補給物資、万葉集試訳

■補給物資
f:id:kuonkizuna:20181112203224j:plain

万葉集試訳

2703 【承前,百八十九之八五。】
 真薦苅 大野川原之 水隱 戀來之妹之 紐解吾者
 真薦刈(まこもか)る 大野川原(おほのがはら)の 水隱(みごも)りに 戀來(こひこ)し妹(いも)が 紐解(ひもと)く我(あれ)は
 真薦之所苅 大野川原隱水間 隱誨避人目 戀慕而來伊人矣 解其衣紐吾身者
佚名 2703

「真薦刈(まこもか)る」,此依「薦(こも)」帶出大野川原因水漲而隱(こもり)沒。
「大野川原(おほのがはら)」,大野川所在未詳。以上二句乃「水隱(みごも)り」之序,藉川原隱沒暗喻隱忍之戀情。
「水隱(みごも)り」,隱沒水中,於表面吾所察覺之狀。比喻雖然心裡愛意深切,表面卻故作無情。
「戀來(こひこ)し妹(いも)が」,愛戀自身而前來相會之戀人。
「紐解(ひもと)く我(あれ)は」,倒置用法。

2704 【承前,百八十九之八六。】
 惡冰木乃 山下動 逝水之 時友無雲 戀度鴨
 足引(あしひき)の 山下響(やましたとよ)み 逝水(ゆくみづ)の 時(とき)とも無(な)くも 戀渡(こひわた)るかも
 足曳勢險峻 巍峨山下所鳴響 逝水如斯夫 不捨晝夜無絕時 吾人戀慕度終日
佚名 2704

「山下響(やましたとよ)み」,於山麓轟轟作響之激流。
「時(とき)とも無(な)くも」,無定時,浩瀚無窮,永永遠遠。

2705 【承前,百八十九之八七。】
 愛八師 不相君故 徒爾 此川瀨爾 玉裳沾津
 愛(は)しきやし 逢(あ)はぬ君故(きみゆゑ) 徒(いたづら)に 此川瀨(このかはのせ)に 玉裳濡(たまもぬ)らしつ
 憤矣愛憐哉 落花有意水無情 伊人不來逢 妾在此河川瀨間 徒濕裾裳苦相思
佚名 270

「愛(は)しきやし」,哀憐自身可悲之感嘆詞。
「逢(あ)はぬ君故(きみゆゑ)」,為了不來相逢之無情郎之故。
「玉裳濡(たまもぬ)らしつ」,玉為美稱,或指以珠玉裝飾之衣裳。在河邊等待男方到來,而令衣裳漬濡。
類歌2429,而男女觀點倒置。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m11.htm#2429

2706 【承前,百八十九之八八。】
 泊湍川 速見早湍乎 結上而 不飽八妹登 問師公羽裳
 泊瀨川(はつせがは) 速早瀨(はやみはやせ)を 結上(むすびあ)げて 飽(あ)かずや妹(いも)と 問(と)ひし君(きみ)はも
 長谷泊瀨川 速水湍急掬上而 可口也哉飽也哉 親親吾妹想如何 如是問訊我君矣
佚名 2706

「速早瀨(はやみはやせ)を」,「速(はや)み」乃「速(はや)し」之名詞形,與早瀨同格。
「結上(むすびあ)げて」,以雙手掬水。
「飽(あ)かずや妹(いも)と」,探問戀人河水是否可口。「飽(あ)かずや」指是否厭煩。男方溶入愛情之話語。
「問(と)ひし君(きみ)はも」,「はも」指至今如何。蓋是昔日相睦,但因故訣別不相往來。『伊勢物語』127段有類歌,為女方追念去世男子之曲。

2707 【承前,百八十九之八九。】
 青山之 石垣沼間乃 水隱爾 戀哉將度 相緣乎無
 青山(あをやま)の 磐垣沼(いはかきぬま)の 水隱(みごも)りに 戀(こ)ひや渡(わた)らむ 逢由(あふよし)を無(な)み
 蒼鬱青山之 岩根盤據磐垣沼 水匿之所如 此情隱忍埋胸懷 戀渡只因無逢由
佚名 2707

「青山(あをやま)の」,蒼翠茂盛之山。
「岩垣沼(いはかきぬま)の」,為岩盤所環繞之沼。
「水隱(みごも)りに」,由水所隱沒,無法窺見。
「戀(こ)ひや渡(わた)らむ」,詠嘆疑問。

2708 【承前,百八十九之九十。】
 四長鳥 居名山響爾 行水乃 名耳所緣之 內妻波母【一云,名耳所緣而,戀管哉將在。】
 息長鳥(しながどり) 豬名山響(ゐなやまとよ)に 行水(ゆくみづ)の 名(な)のみ寄(よ)そりし 隱妻(こもりづま)はも【一云(またにいふ)、名(な)のみ寄(よ)そりて、戀(こ)ひつつやあらむ。】
 相率息長鳥 豬名山間作鳴響 逝水之所如 唯有風聞入耳中 親親隱妻今何如【一云,唯有風聞入耳中,相思戀慕無絕時。】
佚名 2708

「息長鳥(しながどり)」,或云貌鳥,習性相率(ゐ)行動,故為豬(ゐ)之枕詞。
「隱妻(こもりづま)はも」,詠嘆疑問。

2709 【承前,百八十九之九一。】
 吾妹子 吾戀樂者 水有者 之賀良三超而 應逝衣思【或本歌發句云,相不思,人乎念久。】
 我妹子(わぎもこ)に 我(あ)が戀(こ)ふらくは 水(みづ)ならば 柵越(しがらみこ)して 行(ゆ)くべく思(おも)ほゆ【或本歌發句云(あるふみのはじまるのくにいふ)、相思(あひおも)はぬ、人(ひと)を思(おも)はく。】
 窈窕淑女矣 吾人所以戀慕者 若以水諭之 洽猶逝水越柵而 不惜強行此念矣【或本歌發句云,落花雖有情,所慕不戀吾人者。】
佚名 2709

「行(ゆ)くべく思(おも)ほゆ」,此云思念之情難以抑制,猶如跨越水柵而強行前去之流水一般。
「發句」,此云第一二句,愛上不愛自己的人。

2710 【承前,百八十九之九二。】
 狗上之 鳥籠山爾有 不知也河 不知二五寸許瀨 余名告奈
 犬上(いぬかみ)の 鳥籠山(とこのやま)なる 不知哉川(いさやかは) 去來(いさ)とを聞(き)こせ 我(わ)が名告(なの)らす莫(な)
 犬上近江道 鳥籠山邊不知哉 川名喚不知 去來不知何以返 還願莫告我名矣
佚名 2710

「不知哉川(いさやかは)」,藉同音而為「去來(いさ)」之序。
「去來(いさ)とを聞(き)こせ」,「去來(いさ)」於此為不知如何之應答詞。
古今集13墨滅歌有類歌,又與0487「 近江道の 鳥籠山なる 不知哉川 日頃頃は 戀つつもあらむ」或為應答。

2711 【承前,百八十九之九三。】
 奧山之 木葉隱而 行水乃 音聞從 常不所忘
 奧山(おくやま)の 木葉隱(このはがく)りて 行水(ゆくみづ)の 音聞(おとき)きしより 常忘(つねわす)らえず
 洽猶深山間 木葉遮蔽所隱兮 逝水之所如 自從風聞汝音訊 常懸心頭未嘗忘
佚名 2711

「行水(ゆくみづ)の」,以上,為聞其音,未見其形之比喻。
「音聞(おとき)きしより」,自從聽到對方之傳聞開始。

2712 【承前,百八十九之九四。】
 言急者 中波余騰益 水無河 絕跡云事乎 有超名湯目
 言急(ことと)くは 中(なか)は淀(よど)ませ 水無川(みなしがは) 絕(た)ゆと云事(いふこと)を 有(あり)こす勿努(なゆめ)
 流言蜚語傳 噂繁痛者可中淀 然而有所思 願如伏流水無川 勿斷往來莫絕緣
佚名 2712

「言急(ことと)くは」,他人之流言蜚語盛傳。
「中(なか)は淀(よど)ませ」,「淀(よど)ませ」指途絕往來以迴避浮名。
水無川(みなしがは)」,表面乾涸之伏流之川。避諱人目,隱晦之戀之比喻。

2713 【承前,百八十九之九五。】
 明日香河 逝湍乎早見 將速登 待良武妹乎 此日晚津
 明日香川(あすかがは) 行瀨(ゆくせ)を速(はや)み 早(はや)けむと 待(ま)つらむ妹(いも)を 此日暮(このひく)らしつ
 見彼飛鳥河 川瀨湍急速水者 願伊人早來 如斯引領娘子矣 徒守空閨日已暮
佚名 2713

「行瀨(ゆくせ)を速(はや)み 早(はや)けむと」,期待戀人快快到來之心情。
「此日暮(このひく)らしつ」,未能造訪而今天亦已過去。

2714 【承前,百八十九之九六。】
 物部乃 八十氏川之 急瀨 立不得戀毛 吾為鴨【一云,立而毛君者,忘金津藻。】
 文武百官(もののふ)の 八十宇治川(やそうぢがは)の 早瀨(はやきせ)に 立得(たちえ)ぬ戀(こひ)も 我(あれ)はするかも【一云(またにいふ)、立(た)ちても君(きみ)は、忘兼(わすれか)ねつも。】
 文武百官兮 綿延八十宇治川 早瀨急且速 由是困難不得立 其戀吾人將為哉【一云,勉強而立轉瞬間,片刻莫能忘吾君。】
佚名 2714

「文武百官(もののふ)の」,原文物部,此云侍奉朝廷之文武百官八十綿延。為分流眾多之宇治川之枕詞。
「早瀨(はやきせ)に 立得(たちえ)ぬ戀(こひ)も」,以河水湍急,無以立足,比喻自身之戀情。

2715 【承前,百八十九之九七。】
 神名火 打迴前乃 石淵 隱而耳八 吾戀居
 神奈備(かむなび)の 打迴崎(うちみのさき)の 岩淵(いはぶち)の 隱(こも)りてのみや 我(あ)が戀居(こひを)らむ
 飛鳥神奈備 山裾蜿蜒打迴崎 岩淵之所如 常避人目不欲知 吾之長相所戀矣
佚名 2715

神奈備(かむなび)の」,此云飛鳥之神奈備山。
「打迴崎(うちみのさき)」,未詳。『古事記』上歌謠有「男に坐せば 打迴る 島崎崎」云云,概指山裾蜿蜒之地形。或在飛鳥西北方甘橿丘周邊。
「岩淵(いはぶち)」,與岩垣淵同。

2716 【承前,百八十九之九八。】
 自高山 出來水 石觸 破衣念 妹不相夕者
 高山(たかやま)ゆ 出來(いでく)る水(みづ)の 岩(いは)に觸(ふ)れ 碎(くだ)けてぞ思(おも)ふ 妹(いも)に逢(あ)はぬ夜(よ)は
 自於高山上 所以泉湧速水兮 觸岩迸碎矣 不得與妹逢之夜 吾念紊亂恰如斯
佚名 2716

「岩(いは)に觸(ふ)れ」,以上乃「碎(くだ)け」之序文。
「碎(くだ)けてぞ思(おも)ふ」,心情紊亂,猶如碎作萬段。

2717 【承前,百八十九之九九。】
 朝東風爾 井堤超浪之 世染似裳 不相鬼故 瀧毛響動二
 朝東風(あさごち)に 堰(ゐ)で越(こ)す波(なみ)の 外目(よそめ)にも 逢(あ)はぬ物故(ものゆゑ) 瀧(たき)も轟(とどろ)に
 恰如朝東風 所掀駭浪越堤堰 未觸旁人目 千思萬緒埋胸懷 何以瀧音響轟轟
佚名 2717

「堰(ゐ)で越(こ)す波(なみ)の」,「堰(ゐ)」為田間為導引水流而以石砌成之柵。「で」表場所。此云,風勢甚大,令水越堰而溢出。
「外目(よそめ)にも」,「外目」指從旁,遠處觀看。原文或作「世蝶似裳」,按『萬葉考』則蝶乃染之訛矣。
「瀧(たき)も轟(とどろ)に」,比喻流言蜚語響徹盛傳。

2718 【承前,百八十九之一百。】
 高山之 石本瀧千 逝水之 音爾者不立 戀而雖死
 高山(たかやま)の 岩本激(いはもとたぎ)ち 行水(ゆくみづ)の 音(おと)には立(た)てじ 戀(こ)ひて死(し)ぬとも
 深邃高山間 岩盤激落綻迸流 逝水之所如 決計不令浮名立 消聲戀死無所惜
佚名 2718

「岩本激(いはもとたぎ)ち 行水(ゆくみづ)の」,「激(たぎ)ち」原文「瀧千」,亦可訓作「たきち」。以上乃「音(おと)」之序。

2719 【承前,百八十九百一。】
 隱沼乃 下爾戀者 飽不足 人爾語都 可忌物乎
 隱沼(こもりぬ)の 下(した)に戀(こ)ふれば 飽足(あきだ)らず 人(ひと)に語(かた)りつ 忌(い)むべき物(もの)を
 隱沼下通兮 隱匿戀情竊思者 此情難飽足 不覺口漏伊人名 雖知禁忌難自已
佚名 2719

「忌(い)むべき物(もの)を」,避免招來禍害而應當敬遠避諱。
類歌2441。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m11.htm#2441

2720 【承前,百八十九百二。】
 水鳥乃 鴨之住池之 下樋無 欝悒君 今日見鶴鴨
 水鳥(みづとり)の 鴨(かも)の棲池(すむいけ)の 下樋無(したびな)み 欝悒(いぶせ)き君(きみ)を 今日見(けふみ)つるかも
 浮寢水鳥兮 味鴨生息棲池之 其沼無下樋 欝悒不安吾君矣 今日久別終得逢
佚名 2720

「水鳥(みづとり)の」,鴨之枕詞。
「鴨(かも)の棲池(すむいけ)の」,『遊仙窟』古訓注「沼」為「いけ」。此為天然積水之沼。以上比喻感情無處宣洩。
「下樋(したび)」,埋於地下用於排水之管線。
「欝悒(いぶせ)き君(きみ)を」,不得相逢欝悒寡歡之狀。

2721 【承前,百八十九百三。】
 玉藻苅 井堤乃四賀良美 薄可毛 戀乃余杼女留 吾情可聞
 玉藻刈(たまもか)る 堰柵(ゐでのしがらみ) 薄(うす)みかも 戀淀(こひのよど)める 我(あ)が心(こころ)かも
 拾苅玉藻兮 所以阻礙堰柵者 薄而不堅牢 實際令此戀淀者 蓋是易變我心哉
佚名 2721

「玉藻刈(たまもか)る」,「堰(ゐで)」之枕詞。在水門、用水路之邊去除玉藻。
「堰柵(ゐでのしがらみ) 薄(うす)みかも」,柵表示阻礙戀情之事物,然此文所述,乃戀情所受阻礙不多,反而激不起熱情。
「戀淀(こひのよど)める」,戀情冷卻。
反省自身熱情不復,或他人責問之曲。

2722 【承前,百八十九百四。】
 吾妹子之 笠乃借手乃 和射見野爾 吾者入跡 妹爾告乞
 我妹子(わぎもこ)が 笠(かさ)のかりての 和射見野(わざみの)に 我(あれ)は入(い)りぬと 妹(いも)に告(つ)げこそ
 親親吾妹之 褦襶笠胎內環兮 和射見野矣 吾今將入至此地 還願告諸我妹子
佚名 2722

「笠(かさ)のかりての」,「かりて」乃斗笠內側接頭繫絲之輪狀部分。
「妹(いも)に告(つ)げこそ」,委託相遇異地之人,將自己之現況傳達給戀人。

2723 【承前,百八十九百五。】
 數多不有 名乎霜惜三 埋木之 下從其戀 去方不知而
 數多(あまた)あらぬ 名(な)をしも惜(を)しみ 埋木(うもれぎ)の 下(した)ゆそ戀(こ)ふる 行方知(ゆくへし)らずて
 其數不多有 奉為惜此名望而 埋木之所如 竊戀不為人目觸 不知當去往何方
佚名 2723

「數多(あまた)あらぬ」,世上唯一。
「名(な)をしも惜(を)しみ」,「惜(を)しみ」乃「惜(を)し」之み句法。
「埋木(うもれぎ)の」,太古樹木埋藏地下而化石者。自身單戀不為人知之比喻。
「行方知(ゆくへし)らずて」,不知此戀將如何發展。

2724 【承前,百八十九百六。】
 冷風之 千江之浦迴乃 木積成 心者依 後者雖不知
 秋風(あきかぜ)の 千江浦迴(ちえのうらみ)の 木屑成(こつみな)す 心(こころ)は寄(よ)りぬ 後(のち)は知(し)らねど
 秋風迴盪兮 千江浦迴所寄近 木屑之所如 此心已依附伊人 雖然不知後何如
佚名 2724

「秋風(あきかぜ)の」,以秋風吹拂修飾千江之類枕詞用法。
「千江浦迴(ちえのうらみ)の」,千江所在未詳,或云出雲濱田市外浦町。浦迴乃入江之灣曲部。
「木屑(こつみ)」,木屑、芥之類。特指波浪擊岸之際隨波逐流者。

2725 【承前,百八十九百七。】
 白細砂 三津之黃土 色出而 不云耳衣 我戀樂者
 白真砂(しらまなご) 御津埴生(みつのはにふ)の 色(いろ)に出(いで)て 言(い)は無(な)くのみそ 我(あ)が戀(こ)ふらくは
 白皙細沙兮 御津埴生之所如 灼然現顏色 雖然不言藏胸懷 我戀已為天下知
佚名 2725

「白真砂(しらまなご)」,「真砂(まなご)」乃細沙。作為三津之代表景物而以為其枕詞。
御津埴生(みつのはにふ)の」,埴生乃赤土。以上為帶出「色(いろ)」之序文。

2726 【承前,百八十九百八。】
 風不吹 浦爾浪立 無名乎 吾者負香 逢者無二【一云,女跡念而。】
 風吹(かぜふ)かぬ 浦(うら)に波立(なみた)ち 無(な)かる名(な)を 我(あれ)は負(お)へるか 逢(あ)ふとは無(な)しに【一云(またにいふ)、女(をみな)と思(おも)ひて。】
 究竟奈何哉 浦間無風浪卻起 子虛烏有兮 我負浮名如此哉 分明未嘗得相逢【一云,窈窕淑女吾所念。】
佚名 2726

「風吹(かぜふ)かぬ 浦(うら)に波立(なみた)ち」,流言毫無理由地竄起。
「無(な)かる名(な)を」,無實之虛名。
「我(あれ)は負(お)へるか」,受到他人之怨恨、詛咒或惡評。「か」乃詠唱。
「女(をみな)と思(おも)ひて」,第五句之異傳,其上蓋脫第四句之異傳。

2727 【承前,百八十九百九。】
 酢蛾嶋之 夏身乃浦爾 依浪 間文置 吾不念君
 酢蛾島(すがしま)の 夏身浦(なつみのうら)に 寄(よ)する波(なみ) 間(あひだ)も置(お)きて 我(わ)が思(おも)は無(な)くに
 神風伊勢國 酢蛾島間夏身浦 依浪之所如 我念頻頻無間斷 終日依戀無絕時
佚名 2727

「酢蛾島(すがしま)」、「夏身浦(なつみのうら)」,所在未詳。或云酢蛾島者,伊勢鳥羽菅島。
「寄(よ)する波(なみ)」,以上,「絶え間なき」之序。

2728 【承前,百八十九百十。】
 淡海之 奧津嶋山 奧間經而 我念妹之 言繁苦
 近江(あふみ)の 沖島山(おきつしまやま) 奧間經(おくまへ)て 我(あ)が思(おも)ふ妹(いも)が 言(こと)の繁(しげ)けく
 近江淡海之 瀛津島山之所如 雖然戀伊人 吾藏此思深奧處 奈何流言蜚語繁
佚名 2728

沖島山(おきつしまやま)」,以上乃藉類音帶出「奧(おく)」之序文。
「奧間經(おくまへ)て」,心中深奧之秘藏之處。
類歌2439。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m11.htm#2439

2729 【承前,百八十九百十一。】
 霰零 遠津大浦爾 緣浪 縱毛依十方 憎不有君
 霰降(あられふ)り 遠大浦(とほつおほうら)に 寄(よ)する波(なみ) 縱(よし)も寄(よ)すとも 憎(にく)く有(あ)ら無(な)くに
 霰零雹降兮 沖瀛遠津大浦間 依浪之所如 縱為他人言語姚 戀慕徒長無所憎
佚名 2729

「霰降(あられふ)り」,以雹降擬音「とほとほ」而為「遠大浦(とほつおほうら)」之枕詞。
「遠大浦(とほつおほうら)に」,大浦位於琵琶湖北方,大浦灣之最深處,故冠以此名。
「寄(よ)する波(なみ)」,以上乃用以帶出「寄(よ)す」之序文。
「縱(よし)も寄(よ)すとも」,「縱(よし)」表容許、放任之狀。「寄(よ)す」此云聽聞異性與自身有關係之傳聞。

2730 【承前,百八十九百十二。】
 木海之 名高之浦爾 依浪 音高鳧 不相子故爾
 紀伊海(きのうみ)の 名高浦(なたかのうら)に 寄(よ)する波(なみ) 音高(おとだか)きかも 逢(あ)はぬ兒故(こゆゑ)に
 洽猶紀伊海 名高浦間所依浪 音高之所如 流言蜚語人言繁 竟為未逢娘子故
佚名 2730

「寄(よ)する波(なみ)」,以上「音高(おとだか)きかも」之序。
「逢(あ)はぬ兒故(こゆゑ)に」,逆接用法。

2731 【承前,百八十九百十三。】
 牛窗之 浪乃鹽左豬 嶋響 所依之君 不相鴨將有
 牛窗(うしまど)の 波潮騷(なみのしほさゐ) 島響(しまとよ)み 寄(よ)そりし君(きみ)は 逢(あ)はずかもあらむ
 吉備牛窗之 駭浪潮騷呻聲高 響徹貫島中 如斯蜚語所依君 蓋當不來相逢哉
佚名 2731

「牛窗(うしまど)の」,當時沿山陽道航行瀨戶內海時,會經過牛窗瀨戶。
「波潮騷(なみのしほさゐ)」,潮騷乃潮流與封抵觸而發出的浪聲。
「寄(よ)そりし君(きみ)は」,或本原文書「所依之君爾」,此依嘉曆傳承本無之。

2732 【承前,百八十九百十四。】
 奧波 邊浪之來緣 左太能浦之 此左太過而 後將戀可聞
 沖波(おきつなみ) 邊波來寄(へなみのきよ)る 佐太浦(さだのうら)の 此時過(このさだす)ぎて 後戀(のちこ)ひむかも
 遠瀛沖波至 近岸邊波亦來寄 嗚呼佐太浦 千載一遇此時節 錯失其後當可戀
佚名 2732

「佐太浦(さだのうら)の」,以上乃用以帶出「時(さだ)」之序。佐太浦所在未詳,或云貞浦。
「此時過(このさだす)ぎて」,「時(さだ)」乃時機之意。中古語「時過(さだす)ぐ」與之同源。
3160重出。

2733 【承前,百八十九百十五。】
 白浪之 來緣嶋乃 荒礒爾毛 有申物尾 戀乍不有者
 白波(しらなみ)の 來寄(きよ)する島(しま)の 荒礒(ありそ)にも あら益物(ましもの)を 戀(こ)ひつつ有(あ)らずは
 滔滔白浪之 前後來依島荒磯 吾人有所思 相較苦戀無絕日 不若身化彼荒磯
佚名 2733

「礒(ありそ)にも あら益物(ましもの)を」,荒磯乃人跡罕至之岩岸,荒涼而遠離世俗之場所。

2734 【承前,百八十九百十六。】
 鹽滿者 水沫爾浮 細砂裳 吾者生鹿 戀者不死而
 潮滿(しほみ)てば 水泡(みなわ)に浮(う)かぶ 真砂(まなご)にも 我(あれ)は生(い)けるか 戀(こひ)は死(し)なずて
 每逢潮滿者 依隨水沫浮滄溟 真砂之所如 吾人忐忑仍苟活 未得戀死能百了
佚名 2734

「水泡(みなわ)に浮(う)かぶ 真砂(まなご)にも」,比喻心情動搖,無一刻安寧之狀態。「も」為詠嘆。

2735 【承前,百八十九百十七。】
 住吉之 城師乃浦箕爾 布浪之 數妹乎 見因欲得
 住吉(すみのえ)の 岸浦迴(きしのうらみ)に 頻波(しくなみ)の 屢妹(しばしばいも)を 見(み)む由欲得(よしもがも)
 墨江住吉之 邊岸浦迴所緣來 頻浪之所如 吾人苦耐相思愁 欲得有以可頻逢
佚名 2735

「頻波(しくなみ)の」,頻頻不斷,後浪推前浪。用以帶出後文「屢(しばしば)」之序。

2736 【承前,百八十九百十八。】
 風緒痛 甚振浪能 間無 吾念君者 相念濫香
 風(かぜ)を甚(いた)み 甚振(いたぶ)る波(なみ)の 間無(あひだな)く 我(あ)が思(おも)ふ君(きみ)は 相思(あひおも)ふらむか
 疾風吹荒振 所捲狂瀾之所如 吾之念君者 猶彼怒濤無絕時 然君念我又何如
佚名 2736

「風(かぜ)を甚(いた)み」,「甚(いた)み」乃「甚し」之み句法。
「甚振(いたぶ)る波(なみ)」,狂瀾、荒浪。

2737 【承前,百八十九百十九。】
 大伴之 三津乃白浪 間無 我戀良苦乎 人之不知久
 大伴(おほとも)の 御津白波(みつのしらなみ) 間無(あひだな)く 我(あ)が戀(こ)ふらくを 人知(ひとのし)ら無(な)く
 難波大伴之 三津御津白浪者 頻頻無絕時 吾之所戀亦如斯 何奈伊人無由知
佚名 2737

「大伴(おほとも)の 御津白波(みつのしらなみ)」,「間無(あひだな)く」之序。
「人知(ひとのし)ら無(な)く」,此「人」只作者單戀之對象。對方無從得知作者之情感。

2738 【承前,百八十九百二十。】
 大船乃 絕多經海爾 重石下 何如為鴨 吾戀將止
 大船(おほぶね)の 搖盪海(たゆたふうみ)に 錨下(いかりお)ろし 如何(いか)に為(せ)ばかも 我(あ)が戀止(こひや)まむ
 縱令大船者 搖盪不只海象險 下錨於此處 吾人痴狂當何如 可令此戀能息止
佚名 2738

「大船(おほぶね)の 搖盪海(たゆたふうみ)に」,連相較安穩之大船亦激烈搖盪之兇險海象。
「錨下(いかりお)ろし」,以「錨(いかり)」之同音帶出「如何(いか)」之序文。欲平復澎湃之心情。

2739 【承前,百八十九百廿一。】
 水沙兒居 奧麤礒爾 緣浪 徃方毛不知 吾戀久波
 鶚居(みさごゐ)る 沖荒礒(おきつありそ)に 寄(よ)する波(なみ) 行方(ゆくへ)も知(し)らず 我(あ)が戀(こ)ふらくは
 鷲鶚水沙兒 所棲奧沖荒礒間 依浪之所如 不知將往何處去 吾人戀慕迷霧中
佚名 2739

「鶚(みさご)」,鷲鷹目鶚科鳥類。棲息於荒磯、孤島、斷崖,急降水面以捕食之小型猛禽。
「沖荒礒(おきつありそ)に 寄(よ)する波(なみ)」,原文「麤礒」者,『萬象名義』云「麤,疏也。」與粗同。以上,「行方(ゆくへ)も知(し)らず」之序。
「行方(ゆくへ)も知(し)らず」,不知此戀將能成遂與否。

2740 【承前,百八十九百廿二。】
 大船之 艫毛舳毛 依浪 依友吾者 君之任意
 大船(おほぶね)の 艫(とも)にも舳(へ)にも 寄(よ)する波(なみ) 寄(よ)すとも我(われ)は 君(きみ)が隨(まにま)に
 浮海大船之 船艫船舳之所寄 依浪之所如 縱令眾人蜚語繁 隨君恣意吾不顧
佚名 2740

「艫(とも)にも舳(へ)にも」,「舳」、「艫」個別為船首、船尾。仙覺系底本原文作「舳毛艫毛」,此依嘉曆傳本、類聚古集書「艫毛舳毛」。
「寄(よ)する波(なみ)」,以上乃「寄(よ)す」之序。


2741 【承前,百八十九百廿三。】
 大海二 立良武浪者 間將有 公二戀等九 止時毛梨
 大海(おほきうみ)に 立(た)つらむ波(なみ)は 間(あひだ)あらむ 君(きみ)に戀(こ)ふらく 止(や)む時(とき)も無(な)し
 縱令綿津見 滄溟大海所常興 波浪有息時 然而吾之戀君者 須臾片刻無所止
佚名 2741

「立(た)つらむ波(なみ)は」,「らむ」表關乎恆常事實之推量、傳聞。
「間(あひだ)あらむ」,對照用法,指海浪有間而己身之思念無間。

2742 【承前,百八十九百廿四。】
 壯鹿海部乃 火氣燒立而 燎鹽乃 辛戀毛 吾為鴨
 志賀海人(しかのあま)の 火氣燒立(ほけやきた)てて 燒鹽(やくしほ)の 辛戀(からきこひ)をも 我(あれ)はするかも
 志賀海人之 所以起煙爨火氣 燒鹽之所如 辛酸悲毀焚身焦 如斯苦戀將為哉
石川君子 2742

 右一首,或云,石川君子朝臣作之。

「火氣(ほけ)」,煙。
「燒鹽(やくしほ)の」,以上乃「辛(から)き」之序文。
類歌3652、3932。0278有「志賀海女は 海布刈り鹽燒き 暇無み 櫛笥小櫛 取りも見無くに」,左注「石川朝臣君子,號曰少郎子也。」。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m03.htm#0278

2743 【承前,百八十九百廿五。】
 中中二 君二不戀者 枚浦乃 白水郎有申尾 玉藻苅管
 中中(なかなか)に 君(きみ)に戀(こ)ひずは 比良浦(ひらのうら)の 海人(あま)なら益(まし)を 玉藻刈(たまもか)りつつ
 中中不上下 較於戀君屢沉浮 不若化此身 為比良浦白水郎 常苅玉藻無憂慮
佚名 2743

 或本歌曰:「中中爾,君爾不戀波,留牛馬浦之,海部爾有益男,珠藻苅苅。」
 或本歌曰(あるぶみのうたにいふ):「中中(なかなか)に、君(きみ)に戀(こ)ひずは、牛留馬浦(にほのうら)の、海人(あま)にあら益(まし)を、玉藻刈(たまもか)る刈(か)る。」
 中中不上下 較於戀君屢沉浮 不若化此身 為牛留馬浦海人 常苅玉藻無憂慮

「中中(なかなか)に」,不上不下,無法果決地一了百了。
「牛留馬浦(にほのうら)」,蓋在琵琶湖岸。
類歌3205。

2744 【承前,百八十九百廿六。】
 鈴寸取 海部之燭火 外谷 不見人故 戀比日
 鱸取(すずきと)る 海人燈火(あまのともしび) 外(よそ)にだに 見(み)ぬ人故(ひとゆゑ)に 戀(こ)ふる此頃(このころ)
 願猶捕鱸之 海人燈火照赫顯 縱然立遠處 不得相見苦相思 我戀伊人此頃時
佚名 2744

「鱸(すずき)」,鱸科身長一米以上之大型魚種。
「海人燈火(あまのともしび)」,以上為「外(よそ)にだに」之序文。夜漁之時,點火吸引魚類以捕之,縱要遙遠岸上亦得望見。
「外(よそ)にだに 見(み)ぬ人故(ひとゆゑ)に」,希望至少能猶岸上眺望漁火般,遠遠地眺望心上人,但連此都辦不到。

2745 【承前,百八十九百廿七。】
 湊入之 葦別小舟 障多見 吾念公爾 不相頃者鴨
 湊入(みなとい)りの 葦別小舟(あしわけをぶね) 障多(さはりおほ)み 我(あ)が思(おも)ふ君(きみ)に 逢(あ)はぬ頃(ころ)かも
 洽猶將入湊 葦別小舟之所如 以障礙實多 不得與吾之所念 伊人相逢此頃時
佚名 2745

「湊入(みなとい)りの」,「湊」為水之出入口,此云河口之港湊。
「葦別小舟(あしわけをぶね)」,駛入蘆葦群中,排開葦叢而前進。以上為引出「障多(さはりおほ)み」之序文。
「障多(さはりおほ)み」,阻礙甚多。
類歌2998。

2746 【承前,百八十九百廿八。】
 庭淨 奧方榜出 海舟乃 執梶間無 戀為鴨
 庭清(にはきよ)み 沖邊漕出(おきへこぎいづ)る 海人舟(あまぶね)の 楫取(かぢと)る間無(まな)き 戀(こひ)もするかも
 庭清海寧靜 因以榜出沖瀛之 海人舟槳手 執梶不停無間斷 慕情款款無絕時
佚名 2746

「庭清(にはきよ)み」,庭為漁撈作業之場所,於茲指海面。
「海人舟(あまぶね)の」,海人為前往漁場,不間斷地划槳。為「間無(まな)き」之序。

2747 【承前,百八十九百廿九。】
 味鎌之 鹽津乎射而 水手船之 名者謂手師乎 不相將有八方
 味鎌(あぢかま)の 鹽津(しほつ)を指(さ)して 漕船(こぐふね)の 名(な)は告(の)りてしを 逢(あ)はざらめやも
 未勘味鎌兮 指其鹽津以航向 水手榜船之 已然委身告名諱 豈有不予逢理哉
佚名 2747

「味鎌(あぢかま)の」,或云地名,或云枕詞。為地名者,則蓋未勘國。東歌3551有「味鎌の瀉」云云。
「漕船(こぐふね)の」,以上乃「名」之序。
「名(な)は告(の)りてしを」,古時告知名諱乃表明結婚意志之行為。
「逢(あ)はざらめやも」,主語為男子。

2748 【承前,百八十九百三十。】
 大船爾 葦荷苅積 四美見似裳 妹心爾 乘來鴨
 大船(おほぶね)に 葦荷刈積(あしにかりつ)み 繁(しみ)みにも 妹(いも)は心(こころ)に 乘(の)りにけるかも
 洽猶大船上 荷積苅葦之所如 層層無間隙 吾寄赤心在伊人 頻頻委之無所遺
佚名 2748

「葦荷刈積(あしにかりつ)み」,苅取蘆葦堆積船上。以上乃「繁(しみ)み」之序文。葦可為簾、垣之材料,亦可作為燃料。
「繁(しみ)みにも」,數量之多,毫無空隙。

2749 【承前,百八十九百卅一。】
 驛路爾 引舟渡 直乘爾 妹情爾 乘來鴨
 驛路(はゆまぢ)に 引(ひ)き舟渡(ふねわた)し 直乘(ただの)りに 妹(いも)は心(こころ)に 乘(の)りにけるかも
 洽猶水驛間 曳舟渡河之所如 直乘無所偏 吾寄赤心在伊人 全然委之無所貳
佚名 2749

「驛路(はゆまぢ)に」,律令制施行以來,於各地要道設置之驛站。「はゆま」乃「速馬(はやうま)」之略。而此處所指乃包含船港之水驛,於日本為數不多。鎌倉初期『元久詩歌合』所云水驛,或云自漢籍之引用。
「引(ひ)き舟渡(ふねわた)し」,以上乃「直乘(ただの)りに」之序。以繩索牽引船隻渡河。

2750 【承前,百八十九百卅二。】
 吾妹子 不相久 馬下乃 阿倍橘乃 蘿生左右
 我妹子(わぎもこ)に 逢(あ)はず久(ひさ)しも 旨物(うましもの) 安倍橘(あへたちばな)の 苔生(こけむ)す迄(まで)に
 親親吾妹子 不逢以來時日久 珍味旨物兮 安倍橘上蘿已生 苔蘚直道光陰逝
佚名 2750

「旨物(うましもの)」,美味之物。
「安倍橘(あへたちばな)の」,按『和名抄』「橙,あへたちばな,似柚而稍小者。」

2751 【承前,百八十九百卅三。】
 味乃住 渚沙乃入江之 荒礒松 我乎待兒等波 但一耳
 味鴨住(あぢのす)む 渚沙入江(すさのいりえ)の 荒礒松(ありそまつ) 我(あ)を待兒等(まつこら)は 唯一人(ただひとり)のみ
 味鴨所棲息 須佐渚沙入江之 荒礒松柏矣 吾人懸心之所待 唯獨娘子一人耳
佚名 2751

「味鴨住(あぢのす)む」,「味鴨(あぢ)」,或云巴鴨。
「荒礒松(ありそまつ)」,以上乃借「松」帶出「待」之序。

2752 【承前,百八十九百卅四。】
 吾妹兒乎 聞都賀野邊能 靡合歡木 吾者隱不得 間無念者
 我妹子(わぎもこ)を 聞都賀野邊(ききつがのへ)の 靡合歡木(しなひねぶ) 我(あれ)は忍得(しのびえ)ず 間無(まな)くし思(おも)へば
 吾妹消息矣 常聞都賀野邊之 草偃合歡木 吾人慕情誠難忍 常思汝命無絕時
佚名 2752

「我妹子(わぎもこ)を 聞都賀野邊(ききつがのへ)の」,「聞繼(ききつぐ)」與「聞都賀野(ききつが)」之疊字。
「靡合歡木(しなひねぶ)」,「靡」指枝葉因自重下垂之茂。合歡木有影射男女交合之漢籍用法。

2753 【承前,百八十九百卅五。】
 浪間從 所見小嶋 濱久木 久成奴 君爾不相四手
 波間(なみのま)ゆ 見(み)ゆる小島(こしま)の 濱久木(はまひさぎ) 久(ひさ)しく成(な)りぬ 君(きみ)に逢(あ)はずして
 自於浪濤間 所見小嶋濱岸上 自生濱久木 與君相別隔異地 不覺月易日已久
佚名 2753

「濱久木(はまひさぎ)」,自生海邊之楸木。以上乃以同音帶出「久(ひさ)しく」之序文。

2754 【承前,百八十九百卅六。】
 朝柏 閏八河邊之 小竹之眼笶 思而宿者 夢所見來
 朝柏(あさかしは) 潤八川邊(うるやかはへ)の 篠目(しののめ)の 偲(しの)ひて寢(ぬ)れば 夢(いめ)に見(み)えけり
 朝柏霑露兮 潤八川畔細竹織 篠目之所如 心偲伊人而寢者 自然夢見在邯鄲
佚名 2754

「朝柏(あさかしは)」,以朝露漬濡而為「潤八川(うるやかは)」之枕詞。2478「秋柏 潤和川邊の 篠目の」為類句。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m11.htm#2478
「潤八川邊(うるやかはへ)の」,「潤八川」或與「潤和川」同。

2755 【承前,百八十九百卅七。】
 淺茅原 苅標刺而 空事文 所緣之君之 辭鴛鴦將待
 淺茅原(あさぢはら) 刈標指(かりしめさ)して 虛言(むなこと)も 寄(よ)そりし君(きみ)が 言(こと)をし待(ま)たむ
 洽猶淺茅原 苅而標刺之所如 縱尚為虛言 人噂我倆過從密 還待一旦汝來告
佚名 2755

「淺茅原(あさぢはら) 刈標指(かりしめさ)して」,帶出「虛言(むなこと)」之序文。「標指」乃割草作業中斷時,結草或置時以標示此為自身之作業場。
「虛言(むなこと)も」,即便是事實無根之謠言。
「寄(よ)そりし君(きみ)が」,他人傳言與自身過從甚密之男子。
即便是事實無根的謠言,仍舊心中期待緋聞之男子來與自身告白。

2756 【承前,百八十九百卅八。】
 月草之 借有命 在人乎 何知而鹿 後毛將相云
 月草(つきくさ)の 借(か)れる命(いのち)に 在人(あるひと)を 如何(いか)に知(し)りてか 後(のち)も逢(あ)はむと言(い)ふ
 月草之所如 此生虛渺轉瞬逝 命猶石火光 不知是否能長久 何云其後再相逢
佚名 2756

「月草(つきくさ)の」,藍染之染料,而難以持久,故為虛渺之物的比喻。
「借(か)れる命(いのち)に 在人(あるひと)を」,短暫無常之生命。人為同表自他之用法。
「後(のち)も逢(あ)はむ」,不強求於現在,只要將來再會。

2757 【承前,百八十九百卅九。】
 王之 御笠爾縫有 在間菅 有管雖看 事無吾妹
 大君(おほきみ)の 御笠(みかさ)に縫(ぬ)へる 有間菅(ありますげ) 在(あり)つつ見(み)れど 事無(ことな)き我妹(わぎも)
 吾皇大君之 御笠所縫有間菅 常在之所如 縱令時時近翫之 可憐無厭我妹矣
佚名 2757

「大君(おほきみ)の 御笠(みかさ)に縫(ぬ)へる」,「縫」指以菅或竹皮縫綴為笠。
「有間菅(ありますげ)」,有間乃地名。以上藉「あり」同音,帶出「在(あり)つつ」之序。
「事無(ことな)き我妹(わぎも)」,「事無(ことな)き」為愛好不厭之意。醍醐寺本『遊仙窟』云:「好,ことむなし。」『名義抄』云:「美,ことむなし。」

2758 【承前,百八十九百四十。】
 菅根之 懃妹爾 戀西 益卜男心 不所念鳧
 菅根(すがのね)の 懃妹(ねもころいも)に 戀(こ)ふるにし 大夫心(ますらをごころ) 思(おも)ほえぬかも
 蔓延菅根兮 慇懃懇切戀伊人 每慕念之時 縱然巍峨大丈夫 頓失心性呈怯懦
佚名 2758

「菅根(すがのね)の」,「懃」之枕詞。
「懃(ねもころ)」,打從心裡,
「大夫心(ますらをごころ)」,大丈夫剛忍不拔,屹立不搖之心性。原文或書「益卜思而心」,此依『萬葉集略解』本居宣長說,以為「思而」乃「男」字之訛。

2759 【承前,百八十九百卌一。】
 吾屋戶之 穗蓼古幹 採生之 實成左右二 君乎志將待
 我(わ)が宿(やど)の 穗蓼古幹(ほたでふるから) 摘生(つみおほ)し 實(み)になる迄(まで)に 君(きみ)をし待(ま)たむ
 吾宿庭苑間 所生穗蓼古莖幹 雖哉仍伸生 直至成實時日久 苦守空閨待君臨
佚名 2759

「穗蓼古幹(ほたでふるから)」,蓼結穗之古株。
「摘生(つみおほ)し」,摘其嫩葉以食用,而持續成長。「摘生(つみおほ)し」亦可訓作「摘生(つみは)やし」。
「實(み)になる迄(まで)に」,經過長久之年月。

2760 【承前,百八十九百卌二。】
 足檜之 山澤徊具乎 採將去 日谷毛相為 母者責十方
 足引(あしひき)の 山澤蘞(やまさはゑぐ)を 摘(つ)みに行(ゆ)かむ 日(ひ)だにも逢(あ)はせ 母(はは)は責(せ)むとも
 足曳勢險峻 高山深澤蘞群生 至少將採蘞 而去之日願得逢 縱為母斥無所惜
佚名 2760

「摘(つ)みに行(ゆ)かむ」,連體格,主語為作者所思慕之女性。

2761 【承前,百八十九百卌三。】
 奧山之 石本菅乃 根深毛 所思鴨 吾念妻者
 奧山(おくやま)の 岩本菅(いはもとすげ)の 根深(ねふか)くも 思(おも)ほゆるかも 我(あ)が思(おも)ひ妻(づま)は
 深邃奧山之 岩蔭菅根之所如 錯綜盤根深 吾之所念其情切 慕妻深深深幾許
佚名 2761

「岩本菅(いはもとすげ)の」,生長在岩石下方之菅。以上乃「根深(ねふか)くも」之序。
「根深(ねふか)くも」,發自作者心中深處。
「思(おも)ひ妻(づま)」,愛妻。

2762 【承前,百八十九百卌四。】
 蘆垣之 中之似兒草 爾故余漢 我共咲為而 人爾所知名
 葦垣(あしかき)の 中和草(なかのにこぐさ) 和(にこ)やかに 我(われ)と笑(ゑ)まして 人(ひと)に知(し)らゆ莫(な)
 其猶葦垣間 中雜和草之所如 恬然藹藹兮 我倆相睦展笑顏 其情莫令他人知
佚名 2762

「葦垣(あしかき)の 中和草(なかのにこぐさ)」,刈葦為垣時一併混入之和草。
「和(にこ)やかに」,和煦微笑之狀。
「我(われ)と笑(ゑ)まして」,と為與共之意。
0688之類想。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m04.htm#0688

2763 【承前,百八十九百卌五。】
 紅之 淺葉乃野良爾 苅草乃 束之間毛 吾忘渚菜
 紅(くれなゐ)の 淺葉藪(あさはののら)に 刈草(かるかや)の 束間(つかのあひだ)も 我(あ)を忘(わす)らす莫(な)
 朱紅茜色兮 淺葉野原草藪間 苅草結為束 縱令須臾轉瞬間 還願伊人莫忘我
佚名 2763

「紅(くれなゐ)の」,修飾地名「淺葉」中「淺(あさ)」之枕詞。
「藪(のら)」,原野。『名義抄』云:「藪,のら。」
「刈草(かるかや)の」,以上以將刈草結束,而為「束間」之序。
「束間(つかのあひだ)」,短暫、片刻。

2764 【承前,百八十九百卌六。】
 為妹 壽遺在 苅薦之 思亂而 應死物乎
 妹(いも)が為(ため) 命殘(いのちのこ)せり 刈薦(かりこも)の 思亂(おもひみだ)れて 死(し)ぬべき物(もの)を
 奉為伊人故 唯留此命續殘喘 苅薦紊亂兮 方寸戀慕情意亂 不若一死卸娑婆
佚名 2764

「刈薦(かりこも)の」,「亂(みだ)れ」之枕詞。薦根在水底泥中,相較於稻茅之疇,收割之時更易紊亂。
「死(し)ぬべき物(もの)を」,幾乎當死。不如一死。

2765 【承前,百八十九百卌七。】
 吾妹子爾 戀乍不有者 苅薦之 思亂而 可死鬼乎
 我妹子(わぎもこ)に 戀(こひ)つつ非(あら)ずは 刈薦(かりこも)の 思亂(おもひみだ)れて 死(し)ぬべき物(もの)を
 較與戀吾妹 常慕懸心我身焦 苅薦紊亂兮 方寸戀慕情意亂 不若一死能百了
佚名 2765

「死(し)ぬべき物(もの)を」,比起...不如...之意。

2766 【承前,百八十九百卌八。】
 三嶋江之 入江之薦乎 苅爾社 吾乎婆公者 念有來
 三島江(みしまえ)の 入江薦(いりえのこも)を 刈(か)りにこそ 我(われ)をば君(きみ)は 思(おも)ひたりけれ
 攝津三嶋江 入江所生菰薦者 苅取之所如 吾君念我唯假初 方今情淡甚無情
佚名 2766

「入江薦(いりえのこも)を」,以上藉「刈(かり)」、「假(かり)」同音所起之序。
「刈(か)り」,「假初」、「暫時」。

2767 【承前,百八十九百卌九。】
 足引乃 山橘之 色出而 吾戀南雄 人目難為名
 足引(あしひき)の 山橘(やまたちばな)の 色(いろ)に出(い)でて 我(あ)は戀(こひ)なむを 人目難(ひとめかた)みす莫(な)
 足曳勢險峻 山橘赤實之所如 灼然見顏色 吾戀汝命無所顧 願汝亦莫憚人目
佚名 2767

「山橘(やまたちばな)」,「藪柑子」之古名,實色赤。
「人目難(ひとめかた)みす莫(な)」,莫懼人目。「難」哪以之為困難。原文或書「八目難為名」,案『萬葉考』,「八」為「人」字之訛。

2768 【承前,百八十九百五十。】
 葦多頭乃 颯入江乃 白菅乃 知為等 乞痛鴨
 葦鶴(あしたづ)の 騷(さわ)く入江(いりえ)の 白菅(しらすげ)の 知(し)らせむ為(ため)と 言痛(こちた)かるかも
 其猶葦鶴之 所以騷颯入江間 白菅之所如 似欲令汝知我情 所以流言蜚語傳
佚名 2768

「葦鶴(あしたづ)」,與「鶴」同。蓋以鶴多居葦邊而云爾。
「騷(さわ)く」,原文颯,『萬象名義』云「吹物也。」表風音之喧囂。
「白菅(しらすげ)の」,以上乃藉「白(しら)」引出「知(し)らせ」之序。
「知(し)らせむ為(ため)と」,為了讓對方獲知作者之心意。
「言痛(こちた)かるかも」,「言痛(こちた)し」乃「言痛(こといた)し」之略。「かも」含疑問之情緒。
對於世間傳出自己與單戀對象之謠言,以為是讓對方獲知自身心意之機會,而暗自竊喜。

2769 【承前,百八十九百五一。】
 吾背子爾 吾戀良久者 夏草之 苅除十方 生及如
 我(わ)が背子(せこ)に 我(あ)が戀(こ)ふらくは 夏草(なつくさ)の 刈除(かりそ)くれども 生及(おひし)く如(ごと)し
 吾慕我夫子 戀之憂思良久者 一猶夏草茂 雖然苅掃去不盡 儵然復生之所如
佚名 2769

「刈除(かりそ)くれども」,「刈除(かりそ)くれ」乃「刈除(かりそ)く」之已然形。
「生及(おひし)く如(ごと)し」,除草之進度趕不上下草再生之速度。
類歌1984https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m10.htm#1984

2770 【承前,百八十九百五二。】
 道邊乃 五柴原能 何時毛何時毛 人之將縱 言乎思將待
 道邊(みちのへ)の 嚴柴原(いつしばはら)の 何時(いつ)も何時(いつ)も 人許(ひとのゆる)さむ 言(こと)をし待(ま)たむ
 洽猶生道傍 茂盛柴原之所如 何時何時哉 吾人相待日已久 唯望伊人許諾矣
佚名 2770

「嚴柴原(いつしばはら)の」,「嚴(いつ)」表植物繁茂、生命力旺盛之狀。以上藉同音帶出「何時(いつ)」之序。
「人許(ひとのゆる)さむ 言(こと)をし待(ま)たむ」,主語為主角所愛慕之女性。等待女性放下心防,點頭答應作者之求愛。原文「縱」者,古本『玉篇』云:「說文,緩也。」

2771 【承前,百八十九百五三。】
 吾妹子之 袖乎憑而 真野浦之 小菅乃笠乎 不著而來二來有
 我妹子(わぎもこ)が 袖(そで)を賴(たの)みて 真野浦(まののうら)の 小菅笠(こすげのかさ)を 著(き)ずて來(き)にけり
 親親吾妹子 枕憑汝袖待衣乾 我惜相依時 真野浦間小菅笠 不著而來為雨濡
佚名 2771

「我妹子(わぎもこ)が 袖(そで)を賴(たの)みて」,因為衣服為與淋濕,以戀人之衣袖為枕,依偎著等待衣服晾乾。2321有類例。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m10.htm#2321
「小菅笠(こすげのかさ)を」,「小」乃接頭語。
前來與戀人相會之路上,降雨而令衣服濕濡,卻無不快之意,反而可藉此與戀人多加相處。本歌雖列「寄物陳思」,更似「正述心緒」。

2772 【承前,百八十九百五四。】
 真野池之 小菅乎笠爾 不縫為而 人之遠名乎 可立物可
 真野池(まののいけ)の 小菅(こすげ)を笠(かさ)に 縫(ぬ)はずして 人(ひと)の遠名(とほな)を 立(た)つべき物(もの)か
 吾未以真野 池間小菅縫笠上 事實誠無根 何以他人蜚語繁 浮名遠傳眾皆知
佚名 2772

「小菅(こすげ)を笠(かさ)に 縫(ぬ)はずして」,「笠に縫ふ」乃縫紉綴飾斗笠,象徵與女性發生關係。
「人の遠名を」,浮名、謠言遠傳。「人」指世間人。

2773 【承前,百八十九百五五。】
 刺竹 齒隱有 吾背子之 吾許不來者 吾將戀八方
 刺竹(さすたけ)の 世隱(よごも)りてあれ 我(わ)が背子(せこ)が 我許(わがり)し來(こ)ずは 我戀(あれこひ)めやも
 刺竹空腔兮 汝當世隱常若矣 親親吾夫子 汝若未嘗來我許 妾身豈慕至如此
佚名 2773

「刺竹(さすたけ)の」,「世(よ)」之枕詞。「よ」乃竹腔。『名義抄』云:「兩節間,よ。」
「世隱(よごも)り」,年紀尚輕,未來方長。「世」字原文「齒」,年齡、壽命之意。
「我許(わがり)」,「許(がり)」乃所在之處。

2774 【承前,百八十九百五六。】
 神南備能 淺小竹原乃 美 妾思公之 聲之知家口
 神奈備(かむなび)の 淺篠原(あさじのはら)の 愛(うるは)しみ 我(あ)が思君(おもふきみ)が 聲著(こゑのしる)けく
 三諸神奈備 淺篠竹原之所如 美而不勝收 吾所朝思復暮想 思君之聲歷歷可聞
佚名 2774

神奈備(かむなび)の」,神所降臨之山,未詳所指何處。或為泛指祭祀神明之場所的一般名詞。
「淺篠原(あさじのはら)の」,低矮篠竹所以群生之原。「愛(うるは)し」之序。
「愛(うるは)しみ」,對自然物用「愛(うるは)しみ」,不用「うつくし」。
「聲著(こゑのしる)けく」,「著(しる)く」乃顯著。縱然天色昏暗,決既不會聽錯戀人之聲,與他人混淆。

2775 【承前,百八十九百五七。】
 山高 谷邊蔓在 玉葛 絕時無 見因毛欲得
 山高(やまだか)み 谷邊(たにへ)に延(は)へる 玉葛(たまかづら) 絕(た)ゆる時無(ときな)く 見(み)む由欲得(よしもがも)
 以山高嶮故 長長蔓延至谷邊 玉葛之所如 長相思念無絕時 欲得逢由此心焦
佚名 2775

「山高(やまだか)み 谷邊(たにへ)に延(は)へる」,3067有「谷狹み 峰邊に延へる」之語。
「玉葛(たまかづら)」,「玉(たま)」乃美稱接頭語。以上藉蔓性植物蔓長而韌性強,以為無絕之序。

2776 【承前,百八十九百五八。】
 道邊 草冬野丹 履干 吾立待跡 妹告乞
 道邊(みちのへ)の 草(くさ)を冬野(ふゆの)に 踏枯(ふみか)らし 我立待(あれたちま)つと 妹(いも)に告(つ)げこそ
 來回徘徊而 踏枯道邊路旁草 萎如冬野矣 如是吾苦立待者 願能傳言告伊人
佚名 2776

「草(くさ)を冬野(ふゆの)に 踏枯(ふみか)らし」,冬野乃冬季植物枯萎無生氣之狀。此云作者等待心上人,一再徘迴而另路旁野草枯萎。
「妹(いも)に告(つ)げこそ」,希求他人傳言,令心上人知作者苦苦相待之狀。

2777 【承前,百八十九百五九。】
 疊薦 隔編數 通者 道之柴草 不生有申尾
 疊薦(たたみこも) 隔(へだ)て編(あ)む數(かず) 通(かよ)ひせば 道柴草(みちのしばくさ) 生(お)ひざらましを
 若猶疊薦之 詰隔密編數所如 常相通來者 路邊道旁野草者 豈將生而盎然哉
佚名 2777

「疊薦(たたみこも)」,以稻科多年草真菰編織之敷物。
「隔(へだ)て編(あ)む數(かず)」,比喻來往次數之多,如編織縝密之狀。
「通(かよ)ひせば」,主語乃男性。

2778 【承前,百八十九百六十。】
 水底爾 生玉藻之 生不出 縱比者 如是而將通
 水底(みなそこ)に 生(お)ふる玉藻(たまも)の 生出(おひいで)ず 縱此頃(よしこのころ)は 如是(かく)て通(かよ)はむ
 洽猶水底下 所生玉藻之所如 不出於表面 橫豎如是此頃間 避人而通亦可矣
佚名 2778

「生(お)ふる玉藻(たまも)の」,以上乃「生出(おひいで)ず」之序。
「生出(おひいで)ず」,藻不露出水面,不令人獲知己身之戀情之比喻。
「縱(よし)」,橫豎。無論如何。
「如是(かく)て通(かよ)はむ」,維持現在一樣隱忍人目悄悄相戀之狀態。

2779 【承前,百八十九百六一。】
 海原之 奧津繩乘 打靡 心裳四怒爾 所念鴨
 海原(うなはら)の 沖繩海苔(おきつなはのり) 打靡(うちなび)き 心(こころ)も頻(しの)に 思(おも)ほゆるかも
 滄溟海原間 瀛津所生繩海苔 打靡之所如 一心所向緣伊人 頻頻寄之此念矣
佚名 2779

「沖繩海苔(おきつなはのり)」,「繩海苔(なはのり)」為繩狀之海藻。「打靡(うちなび)き」之序。
「打靡(うちなび)き」,心靈為某事務所吸引、依附之狀。
「心(こころ)も頻(しの)に」,「頻(しの)」表無間、無隙,戀人盈滿心中之狀。

2780 【承前,百八十九百六二。】
 紫之 名高乃浦之 靡藻之 情者妹爾 因西鬼乎
 紫(むらさき)の 名高浦(なたかのうら)の 靡藻(なびきも)の 心(こころ)は妹(いも)に 寄(よ)りにし物(もの)を
 尊雅貴紫兮 名高浦間所群生 靡藻之所如 吾之慕念何所向 一心寄情在伊人
佚名 2780

「紫(むらさき)の」,「名高(なたか)」之枕詞。古以紫為貴,高貴者亦著紫衣。
「靡藻(なびきも)の」,以上乃「寄(よ)り」之序文,表單戀而一方地依近。
「寄(よ)りにし物(もの)を」,「物(もの)を」為詠嘆用法。

2781 【承前,百八十九百六三。】
 海底 奧乎深目手 生藻之 最今社 戀者為便無寸
 海底(わたのそこ) 奧(おき)を深(ふか)めて 生(お)ふる藻(も)の 最(もと)も今(いま)こそ 戀(こひ)は術無(すべな)き
 海底千尋下 萬哩深邃奧津處 生藻之所如 方今此時最無助 吾人雖戀苦無方
佚名 2781

「海底(わたのそこ)」,「奧(おき)」之枕詞。「奧」或指遠瀛,或指海之深處,此為後者。
「奧(おき)を深(ふか)めて 生(お)ふる藻(も)の」,「奧」指水底。「奧を深めて」,表深邃之水底。以上藉「藻(も)」同因而為「最(もと)」之序文,同時表示心中深奧之處。

2782 【承前,百八十九百六四。】
 左寐蟹齒 孰共毛宿常 奧藻之 名延之君之 言待吾乎
 小寢(さぬ)がには 誰(たれ)とも寢(ぬ)めど 沖藻(おきつも)の 靡(なび)きし君(きみ)が 言待(ことま)つ我(われ)を
 若云小寢者 誰孰與共並無異 然如瀛津藻 心之所向唯在君 妾身只待伊人言
佚名 2782

「小寢(さぬ)がには」,若只是一睡的話。
「誰(たれ)とも寢(ぬ)めど」,主語為作者,民謠之用法。
「沖藻(おきつも)の」,「靡(なび)き」之枕詞。
「言待(ことま)つ我(われ)を」,等待著心上人來口說自身的作者。

2783 【承前,百八十九百六五。】
 吾妹子之 奈何跡裳吾 不思者 含花之 穗應咲
 我妹子(わぎもこ)が 何(なに)とも我(あれ)を 思(おも)はねば 含(ふふ)める花(はな)の 秀(ほ)に咲(さ)きぬべし
 窈窕淑女之 落花有意水無情 伊人不念吾 我猶含苞花不咲 無奈現色天下知
佚名 2783

「我妹子(わぎもこ)が 何(なに)とも我(あれ)を 思(おも)はねば」,作者所單戀的女性,對作者沒有任何思慕可言。
「秀(ほ)に咲(さ)きぬべし」,「秀(ほ)」表現於顏色。作者苦於單戀,其痛竊之情表露於外而為人所察知。

2784 【承前,百八十九百六六。】
 隱庭 戀而死鞆 三苑原之 雞冠草花乃 色二出目八方
 隱(こも)りには 戀(こ)ひて死(し)ぬとも 御苑生(みそのふ)の 韓藍花(からあゐのはな)の 色(いろ)に出(いで)めやも
 吾雖隱此戀 深埋心中死方休 然如御苑生 韓藍雞冠花所如 難隱慕情露色哉
佚名 2784

「隱(こも)りには 戀(こ)ひて死(し)ぬとも」,隱忍心中不欲人知,要將這份情帶入墓中深埋。「は」呼應逆接。
「御苑生(みそのふ)の」,貴人之庭院。此云心上人之苑內。
「韓藍花(からあゐのはな)の」,原文雞冠草,花色、花形如雞冠,故名。可做染料,依之作為「顯露顏色」之序文。
「色(いろ)に出(いで)めやも」,雖然打算隱忍,但或許因行動、表情而令他人知悉。

2785 【承前,百八十九百六七。】
 開花者 雖過時有 我戀流 心中者 止時毛梨
 咲花(さくはな)は 過(す)ぐる時有(ときあ)れど 我(あ)が戀(こ)ふる 心中(こころのうち)は 止時(やむとき)も無(な)し
 縱觀咲花者 花開亦有花落時 然顧吾戀者 心中澎湃戀伊人 慕情洋溢無止時
佚名 2785

「過(す)ぐる時有(ときあ)れど」,盛期已過而衰落之狀。

2786 【承前,百八十九百六八。】
 山振之 爾保敝流妹之 翼酢色乃 赤裳之為形 夢所見管
 山吹(やまぶき)の 匂(にほ)へる妹(いも)が 朱華色(はねずいろ)の 赤裳姿(あかものすがた) 夢(いめ)に見(み)えつつ
 山吹花所如 春風滿面笑顏開 親親吾妹之 朱華艷色赤裳姿 見於夢中揮不去
佚名 2786

「山吹(やまぶき)」,薔薇科落葉低木。春日開花,色深黃。
「匂(にほ)へる妹(いも)が」,「匂(にほ)へる」以花之艷色形容女性之美貌。
「朱華色(はねずいろ)」,黃赤之梔子色。

2787 【承前,百八十九百六九。】
 天地之 依相極 玉緒之 不絕常念 妹之當見津
 天地(あめつち)の 寄合(よりあひ)の極(きは)み 玉緒(たまのを)の 絕(た)えじと思(おも)ふ 妹(いも)が邊見(あたりみ)つ
 縱令遠天邊 與地依合極堺處 魂絲玉緒兮 吾人思念無所絕 每逢遙望伊人許
佚名 2787

「天地(あめつち)の 寄合(よりあひ)の極(きは)み」,無限遠方天邊與地盡相依之處。以空間無限比喻時間無垠之手法。
「玉緒(たまのを)の」,「絕」、「亂」、「長」、「續」等之枕詞,此用以修飾「不絕(絕(た)えじ)」。
「絕(た)えじと思(おも)ふ」,此處「絕」指男女斷絕關係、往來。

2788 【承前,百八十九百七十。】
 生緒爾 念者苦 玉緒乃 絕天亂名 知者知友
 息緒(いきのを)に 思(おも)へば苦(くる)し 玉緒(たまのを)の 絕(た)えて亂(みだ)れな 知(し)らば知(し)るとも
 賭命懸此生 每念吾心如刀割 魂絲玉緒兮 心絮將絕更紊亂 縱為人知無暇顧
佚名 2788

「息緒(いきのを)に」,吐息、生命。
「玉緒(たまのを)の」,「絕(た)ゆる」之枕詞。
「絕(た)えて亂(みだ)れな」,「絕(た)え」乃心死氣絕之義。『新撰字鏡』云:「困悶、心煩也。こころたゆ。」「亂(みだ)れ」表心情紊亂無法平復。其意象者,表其心情死絕狂亂,猶如串有珠玉之絲斷絕、紊亂,珠玉亦亂散之狀。
「知(し)らば知(し)るとも」,若將為人知,就讓人知亦可,本身已然自顧不暇。

2789 【承前,百八十九百七一。】
 玉緒之 絕而有戀之 亂者 死卷耳其 又毛不相為而
 玉緒(たまのを)の 絕(た)えたる戀(こひ)の 亂(みだ)れなば 死(し)なまくのみそ 亦(また)も逢(あ)はずして
 魂絲玉緒之 既絕無望此慕情 若復紊亂者 唯有一死能止息 橫豎莫有復逢由
佚名 2789

「玉緒(たまのを)の 絕(た)えたる戀(こひ)の」,已然破局、絕緣之戀。
「亂(みだ)れなば」,心情錯亂無法收拾。
「死(し)なまくのみそ」,除了一死之外沒有解決之道。

2790 【承前,百八十九百七二。】
 玉緒之 久栗緣乍 末終 去者不別 同緒將有
 玉緒(たまのを)の 括寄(くくりよ)せつつ 末遂(すゑつひ)に 行(ゆ)きは別(わか)れず 同(おな)じ緒(を)に有(あ)らむ
 願猶玉緒之 括寄相繫一縷間 至於末遂迄 無由零落不別去 以其相連同緒矣
佚名 2790

「括寄(くくりよ)せつつ」,藉由貫穿珠玉之繩,令其相依。
「同(おな)じ緒(を)に有(あ)らむ」,被繫在同一縷絲上。

2791 【承前,百八十九百七三。】
 片絲用 貫有玉之 緒乎弱 亂哉為南 人之可知
 片絲以(かたいとも)ち 貫(ぬ)きたる玉(たま)の 緒(を)を弱(よわ)み 亂(みだ)れやしなむ 人知(ひとのし)るべく
 洽猶以單絲 一縷所貫珠玉者 緒弱繩將絕 散落狂亂失心性 難隱慕情人將知
佚名 2791

「片絲以(かたいとも)ち」,絲繩通常二縷編成,單絲易斷而為單戀之比喻。
「亂(みだ)れやしなむ」,以絲續斷裂,珠玉零落散亂,比喻心情錯亂之狀。
與3081類想。『新撰萬葉集』112有「片絲に 貫く玉の 緒を弱み 紊れて戀ひば 人や知りなむ」之曲。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/sinsen/sm01.htm#112

2792 【承前,百八十九百七四。】
 玉緒之 寫意哉 年月乃 行易及 妹爾不逢將有
 玉緒(たまのを)の 現(うつ)し心(ごころ)や 年月(としつき)の 行變(ゆきかは)る迄(まで) 妹(いも)に逢(あ)はざらむ
 魂絲玉緒兮 吾豈常持保正氣 自相別以來 月易年改時日久 遲遲不得與妹逢
佚名 2792

「玉緒(たまのを)の」,「現(うつ)し心(ごころ)」之枕詞。
「現(うつ)し心(ごころ)や」,平常心。此云久日不與戀人相逢,殆失心性。

2793 【承前,百八十九百七五。】
 玉緒之 間毛不置 欲見 吾思妹者 家遠在而
 玉緒(たまのを)の 間(あひだ)も置(お)かず 見(み)まく欲(ほ)り 我(あ)が思妹(おもふいも)は 家遠(いへどほ)く在(あり)て
 魂絲玉緒兮 珠玉相連無間隙 常時欲見矣 奈何吾之所心繫 伊人之家在遠方
佚名 2793

「玉緒(たまのを)の」,「間(あひだ)も置(お)かず」之枕詞。珠玉為絲緒所聯貫,不相分離。
「間(あひだ)も置(お)かず」,不絕、不斷、無所間格。
「見(み)まく欲(ほ)り 我(あ)が思妹(おもふいも)は」,「欲(ほ)り...思(おも)ふ」表想要。

2794 【承前,百八十九百七六。】
 隱津之 澤立見爾有 石根從毛 達而念 君爾相卷者
 隱津(こもりづ)の 澤潦(さはたつみ)なる 岩根(いはね)ゆも 通(とほ)りて思(おも)ふ 君(きみ)に逢(あ)はまくは
 縱令隱津之 秘境溪壑泉潦間 岩磐可穿矣 如斯堅毅所念者 是即吾之所戀矣
佚名 2794

「隱津(こもりづ)の」,隱水之意。為周遭岩石、草木所遮蔽,人目所不見之水澤。類歌2443有「隱處の 澤泉なる」而『古事記』下有「隱づの 下よ延へつつ 行くは誰が夫」之語。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/kikirouei/krk02.htm#k0056
「澤潦(さはたつみ)なる」,或為谷間湧泉。類歌2443有「澤泉」。
類歌2443 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m11.htm#2443

2795 【承前,百八十九百七七。】
 木國之 飽等濱之 忘貝 我者不忘 年者雖歷
 紀伊國(きのくに)の 飽等濱(あくらのはま)の 忘(わす)れ貝(がひ) 我(われ)は忘(わす)れじ 年(とし)は經(へ)ぬとも
 麻裳良且秀 紀伊國間飽等濱 戀忘貝也矣 雖云效驗能忘情 吾不能忘縱經年
佚名 2795

「飽等濱(あくらのはま)の」,所在未詳。
「忘(わす)れ貝(がひ)」,成對死貝之單片。古俗以為持之可以忘情。

2796 【承前,百八十九百七八。】
 水泳 玉爾接有 礒貝之 獨戀耳 年者經管
 水潛(みなくく)る 玉(たま)に交(まじ)れる 磯貝(いそかひ)の 片戀(かたこひ)のみに 年(とし)は經(へ)につつ
 潛水沉滄洺 似玉混珠磯貝之 戀忘貝所如 隱忍單戀埋胸懷 不覺經月已歷年
佚名 2796

「水潛(みなくく)る」,沉於水底。『名義抄』云「潛(くく)る,水潛(みなくく)り。」
「玉(たま)に交(まじ)れる」,以其形相似,殆與珠玉混淆。
「磯貝(いそかひ)」,棲息磯中之貝。『仙覺抄』擬之為單片貝之鮑,猶2798。或云兩片貝類之單片。

2797 【承前,百八十九百七九。】
 住吉之 濱爾緣云 打背貝 實無言以 余將戀八方
 住吉(すみのえ)の 濱(はま)に寄(よ)ると云(い)ふ 空貝(うつせがひ) 實無(みな)き言以(ことも)ち 我戀(あれこ)ひめやも
 人云在墨江 住吉濱邊所依來 空貝之所如 以此虛渺復無實 情者吾豈戀之哉
佚名 2797

「空貝(うつせがひ)」,卷貝之死殼。「空(うつ)」乃虛之意。以上,無實之序。
「實無(みな)き言以(ことも)ち」,不實之情。

2798 【承前,百八十九百七十。】
 伊勢乃白水郎之 朝魚夕菜爾 潛云 鰒貝之 獨念荷指天
 伊勢海人(いせのあま)の 朝菜夕菜(あさなゆふな)に 潛(かづ)くと云(い)ふ 鰒貝(あはびのかひ)の 片思(かたもひ)にして
 伊勢白水郎 朝夕無休潛海中 採獲鮑鰒貝 人稱片貝戀忘貝 吾身單戀亦如斯
佚名 2798

「朝菜夕菜(あさなゆふな)」,以為朝夕食用,或云朝朝夕夕(朝な朝な、夕な夕な)。類歌『古今集』戀四683。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/kokin/kk14.htm#683
「鰒貝(あはびのかひ)」,「片思(かたもひ)」之序。

2799 【承前,百八十九百八一。】
 人事乎 繁跡君乎 鶉鳴 人之古家爾 相語而遣都
 人言(ひとごと)を 繁(しげ)みと君(きみ)を 鶉鳴(うづらな)く 人古家(ひとのふるへ)に 語(かた)らひて遣(や)りつ
 以憚閒人言 惡其蜚語繁之故 荒廢鶉鳴兮 領君至他人舊家 睦言相語避諱目
佚名 2799

「人言(ひとごと)を 繁(しげ)みと」,畏懼他人之閒言閒語。と表原因。
「鶉鳴(うづらな)く」,「古」之枕詞。鶉之習性,棲息於罕無人積荒地。故云。

2800 【承前,百八十九百八二。】
 旭時等 雞鳴成 縱惠也思 獨宿夜者 開者雖明
 曉(あかとき)と 雞(かけ)は鳴(な)くなり 縱(よし)ゑやし 獨寢(ひとりぬ)る夜(よ)は 明(あ)けば明(あ)けぬとも
 黎明時將近 雄雞高啼報曉至 橫豎無所謂 形單影孤獨寢夜 既然將明可明也
佚名 2800

「曉(あかとき)」,黑夜將明而未明之時。
「雞(かけ)は鳴(な)くなり」,「雞(かけ)」乃「雞(にはとり)」之異稱,以其啼鳴形聲而來。「なり」乃傳聞推定助詞。
「縱(よし)ゑやし」,放任、放棄反抗之狀。呼應「明(あ)けば明(あ)けぬとも」。

2801 【承前,百八十九百八三。】
 大海之 荒礒之渚鳥 朝名旦名 見卷欲乎 不所見公可聞
 大海(おほうみ)の 荒礒洲鳥(ありそのすどり) 朝(あさ)な朝(さ)な 見(み)まく欲(ほ)しきを 見(み)えぬ君哉(きみかも)
 汪洋大海上 荒礒渚鳥之所如 朝朝無所闕 雖然每欲見吾君 無奈不得拜君眉
佚名 2801

「荒礒洲鳥(ありそのすどり)」,海濱多件之洲千鳥。令人一望再望之美景。比喻作者想見伊人之心情。而為「 朝(あさ)な朝(さ)な」之序。

2802 【承前,百八十九百八四。】
 念友 念毛金津 足檜之 山鳥尾之 永此夜乎
 思(おも)へども 思(おも)ひも兼(か)ねつ 足引(あしひき)の 山鳥尾(やまどりのを)の 長此夜(ながきこのよ)を
 雖欲莫念之 無奈慕情情更溢 足曳勢險峻 雉子山鳥尾綿延 映此獨寢漫夜長
佚名 2802

 或本歌曰:「足日木乃,山鳥之尾乃,四垂尾乃,長永夜乎,一鴨將宿。」
 或本歌曰(あるふみのうたにいふ):「足引(あしひき)の、山鳥尾(やまどりのを)の、四垂尾(しだりを)の、長長(ながなが)し夜(よ)を、獨(ひとり)かも寢(ね)む。」
 足曳勢險峻 雉子山鳥尾醒目 垂尾長綿延 漫漫長夜映尾長 孤眠獨寢恨未曉

「思(おも)へども 思(おも)ひも兼(か)ねつ」,雖然決心不去思念,卻無法放下這份情懷。
山鳥尾(やまどりのを)の」,以山鳥尾長作為修飾長夜之序。
「四垂尾(しだりを)」,長長下垂之鳥尾。
或本歌,藤原定家百人一首』錄之云柿本人麻呂歌。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/100/100_01.htm#003

2803 【承前,百八十九百八五。】
 里中爾 鳴奈流雞之 喚立而 甚者不鳴 隱妻羽毛【一云,里動,鳴成雞。】
 里中(さとなか)に 鳴(な)くなる雞(かけ)の 呼立(よびた)てて 甚(いた)くは鳴(な)かぬ 隱妻(こもりづま)はも【一云(またにいふ)、里響(さととよ)め、鳴(な)くなる雞(かけ)の。】
 里間盡繚繞 高鳴雄雞啼不斷 莫猶其哭喚 切勿甚泣令人知 親親吾愛隱妻矣【一云,里間震響徹 高鳴雄雞啼不斷。】
佚名 2803

「鳴(な)くなる雞(かけ)の」,「なる」為傳聞推定助詞。以上,「呼立(よびた)てて 甚(いた)く」之序。
「呼立(よびた)てて」,把人喚醒,啼聲驚動他人。
「甚(いた)くは鳴(な)かぬ」,切勿大聲哭泣而令他人得知。

2804 【承前,百八十九百八六。】
 高山爾 高部左渡 高高爾 余待公乎 待將出可聞
 高山(たかやま)に 高鴨(たかべ)小渡(さわた)り 高高(たかたか)に 我(わ)が待君(まつきみ)を 待出(まちいで)むかも
 巍峨高山上 高鴨翱翔渡天際 時時引領盼 朝思暮想所俟君 究竟可曾待得哉
佚名 2804

「高鴨(たかべ)小渡(さわた)り」,「高鴨(たかべ)」乃小鴨,或稱高鴨。鴨類中體型最小者,秋季飛來避冬,四、五月北歸。以上乃借「たか」之音,以起「高高(たかたか)に」之序。
「高高(たかたか)に」,引領期盼,立直身子,等待盼望心上人來訪之狀。

2805 【承前,百八十九百八七。】
 伊勢能海從 鳴來鶴乃 音杼侶毛 君之所聞者 吾將戀八方
 伊勢海(いせのうみ)ゆ 鳴來(なきく)る鶴(たづ)の 音驚(おとどろ)も 君(きみ)が聞(き)こさば 我戀(あれこ)ひめやも
 自於伊勢海 翔來鳴鶴之所如 縱然唯遠音 若君令我聞音訊 吾豈戀焦至如此
佚名 2805

「鳴來(なきく)る鶴(たづ)の」,以上乃「音驚(おとどろ)も」之序。
「音驚(おとどろ)も」,「も」與「だに」相類,至少...之意。即便是遠方之聲響,亦可慰藉相思之情。

2806 【承前,百八十九百八八。】
 吾妹兒爾 戀爾可有牟 奧爾住 鴨之浮宿之 安雲無
 我妹子(わぎもこ)に 戀(こ)ふれにか有(あ)らむ 沖(おき)に棲(す)む 鴨浮寢(かものうきね)の 安(やす)けくも無(な)し
 蓋是戀伊人 此心忐忑無所依 洽猶棲遠瀛 水鳥浮寢之所如 浮浮沉沉莫安寧
佚名 2806

「戀(こ)ふれにか有(あ)らむ」,與「戀(こ)ふればにか有(あ)らむ」同。に乃斷定助動詞なり之連用形。
「鴨浮寢(かものうきね)の」,水鳥浮於水上而寢,漂泊沉浮,動搖不斷。

2807 【承前,百八十九百八九。】
 可旭 千鳥數鳴 白細乃 君之手枕 未猒君
 明(あ)けぬべく 千鳥屢鳴(ちとりしばな)く 白栲(しろたへ)の 君(きみ)が手枕(たまくら) 未飽(いまだあ)か無(な)くに
 心知天將明 千鳥頻鳴聲不斷 素妙白栲兮 君之玉手以為枕 春宵苦短意未盡
佚名 2807

「明(あ)けぬべく」,可知天曉。下句為推斷之原因。原文「旭」者,『萬象名義』云「日始出」。
「千鳥屢鳴(ちとりしばな)く」,千鳥指為數眾多之鳥群。
「白栲(しろたへ)の」,袖、衣手、手枕之枕詞。
古今和歌集』雜體歌1015有「睦言も 未だ盡き無くに 明けぬめり 何方は秋の 長し 云ふ夜は」https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/kokin/kk19.htm#1015 意境相類。

2808 問答 【廿首第一。】
 眉根搔 鼻火紐解 待八方 何時毛將見跡 戀來吾乎
 眉根搔(まよねか)き 鼻鳴紐解(はなひひもと)け 待(ま)てりやも 何時(いつ)かも見(み)むと 戀來(こひこ)し我(あれ)を
 想君今何如 蓋是搔眉鼻鳴而 解紐相待哉 心念伊人欲相逢 戀慕而來俟吾矣
柿本人麻呂 2808

 右,上見柿本朝臣人麻呂之歌中。但以問答故,累載於茲也。

「眉根搔(まよねか)き 鼻鳴紐解(はなひひもと)け」,古俗以為,打噴嚏與下紐自解,乃戀人將至之徵。「眉根」同「眉」。
「戀來(こひこ)し我(あれ)を」,承接動詞連用形之「來(こ)し」同時表現空間與時間之持續。
「上見柿本朝臣人麻呂之歌中」,「上」指2408。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m11.htm#2408 屬異傳歌。「歌中」與「歌集中」同。

2809 【承前,廿首第二。】
 今日有者 鼻之鼻火之 眉可由見 思之言者 君西在來
 今日是(けふな)れば 鼻鼻鳴(はなのはなひ)し 眉癢(まよかゆ)み 思(おも)ひし事(こと)は 君(きみ)にしありけり
 期在今日者 是以鼻鳴嚏不止 眉根癢難耐 何以倏然做此思 蓋是與君逢徵矣
佚名 2809

 右二首。

「今日是(けふな)れば」,因為心上人將於今日來訪。
「鼻鼻鳴(はなのはなひ)し」,原文「鼻之鼻之火」,按『萬葉集略解補正』乃「鼻之鼻火之」之訛。

2810 【承前,廿首第三。】
 音耳乎 聞而哉戀 犬馬鏡 直目相而 戀卷裳太口
 音(おと)のみを 聞(き)きてや戀(こ)ひむ 真十鏡(まそかがみ) 直目(ただめ)に逢(あ)ひて 戀(こ)ひまくも痛(いた)く
 唯聞汝音訊 相隔異地戀慕哉 無曇真十鏡 倘若直逢後不見 相思之情徒更甚
佚名 2810

「聞(き)きてや戀(こ)ひむ」,詠嘆疑問。與下三句之間,省略「雖然如此」之語句。
「真十鏡(まそかがみ)」,「直目(ただめ)に逢(あ)ひ」之枕詞。原文「犬馬鏡」者,3324「喚犬追馬鏡」之略。喚犬以來用ま,追馬以そ之擬聲語。
「直目(ただめ)に逢(あ)ひて」,直目乃直接相見。
男子心念雖然不能相見,唯得聽聞音訊之戀情令人痛苦,但若是稍微相見,期後分隔,想必更加痛苦。

2811 【承前,廿首第四。】
 此言乎 聞跡平 真十鏡 照月夜裳 闇耳見
 此言(このこと)を 聞(き)かむとならし 真十鏡(まそかがみ) 照(て)れる月夜(つくよ)も 闇(やみ)のみに見(み)つ
 汝云如此者 蓋意吾將聽此言 明晰真十鏡 雖然皎月照大空 含淚所見皆暗闇
佚名 2811

 右二首。

「此言(このこと)を」,此云2810男方表示相戀情怯,故不來相會之曲。「とならし」乃「とにあるらし」之略,。底本「聞跡乎」,嘉曆傳本作「聞跡牟」,此依『萬葉集新考』作
「聞跡平」。
「真十鏡(まそかがみ)」,「照(て)れる月夜(つくよ)」之枕詞。
「闇(やみ)のみに見(み)つ」,因為悲切之淚,令明月之夜亦為之昏暗。

2812 【承前,廿首第五。】
 吾妹兒爾 戀而為便無三 白細布之 袖反之者 夢所見也
 我妹子(わぎもこ)に 戀(こ)ひて術無(すべな)み 白栲(しろたへ)の 袖返(そでかへ)ししは 夢(いめ)に見(み)えきや
 吾戀我妹子 相思之情無以抑 白妙敷栲兮 手折衣袖以為枕 效驗覿面見夢田
佚名 2812

「袖返(そでかへ)ししは 夢(いめ)に見(み)えきや」,將衣袖反折。俗信以為,反折衣袖而寢,則可於夢中與戀人相逢。

2813 【承前,廿首第六。】
 吾背子之 袖反夜之 夢有之 真毛君爾 如相有
 我(わ)が背子(せこ)が 袖返(そでかへ)す夜(よ)の 夢(いめ)ならし 誠(まこと)も君(きみ)に 逢(あ)ひたる如(ごと)し
 蓋是吾夫子 折袖為枕孤寢之 夜夢也矣哉 雖然邯鄲南柯中 誠如與君直逢矣
佚名 2813

 右二首。

「誠(まこと)も君(きみ)に 逢(あ)ひたる如(ごと)し」,「誠(まこと)」表同意前曲所述。古俗以為,於夢中偶然與戀人相會,表示戀人思念己身而致。

2814 【承前,廿首第七。】
 吾戀者 名草目金津 真氣長 夢不所見而 年之經去禮者
 我(あ)が戀(こひ)は 慰兼(なぐさめか)ねつ 真日長(まけなが)く 夢(いめ)に見(み)えずて 年經(としのへ)ぬれば
 吾之所戀者 莫得慰藉難平復 所去時日長 不復夢見君久矣 已然月異更經年
佚名 2814

「真日長(まけなが)く」,「真(ま)」為接頭語。冠於複合形容詞「日長く」。
「夢(いめ)に見(み)えずて」,主語為對方。古俗以為夢見他人乃他人思念自身之徵兆。

2815 【承前,廿首第八。】
 真氣永 夢毛不所見 雖絕 吾之片戀者 止時毛不有
 真日長(まけなが)く 夢(いめ)にも見(み)えず 絕(た)えぬとも 我(あ)が片戀(かたこひ)は 止(や)む時(とき)も有(あ)らじ
 嗚呼時日長 不復夢見君久矣 縱然緣已斷 然我片戀單相思 此情遙遙無絕時
佚名 2815

 右二首。

「夢(いめ)にも見(み)えず」,主語為對方。承接前首三、四句,反過來責問對方方是無情的一方。
「絕(た)えぬとも」,即便被你捨棄,斷絕緣分。

2816 【承前,廿首第九。】
 浦觸而 物莫念 天雲之 絕多不心 吾念莫國
 衷觸(うらぶ)れて 物莫思(ものなおも)ひそ 天雲(あまくも)の 蕩漾心(たゆたふこころ) 我(わ)が思(おも)は無(な)くに
 切莫陷物悲 沉溺憂思心鬱抑 天雲霏霺兮 輕薄不定蕩漾情 吾人未嘗所持矣
佚名 2816

「衷觸(うらぶ)れ」,喪志無力。『能因歌枕』云「衷觸(うらぶ)れとは、物思ひて心苦しげなるを云ふ。」
「天雲(あまくも)の」,「蕩漾(たゆた)ふ」之枕詞。
「蕩漾心(たゆたふこころ)」,動搖不安定、見異思遷之心。

2817 【承前,廿首第十。】
 浦觸而 物者不念 水無瀨川 有而毛水者 逝云物乎
 衷觸(うらぶ)れて 物(もの)は思(おも)はじ 水無瀨川(みなせがは) 有(あり)ても水(みづ)は 行(ゆ)くと云(い)ふ物(もの)を
 吾不覺物悲 不念憂思無鬱抑 雖然水無瀨 隱水人目不得見 川流不止無息日
佚名 2817

 右二首。

「水無瀨川(みなせがは)」,或云「水無川」,伏流之水。比喻表面上裝作無所謂,內心情感卻澎湃難抑,思念無間。
「有(あり)ても水(みづ)は」,「有(あり)」乃一直維持現今之狀態。穿水源源不絕地在人目所不及之處流著。

2818 【承前,廿首十一。】
 垣津旗 開沼之菅乎 笠爾縫 將著日乎待爾 年曾經去來
 垣津旗(かきつはた) 佐紀沼菅(さきぬのすげ)を 笠(かさ)に縫(ぬ)ひ 著(き)む日(ひ)を待(ま)つに 年(とし)そ經(へ)にける
 妍哉垣津旗 滿開佐紀沼所生 菅縫飾笠上 長俟戴笠迎君日 不覺月異已經年
佚名 2818

「垣津旗(かきつはた)」,以「咲(さ)き」雙關而為「佐紀沼(さきぬ)」之枕詞。
「笠(かさ)に縫(ぬ)ひ」,與男女結契之比喻。
「著(き)む日(ひ)」,正式結婚之比喻。

2819 【承前,廿首十二。】
 臨照 難波菅笠 置古之 後者誰將著 笠有莫國
 臨照(おして)る 難波菅笠(なにはすがかさ) 置古(おきふる)し 後(のち)は誰(た)が著(き)む 笠(かさ)なら無(な)くに
 日光臨照兮 澪標難波菅笠矣 捨置時日久 汝不戴之積古舊 後亦無人將著之
佚名 2819

 右二首。

「臨照(おして)る」,難波之枕詞。
「難波菅笠(なにはすがかさ)」,菅乃難波之地代表性之植物。
「置古(おきふる)し」,長期放置而古舊。比喻男方長期不顧女方之狀。
「後(のち)は誰(た)が著(き)む 笠(かさ)なら無(な)くに」,除你之外不會有人能戴這頂菅笠。表示除了心上人,沒有與其他人結婚之打算。

2820 【承前,廿首十三。】
 如是谷裳 妹乎待南 左夜深而 出來月之 傾二手荷
 如是(かく)だにも 妹(いも)を待(ま)ちなむ 小夜更(さよふ)けて 出來(いでこ)し月(つき)の 傾(かたぶ)く迄(まで)に
 忐忑如此許 引領期待妹相來 俟至夜已更 東方出月已西傾 曉時將至汝未臨
佚名 2820

「如是(かく)だにも 妹(いも)を待(ま)ちなむ」,男子等待女性來訪之曲。女性之夜訪,甚屬稀奇,或為傳訟之間君易為妹哉。
「小夜更(さよふ)けて」,修飾「出來(いでこ)し月(つき)の」,或云修飾「傾(かたぶ)く迄(まで)に」。

2821 【承前,廿首十四。】
 木間從 移歷月之 影惜 俳徊爾 左夜深去家里
 木間(このま)より 移(うつろ)ふ月(つき)の 影(かげ)を惜(を)しみ 立迴(たちもとほ)るに 小夜更(さよふ)けにけり
 吾惜自木間 移歷灑落月影矣 翫其月光而 游移反覆俳徊間 不覺小夜夜已深
佚名 2821

 右二首。

「影(かげ)を惜(を)しみ」,此「影(かげ)」乃光之意。「惜(を)しみ」表愛翫。
「立迴(たちもとほ)るに」,「迴(もとほ)る」,『名義抄』云「徘徊,もとほる。」來回步行,無法心安之狀態。

2822 【承前,廿首十五。】
 栲領布乃 白濱浪乃 不肯緣 荒振妹爾 戀乍曾居【一云,戀流己呂可母。】
 栲領布(たくひれ)の 白濱波(しらはまなみ)の 寄(よ)りも遇(あ)へず 荒(あら)ぶる妹(いも)に 戀(こ)ひつつそ居(を)る【一云(またにいふ)、戀(こ)ふる頃(ころ)かも】
 素栲領巾兮 寄濱白浪之所如 雖然妹無情 恚慍無常不可近 吾仍慕之情甚切【一云,戀慕情盛徒更增。】
佚名 2822

「栲領布(たくひれ)の」,以楮纖維所製之領巾,「白濱波(しらはまなみ)」之枕詞。領巾為女性掛於肩上之裝飾用細長白布。
「白濱波(しらはまなみ)の」,如拍打岸邊之白色波浪般。以上乃「寄」之枕詞。
「寄(よ)りも遇(あ)へず」,「遇(あ)へず」表不可能。難以靠近。此云即便女方難以接近,作者之戀情仍像不斷靠岸的白浪般鍥而不捨。
「荒(あら)ぶる」,情緒起伏不穩定。

2823 【承前,廿首十六。】
 加敝良末爾 君社吾爾 栲領巾之 白濱浪乃 緣時毛無
 返(かへ)らまに 君(きみ)こそ我(われ)に 栲領巾(たくひれ)の 白濱波(しらはまなみ)の 寄(よ)る時(とき)も無(な)き
 所言雖如此 我還反問吾君矣 曾如栲領巾 寄濱白浪之所如 頻頻來緣時有哉
佚名 2823
 右二首。

「返(かへ)らまに」,相反地。或云「かへらばに」。
雖然前曲男子宣稱時時思念女方,如浪濤不絕,女方反問未曾見男子如浪濤般不絕來訪。

2824 【承前,廿首十七。】
 念人 將來跡知者 八重六倉 覆庭爾 珠布益乎
 思人(おもふひと) 來(こ)むと知(し)りせば 八重葎(やへむぐら) 覆(おほ)へる庭(には)に 玉敷(たまし)かまし
 若得早知道 朝思暮想伊人來 雜草生漫然 八重葎覆庭苑間 敷玉款待迎君至
佚名 2824

「來(こ)むと知(し)りせば」,「せば」為反事實假定。不知戀人來訪,若能早知道...
「八重葎(やへむぐら) 覆(おほ)へる庭(には)に」,葎乃蔓性雜草,描述庭院為打理而雜草蔓生之謙遜表現。
「玉敷(たまし)かましを」,自責未能好好款待客人之長套表現句。

2825 【承前,廿首十八。】
 玉敷有 家毛何將為 八重六倉 覆小屋毛 妹與居者
 玉敷(たまし)ける 家(いへ)も何(なに)せむ 八重葎(やへむぐら) 覆(おほ)へる小屋(こや)も 妹(いも)と居(を)りせば
 縱為朱玉敷 輪奐華邸又何如 雖是雜草生 八重葎覆蔽小屋 與妹居者既足矣
佚名 2825

 右二首。

「何(なに)せむ」,反語。即便鋪設珠玉又如何。
「妹(いも)と居(を)りせば」,事實假定。只要能與戀人相共,無論在哪都怡然自得。

2826 【承前,廿首十九。】
 如是為乍 有名草目手 玉緒之 絕而別者 為便可無
 如是(かく)しつつ 有慰(ありなぐさ)めて 玉緒(たまのを)の 絕(た)えて別(わか)れば 術無(すべな)かるべし
 雖然自相識 如是依慰至於此 魂絲玉緒兮 有朝情斷絕緣者 手足無措不欲生
佚名 2826

「有慰(ありなぐさ)めて」,「有(あり)」表狀態持續。至今為止,相互依偎以緩心苦。
「玉緒(たまのを)の」,「絕」之枕詞。
「絕(た)えて別(わか)れば」,斷絕關係、往來。作者為女性。

2827 【承前,廿首二十。】
 紅 花西有者 衣袖爾 染著持而 可行所念
 紅(くれなゐ)の 花(はな)にしあらば 衣手(ころもで)に 染付持(そめつけも)ちて 行(ゆ)くべく思(おも)ほゆ
 吾人有所思 若汝朱紅末摘花 願以此花者 渲染衣袖不離身 相持赴任至天邊
佚名 2827
 右二首。

「紅(くれなゐ)の 花(はな)にしあらば」,「あらば」為反事實假設。如果女方是一朵花的話。
「行(ゆ)くべく思(おも)ほゆ」,作者對戀人之思念,猶如想將她染在服上一同前往任地般。
男子認為地方官員,出向之時,愁傷與戀人分隔兩地之曲。

2828 譬喻 【十三第一。】
 紅之 深染乃衣乎 下著者 人之見久爾 仁寳比將出鴨
 紅(くれなゐ)の 深染(こそ)めの衣(きぬ)を 下(した)に著(き)ば 人見(ひとのみ)らくに 匂出(にほひい)でむかも
 若取朱紅之 深染衣裳著服下 以汝姿妙絕 若為他人所見時 蓋當徹衣而晃哉
柿本人麻呂 2828

「下(した)に著(き)ば」,穿在外衣之下,不為他人所見之處。古俗以為,男女相別之際,個贈貼身衣物交互著之,則可早日相逢。
「匂出(にほひい)でむかも」,「匂(にほ)ひ」為赤色發散之意。紅衣顯眼,即便穿於服下,亦容易透過而令他人察覺。
比喻雖欲偷偷逢瀨之,然女方姿色出眾,引人側目,擔心容易被他人發現自身戀情之曲。

2829 【承前,十三第二。】
 衣霜 多在南 取易而 著者也君之 面忘而有
 衣(ころも)しも 多(おほ)くあらなむ 取替(とりか)へて 著(き)ればや君(きみ)が 面忘(おもわす)れたる
 若為衣裳者 多多益善無不可 取替更新衣 相代著之我君故 早已不復憶吾面
佚名 2829

 右二首,寄衣喻思。

「衣(ころも)しも 多(おほ)くあらなむ」,若為衣服之數量,自是多多益善。但配偶卻非如此。女方責問男方多情之言語。なむ為希求終助詞,多用於反事實之前提。
「面忘(おもわす)れたる」,此云男子多情,流連眾多女子之間,久久不來,蓋已忘卻作者之容貌。

2830 【承前,十三第三。】
 梓弓 弓束卷易 中見判 更雖引 君之隨意
 梓弓(あづさゆみ) 弓束卷替(ゆづかまきか)へ 中見判(なかみわ)き 更(さら)に引(ひ)くとも 君(きみ)が隨(まにま)に
 嚴華梓弓矣 更替弓束革卷而 良見判其中 若復更慕舊識者 隨君任意可矣哉
佚名 2830

 右一首,寄弓喻思。

「弓束卷替(ゆづかまきか)へ」,弓束乃射箭時左手握持之部分,多以皮革或櫻樹之皮包裹。此云替弓束換新皮。
「中見判(なかみわ)き」,看清楚對方之內在。或本原文作「中見刺」,此依廣瀨本作「中見判」。
「更(さら)に引(ひ)くとも」,若再度回頭愛上先前的女子。「引」乃吸引,與「引弓」雙關。

2831 【承前,十三第四。】
 水沙兒居 渚座船之 夕鹽乎 將待從者 吾社益
 鶚居(みさごゐ)る 洲(す)に居(ゐ)る舟(ふね)の 夕潮(ゆふしほ)を 待(ま)つらむよりは 我(われ)こそ益(ま)され
 鷲鶚水沙兒 所棲沙洲泊船矣 彼舟暫繫岸 較於其待夕潮者 我俟吾君更久矣
佚名 2831

 右一首,寄船喻思。

「洲(す)に居(ゐ)る舟(ふね)の」,此「居舟」乃指平底船在退潮之後,固定於乾瀉之狀。

2832 【承前,十三第五。】
 山河爾 筌乎伏而 不肯盛 年之八歲乎 吾竊儛師
 山川(やまがは)に 筌(うへ)を伏(ふ)せて 守(も)りも堪(あ)へず 年八歲(としのやとせ)を 我(わ)が竊儛(ぬすまひ)し
 設置山河間 伏筌竹笱不堪守 以其無人守 論其年者八歲間 我私竊儛取其魚
佚名 2832

 右一首,寄魚喻思。

「筌(うへ)を伏(ふ)せて」,「筌(うへ)」乃以竹籤所編之筒狀陷阱,置餌其間,沉水以捕魚。『玉篇』云:「捕魚之竹笱也」。「伏(ふ)せて」,偷偷設置。
「守(も)りも堪(あ)へず」,無法全天守候。主語乃筌之主人。
「年八歲(としのやとせ)を」,「八歲」只長久之年月。
「我(わ)が竊儛(ぬすまひ)し」,竊取他人之魚。
男子持續地偷偷與有夫之婦逢瀨之曲。

2833 【承前,十三第六。】
 葦鴨之 多集池水 雖溢 儲溝方爾 吾將越八方
 葦鴨(あしがも)の 多集池水(すだくいけみづ) 溢(はふ)るとも 溉溝邊(まけみぞのへ)に 我越(われこ)えめやも
 葦鴨所多集 喧囂池水雖滿溢 然吾有所思 此心所向已有鍾 豈越溉溝至他池
佚名 2833

 右一首,寄水喻思。

「葦鴨(あしがも)」,棲息尾邊之鴨。日葡辭書視之為鴨之別稱。
「多集(すだく)」,除多集之外,亦含有喧鬧之意。
「溢(はふ)るとも」,滿出。
「溉溝邊(まけみぞのへ)に」,將川、池之水導入田中用以灌溉之溝渠。『名義抄』云:「溉,水マカス。」
即便思緒滿溢,仍不會妄動之意。

2834 【承前,十三第七。】
 日本之 室原乃毛桃 本繁 言大王物乎 不成不止
 大和(やまと)の 室生毛桃(むろふのけもも) 本繁(もとしげ)く 言(い)ひてし物(もの)を 成(な)らずは止(や)まじ
 蜻蛉秋津洲 大和室生毛桃之 本繁生盎然 既然枝葉發向榮 豈不成實而止哉
佚名 2834

 右一首,寄菓喻思。

「大和(やまと)の 室生毛桃(むろふのけもも)」,「本繁(もとしげ)く」之序文。
「本繁(もとしげ)く」,心中思緒複雜之比喻。
「成(な)らずは止(や)まじ」,「成(な)る」乃戀愛成就。

2835 【承前,十三第八。】
 真葛延 小野之淺茅乎 自心毛 人引目八面 吾莫名國
 真葛延(まくずは)ふ 小野淺茅(をののあさぢ)を 心(こころ)ゆも 人引(ひとひ)かめやも 我(わ)が無(な)け無(な)くに
 真葛廣蔓延 小野盛繁淺茅矣 汝命豈由心 欲令他人所摘哉 分明吾者非不在
佚名 2835

「小野淺茅(をののあさぢ)を」,淺茅乃低矮之茅草。此為稚年女性之比喻。
「心(こころ)ゆも」,打從心裡。「も」為反語。
「人引(ひとひ)かめやも」,誘惑人來摘取。
此云女方仍尚年稚,無法結婚。自己常扮身邊,希望別給他人娶走。

2836 【承前,十三第九。】
 三嶋菅 未苗在 時待者 不著也將成 三嶋菅笠
 三島菅(みしますげ) 未苗也(いまだなへなり) 時待(ときま)たば 著(き)ずやなりなむ 三島菅笠(みしますがかさ)
 三嶋江菅矣 汝仍稚嫩為苗也 待時之熟者 可以以汝飾笠哉 三嶋之江菅笠矣
佚名 2836

「三島菅(みしますげ)」,生長於三島江邊之菅草。
「著(き)ずやなりなむ」,編織為笠而帶在身上。比喻結婚。
在等待年幼女張成長之間,該不會為他人所奪之不安。

2837 【承前,十三第十。】
 三吉野之 水具麻我菅乎 不編爾 苅耳苅而 將亂跡也
 御吉野(みよしの)の 水隈(みぐま)が菅(すげ)を 編無(あまな)くに 刈(かり)のみ刈(か)りて 亂(みだ)りてむとや
 芳野御吉野 水隈所生菅草矣 汝不編之而 一昧苅而輙摘之 只令狼藉紊亂哉
佚名 2837

「水隈(みぐま)が菅(すげ)を」,河川彎曲部所生之菅。
「編無(あまな)くに」,不正式結婚之比喻。
「刈(かり)のみ刈(か)りて」,發生男女關係之比喻。
「亂(みだ)りてむとや」,搗亂對方之心情。
女性怨懟男方只是玩玩而不願結婚之曲。

2838 【承前,十三十一。】
 河上爾 洗若菜之 流來而 妹之當乃 瀨社因目
 川上(かはかみ)に 洗(あら)ふ若菜(わかな)の 流來(ながれき)て 妹(いも)が邊(あた)りの 瀨(せ)にこそ寄(よ)らめ
 吾願猶川上 所洗若菜之所如 隨波流而下 來到所慕伊人許 寄其身旁緣彼瀨
佚名 2838

 右四首,寄草喻思。

「洗(あら)ふ若菜(わかな)の」,「の」乃「のように」之意。
「流來(ながれき)て」,「來」乃以對方之位置而言。
期望變身為浮水之物,隨波自上游流往下游,為位居下游之女方所拾起。近於寄物陳思。

2839 【承前,十三十二。】
 如是為哉 猶八成牛鳴 大荒木之 浮田之社之 標爾不有爾
 如是(かく)してや 猶(なほ)や成(なり)なむ 大荒木(おほあらき)の 浮田社(うきたのもり)の 標(しめ)に在(あ)ら無(な)くに
 如是為哉耶 尚將老年華去爾 吾非大荒木 浮田社之嚴標者 縱然古意何所益
佚名 2839

 右一首,寄標喻思。

「如是(かく)してや 猶(なほ)や成(なり)なむ」,詠嘆疑問。類歌1349有「如是してや 尚哉老いなむ」之語。 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m07.htm#1349 なる指年華老去。重複之「や」用於調整語調。「如是(かく)」所指不明,或指與男方遲遲無法結婚之不安定狀態。原文「牛鳴」乃狀聲詞「む」之借訓。
「標(しめ)に在(あ)ら無(な)くに」,「標」指標是神社結界之注連繩之類。神社、古蹟,蘊古而更有氣氛,然人只是徒然老去而已。


2840 【承前,十三十三。】
 幾多毛 不零雨故 吾背子之 三名乃幾許 瀧毛動響二
 幾多も(いくばく) 降(ふ)らぬ雨故(あめゆゑ) 我(わ)が背子(せこ)が 御名(みな)の幾許(ここだく) 瀧(たき)も動響(とどろ)に
 雨零非甚多 稀疏點點降小糠 分明如此者 何以夫子浮名立 響徹如瀧傳震耳
佚名 2840

 右一首,寄瀧喻思。


真字萬葉集 卷十一 古今相聞往來歌類之上 終

「幾多も(いくばく) 降(ふ)らぬ雨故(あめゆゑ)」,「故(ゆゑ)」於此為逆接用法。類歌1370有「甚多も 降らぬ雨故」https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m07.htm#1370
分明不常與男方相會,然而為有浮名蜚語莫名其妙地傳開。