら)の 占正(うらまさ)に 妹(いも)は逢(あ)はむと 我(われ)に告(の)りつも
 玉桙華道兮 出居言靈八十衢 以問道行占 占正謂我誠如是 其云吾將與妹逢
柿本人麻呂 2507

「道行占(みちゆきうら)の」,在街道上聽聞路人無心之話語,以占吉凶。或云辻占。
「妹(いも)は逢(あ)はむ」,與「妹(いも)に逢(あ)はむ」為個別表現。
以上二曲,寄情辻占。

2508 問答 【九首第一。】
 皇祖乃 神御門乎 懼見等 侍從時爾 相流公鴨
 天皇(すめろぎ)の 神御門(かみのみかど)を 恐(かしこ)みと 侍從時(さもらふとき)に 逢(あ)へる君(きみ)かも
 皇祖天皇之 宮中賢所御門處 誠惶復誠恐 戒慎恐懼侍從時 不意相逢我君矣
柿本人麻呂 2508

天皇(すめろぎ)の 神御門(かみのみかど)」,內裏。「天皇(すめろぎ)」指歷代天皇。此云自古以來傳統彌久之神子住居。
「侍從(さもら)ふ」,侍奉。作者視點蓋為女嬬等宮女之流。
勤務禁中之時,與官員密會之女官之曲。

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2509 【承前,九首第二。】
 真祖鏡 雖見言哉 玉限 石垣淵乃 隱而在孋
 真十鏡(まそかがみ) 見(み)とも言(い)はめや 玉限(たまかぎ)る 磐垣淵(いはがきふち)の 隱(こも)りたる妻(つま)
 無曇真十鏡 雖然相見豈言哉 玉限魂極兮 磐垣淵者之所如 藏嬌金屋莫令揚
柿本人麻呂 2509

 右二首。