補給物資、万葉集試訳

■補給物資


万葉集試訳

2258 【承前,八首第七。】
 秋芽子之 枝毛十尾爾 置霧之 消毳死猿 戀乍不有者
 秋萩(あきはぎ)の 枝(えだ)も撓(とをを)に 置露(おくつゆ)の 消(け)かもしな益(まし) 戀(こひ)つつ有(あ)らずは
 不若猶秋萩 枝葉末梢垂撓屈 置露之所如 俄然消逝絕命緒 勝過苦戀愁斷腸
佚名 2258

「枝(えだ)も撓(とをを)に」,枝葉因露水之重而低垂之狀。
「置露(おくつゆ)の」,以上三句,用以引出「消(け)」之序。

2259 【承前,八首第八。】
 秋芽子之 上爾白露 每置 見管曾思怒布 君之光儀呼
 秋萩(あきはぎ)の 上(うへ)に白露(しらつゆ) 置(お)く每(ごと)に 見(み)つつそ偲(しの)ふ 君(きみ)が姿(すがた)を
 秋萩芽子之 枝葉之上置白露 每見彼露置 觸景生情有所偲 更念君之光儀矣
佚名 2259

「君(きみ)が姿(すがた)を」,原文「光儀」,乃美稱形姿之漢語。

2260 寄風 【二首第一。】
 吾妹子者 衣丹有南 秋風之 寒比來 下著益乎
 我妹子(わぎもこ)は 衣(ころも)に有(あ)らなむ 秋風(あきかぜ)の 寒(さむ)き此頃(このころ) 下(した)に著(き)ましを
 願得吾妹子 肌身著衣為形見 蕭瑟秋風之 冷冽凍骨寒此頃 冀著衣下貼膚暖
佚名 2260

「衣(ころも)に有(あ)らなむ」,原文「衣丹有南」,而衣字或訓做「きぬ」。一般而言,「衣(きぬ)」往往只人目可觸及之外衣,而「衣(ころも)」則為蔽於外衣之下之服。「なむ」乃希求表現,此用於反事實期望句。
「秋風(あきかぜ)の 寒(さむ)き此頃(このころ)」,感受秋風寒冷,乃影射孤獨之常套用法。「此頃(このころ)」原文「比來」為漢籍之俗語表現。
「下(した)に著(き)ましを」,若得將心上人之內衣肌身不離地穿在自己身上就好了。「下(した)」表人目所無以觸及之處。古俗以為相別之時,與對方交換內衣著之,有早速相逢之效。

2261 【承前,二首第二。】
 泊荑風 如是吹三更者 及何時 衣片敷 吾一將宿
 泊荑風(はつせかぜ) 如是吹(かくふ)く宵(よひ)は 何時迄(いつまで)か 衣片敷(ころもかたし)き 我(あ)が獨寢(ひとりね)む
 長谷泊荑風 如是吹拂三更夜 當及於何時 吾人片敷衣裳而 孤寢輾轉總難眠
佚名 2261

「泊荑風(はつせかぜ)」,奈良櫻井市東部,初荑之地所吹之風。
「如是吹(かくふ)く宵(よひ)は」,「宵(よひ)」原文「三更」者,唐土更點時法之深夜。
「衣片敷(ころもかたし)き」,「片敷(かたし)き」於『萬葉集』計有五例,皆用於孤獨寂寞之情狀。或為等待男方來訪之閨怨之曲。

2262 寄雨 【二首第一。】
 秋芽子乎 令落長雨之 零比者 一起居而 戀夜曾大寸
 秋萩(あきはぎ)を 散(ち)らす長雨(ながめ)の 降(ふ)る頃(ころ)は 獨起居(ひとりおきゐ)て 戀(こ)ふる夜(よ)そ多(おほ)き
 每摧秋萩而 令其凋散長雨之 零落此頃者 吾人隻身獨起居 憂思愁夜寔多矣
佚名 2262

「長雨(ながめ)」,「長雨(ながあめ)」之略。『和名抄』云「霖,三日以上雨也。和名長雨(ながあめ)。」中古以降,多將之與詠嘆(詠め=ながめ)做連結,然『萬葉集』未有此例。

2263 【承前,二首第二。】
 九月 四具禮乃雨之 山霧 烟寸吾胷 誰乎見者將息【一云,十月,四具禮乃雨降。】
 九月(ながつき)の 時雨雨(しぐれのあめ)の 山霧(やまぎり)の 烟(いぶせ)き我(あ)が胸(むね) 誰(た)を見(み)ば止(や)まむ【一云(またにいふ)、十月(かむなづき)、時雨雨降(しぐれのあめふ)り。】
 長月九月矣 時雨之雨所致兮 山霧之所如 吾胸抑鬱烟瀰漫 見乎誰者才方歇【一云,神無十月之,時雨之雨降紛紛。】
佚名 2263

「山霧(やまぎり)の」,以上三句,帶出「烟(いぶせ)き」之序。
「烟(いぶせ)き我(あ)が胸(むね)」,此句以上,言山霧瀰漫不明朗。此句以下,述心情鬱鬱寡歡不晴。底本多作「烟寸吾告胷」,此依『萬葉集略解』以告為衍字。
「誰(た)を見(み)ば止(や)まむ」,此云這份憂鬱之情,在見到心上人之前無以喝止。

2264 寄蟋
 蟋蟀之 待歡 秋夜乎 寐驗無 枕與吾者
 蟋蟀(こほろぎ)の 待喜(まちよろこ)ぶる 秋夜(あきのよ)を 寢(ぬ)る験無(しるしな)し 枕(まくら)と我(あれ)とは
 雖是蟋蟀之 歡喜引領所期盼 愉待秋夜者 雖寢無驗誠空虛 與枕相對無人
佚名 2264

「待喜(まちよろこ)ぶる」,上代語「喜(よろこ)ぶる」為上二段活用形,平安初期宣命亦有「朕のみや此を喜備む」之語。此文明言蟋蟀喜備秋日到來,暗喻女方等待男子來訪。
「寢(ぬ)る験無(しるしな)し」,驗表效驗。雖然歡喜等待,然而伊人不至,獨守空閨。

2265 寄蝦(かはづ)
 朝霞 鹿火屋之下爾 鳴蝦 聲谷聞者 吾將戀八方
 朝霞(あさがすみ) 鹿火屋(かひや)が下(した)に 鳴(な)く蛙(かはづ) 聲(こゑ)だに聞(き)かば 我戀(あれこ)ひめやも
 朝霞瀰漫兮 鹿火田畑屋之下 所鳴川蛙矣 若得稍聞彼鳴聲 吾豈相思愁如此
佚名 2265

「朝霞(あさがすみ)」,「鹿火屋(かひや)」之枕詞。以雲霞比喻驅蚊煙火。
「鹿火屋(かひや)」,燃燒鹿火之小屋。鹿火之用以阻嚇豬鹿搗壞田地而燃燒之火,或驅蚊之蚊火。類歌3818書香火屋。
「鳴(な)く蛙(かはづ)」,以上為引出「聲(こゑ)」之序。「蛙(かはづ)」為「蛙(かえる)」之雅語。
類歌3818。

2266 寄鴈
 出去者 天飛鴈之 可泣美 且今日且今日云二 年曾經去家類
 出(いで)て去(い)なば 天飛(あまと)ぶ雁(かり)の 泣(な)きぬべみ 今日今日(けふけふ)と言(い)ふに 年(とし)そ經(へ)にける
 羈旅出去者 其猶騰空飛雁之 離情催鳴泣 每道今日且今日 不覺月累復經年
佚名 2266

「出(いで)て去(い)なば」,主語為作者。
「泣(な)きぬべみ」,主語為女性。「べみ」為「べし」之み句法。
「今日今日(けふけふ)と言(い)ふに」,每逢作者將出門,戀人不堪離情哭泣不止而作罷,日日接道今日將往,卻未嘗成行。原文「且今日且今日」乃併記事實之漢籍用法。

267 寄鹿 【二首第一。】
 左小壯鹿之 朝伏小野之 草若美 隱不得而 於人所知名
 佐雄鹿(さをしか)の 朝伏(あさふ)す小野(をの)の 草若(くさわか)み 隱(かく)らひ兼(か)ねて 人(ひと)に知(し)らゆな
 其猶小壯鹿 所以朝伏小野之 草稚未深故 不得隱匿之所如 為人所知天下悉
佚名 2267

「草若(くさわか)み」,春稚草未深,鹿雖欲棲身其中卻無以完全匿身。
「隱(かく)らひ兼(か)ねて」,難以隱藏兩人之關係。
本歌與次歌,皆寄於春鹿,而詠鹿伏草之曲。

2268 【承前,二首第二。】
 左小壯鹿之 小野之草伏 灼然 吾不問爾 人乃知良久
 佐雄鹿(さをしか)の 小野草伏(をののくさぶ)し 灼然(いちしろ)く 我(あ)が問(と)は無(な)くに 人(ひと)の知(し)れらく
 其猶小壯鹿 身伏小野所寢之 寐跡歷然矣 吾之比日不問者 為人所知天下悉
佚名 2268

「小野草伏(をののくさぶ)し」,以上,帶出「灼然(いちしろ)く」之序。鹿之所寢,押靡野草,自其跡而歷歷可見。
「我(あ)が問(と)は無(な)くに」,「問(と)」ふ指訪妻。
「人(ひと)の知(し)れらく」,「知れり」之く句法終止型。

2269 寄鶴
 今夜乃 曉降 鳴鶴之 念不過 戀許筯益也
 今夜(こよひ)の 曉降(あかときぐた)ち 鳴鶴(なくたづ)の 思(おも)ひは過(す)ぎず 戀(こひ)こそ筯(ま)され
 其猶今宵之 曉時將盡欲拂曉 鳴鶴之所如 相思之情不能止 徒筯戀慕更焦身
佚名 2269

「今夜(こよひ)の 曉降(あかときぐた)ち」,「今夜(こよひ)」乃依古時以日沒為一日之始之觀念而言。「曉(あかとき)」即為「明時(あかとき)」,拂曉天亮之前。「降(ぐた)ち」乃盛時已過,將終之意。
「鳴鶴(なくたづ)の」,以上,比喻下兩句之序文。聞得拂曉前之鶴鳴,想像其與自身相同,悲於慕妻相思之情。
「思(おも)ひは過(す)ぎず」,「過(す)ぐ」乃消亡之意。

2270 寄草
 道邊之 乎花我下之 思草 今更更爾 何物可將念
 道邊(みちのへ)の 尾花(をばな)が下(した)の 思草(おもひぐさ) 今更更(いまさらさら)に 何(なに)をか思(おも)はむ
 洽猶道邊之 芒草尾花下蔭生 思草之所如 至於今日此時頃 將念何物憂至此
佚名 2270

「尾花(をばな)が下(した)の 思草(おもひぐさ)」,「思草(おもひぐさ)」未詳所指,而此歌置於秋相聞,亦有尾花之下云云,或為寄生芒草之根而秋日開花之浜靫科之南蠻煙管焉。以上三句,引出「思(おも)ひ」之序。
「今更更(いまさらさら)に 何(なに)をか思(おも)はむ」,反語表現。原文「何物」乃唐土俗語,與「何」字同。

2271 寄花 【廿三第一。】
 草深三 蟋多 鳴屋前 芽子見公者 何時來益牟
 草深(くさぶか)み 蟋蟀澤(こほろぎさは)に 鳴(な)く宿(やど)の 萩見(はぎみ)に君(きみ)は 何時(いつ)か來坐(きま)さむ
 盎然草木深 蟋蟀繁鳴聲不斷 我宿屋戶前 來翫荻花吾君矣 至於何時可相見
佚名 2271

「草深(くさぶか)み」,複合形容詞「草深(くさぶか)し」之み句法。
「何時(いつ)か來坐(きま)さむ」,期盼早日來會之語。

2272 【承前,廿三第二。】
 秋就者 水草花乃 阿要奴蟹 思跡不知 直爾不相在者
 秋就(あきづ)けば 水草花(みくさのはな)の 散(あ)えぬがに 思(おも)へど知(し)らじ 直(ただ)に逢(あ)はざれば
 每逢秋就者 便如水草花所如 散盡殆殞身 焦慕如焚君不知 莫得直逢相晤者
佚名 2272

「秋就(あきづ)けば」,相關於第三句「散(あ)えぬがに」。
水草花(みくさのはな)の」,以上二句,「散(あ)えぬがに」之序。然比喻與主題之連結處並不明確。
「散(あ)えぬがに」,「がに」乃承受活用與終止型而有「至於如此」之意。水邊之犬蓼花等,破碎凋零之狀稱「散(あ)ゆ」。與形容陷於憂思之人之「あえぬがに」蓋為同源。

2273 【承前,廿三第三。】
 何為等加 君乎將猒 秋芽子乃 其始花之 歡寸物乎
 何(なに)すとか 君(きみ)を厭(いと)はむ 秋萩(あきはぎ)の 其初花(そのはつはな)の 嬉(うれ)しき物(もの)を
 當為何事而 可以嚴顏厭君哉 秋荻芽子之 始咲初華之所如 歡愉不及無由嫌
佚名 2273

「何(なに)すとか」,何故。於茲為反語用法。

2274 【承前,廿三第四。】
 展傳 戀者死友 灼然 色庭不出 朝容皃之花
 臥轉(こいまろ)び 戀(こひ)は死(し)ぬとも 灼然(いちしろ)く 色(いろ)には出(いで)じ 朝顏花(あさがほがはな)
 縱令身輾轉 苦心焦戀殆毀滅 不欲令人之 豈將作色現灼然 朝顏之華過艷矣
佚名 2274

「臥轉(こいまろ)び」,「臥(こ)ゆ」乃倒臥之意,「轉(まろ)び」為輾轉。仙覺本系原文做「輾轉」,此依元曆校本做「展傳」。轉、傳二字通,「展傳」、「輾轉」意同。
「朝顏花(あさがほがはな)」,牽牛花。花大而色艷,常為作色之比喻。

2275 【承前,廿三第五。】
 言出而 云者忌染 朝皃乃 穗庭開不出 戀為鴨
 言(こと)に出(い)でて 言(い)はば忌(ゆゆ)しみ 朝顏(あさがほ)の 穗(ほ)には咲出(さきで)ぬ 戀(こひ)もするかも
 不當輕言矣 甚忌揚言不吉矣 豈當如朝顏 吾穗不咲隱戀忍 深埋心中莫張揚
佚名 2275

「忌(ゆゆ)しみ」,當以為忌憚。此云與言語相關之禁忌。古俗以為,不堪慕情,揚言心中戀情、伊人之名者,將招致不幸。

2276 【承前,廿三第六。】
 鴈鳴之 始音聞而 開出有 屋前之秋芽子 見來吾世古
 雁(かり)が音(ね)の 初聲聞(はつこゑき)きて 咲出(さきで)たる 宿秋萩(やどのあきはぎ) 見(み)に來我(こわ)が背子(せこ)
 其隨飛雁之 鳴泣初啼聲可聞 因而咲綻放 我宿秋萩妍華矣 還冀來賞吾夫子
佚名 2276

「見(み)に來我(こわ)が背子(せこ)」,「來(こ)」乃「來(く)」之命令型。

2277 【承前,廿三第七。】
 左小壯鹿之 入野乃為酢寸 初尾花 何時加妹之 手將枕
 佐雄鹿(さをしか)の 入野芒(いりののすすき) 初尾花(はつをばな) 何時(いつ)しか妹(いも)が 手(て)を枕(まく)らかむ
 小壯雄鹿之 入野之芒所叢生 初尾花所如 窈窕淑女吾好裘 何時可枕汝手哉
佚名 2277

「佐雄鹿(さをしか)の」,「入野(いりの)」之枕詞。以鹿押開草原前進之意象為之。
「入野(いりの)」,所在未詳。或云與1272「大刀の後鞘に入野」同為京都西京區大原野上羽町入野神社一帶,然入野一般用以形容地形,指深入群山間之平地,非指特定地點。
「初尾花(はつをばな)」,剛結穗之尾花,形容嬌羞女性之姿。

2278 【承前,廿三第八。】
 戀日之 氣長有者 吾苑囿能 辛藍花之 色出爾來
 戀(こ)ふる日(ひ)の 日長(けなが)くしあれば 我(わ)が苑(その)の 韓藍花(からあゐのはな)の 色(いろ)に出(い)でにけり
 吾人憂戀慕 相思既久時日長 以故我苑間 韓藍花開盛綻放 顯色將為他人知
佚名 2278

「我(わ)が苑(その)の」,底本原文書「三苑囿能」,此依元曆校本作「吾苑囿能」。「囿」、「苑」相通。
「韓藍花(からあゐのはな)」,雞頭花。莧科一年草,秋日生有如雄雞之花冠而為名。其花之汁可做為染料,故用於出色之比喻。
「色(いろ)に出(い)でにけり」,秘藏心中之情愛,因表情而暴露。

2279 【承前,廿三第九。】
 吾鄉爾 今咲花乃 娘部四 不堪情 尚戀二家里
 我(わ)が里(さと)に 今咲(いまさ)く花(はな)の 女郎花(をみなへし) 堪(あ)へぬ心(こころ)に 尚戀(なほこ)ひにけり
 吾鄉故里間 今時滿咲遍綻放 窈窕女郎花 吾心難堪相思愁 尚戀不止更煎熬
佚名 2279

「女郎花(をみなへし)」,底本原文「娘部四敝之」,或書「娘部四」,或書「娘敝之」,今從「敝之」乃校異雜入之說。概譬喻戀人之語。
「堪(あ)へぬ」,「堪(あ)ふ」乃中古語「堪(た)ふ」之古形。

2280 【承前,廿三第十。】
 芽子花 咲有乎見者 君不相 真毛久二 成來鴨
 萩花(はぎのはな) 咲(さ)けるを見(み)れば 君(きみ)に逢(あ)はず 誠(まこと)も久(ひさ)に 成(な)りにけるかも
 每見秋荻之 滿山盛咲遍地者 觸景有所念 與君相隔在異地 離別時日誠久矣
佚名 2280

「誠(まこと)も久(ひさ)に」,「久(ひさ)」將本為く活用之形容此「久し」轉作名詞之用。

2281 【承前,廿三十一。】
 朝露爾 咲酢左乾垂 鴨頭草之 日斜共 可消所念
 朝露(あさつゆ)に 咲樂溢(さきすさび)たる 月草(つきくさ)の 日斜(ひくた)つ共(なへ)に 消(け)ぬべく思(おも)ほゆ
 迷濛朝霧間 盎然盛咲避人目 月草之所如 欲與日斜相共傾 沒入朦朧隱此身
佚名 2281

「咲樂溢(さきすさび)たる」,「樂溢(すさ)ぶ」乃放任自然、縱情地之意。『新撰字鏡』云:「樂溢,すさぶ。」恣意綻放之狀。
「月草(つきくさ)の」,露草科一年草,秋日綻放藍色小花。
「日斜(ひくた)つ共(なへ)に」,名義抄云:「日斜,ひくだつ。」

2282 【承前,廿三十二。】
 長夜乎 於君戀乍 不生者 開而落西 花有益乎
 長夜(ながきよ)を 君(きみ)に戀(こ)ひつつ 生(い)けらずは 咲(さ)きて散(ち)りにし 花(はな)なら益(まし)を
 恨秋之夜長 焦戀慕君苦相思 苟延殘喘者 不若如花咲而散 凋零殞命得百了
佚名 2282

「長夜(ながきよ)を」,八月至正月之夜晚,此蓋指秋之夜長而論。
「生(い)けらずは」,比起痛苦地活下去,不如...。

2283 【承前,廿三十三。】
 吾妹兒爾 相坂山之 皮為酢寸 穗庭開不出 戀度鴨
 我妹子(わぎもこ)に 逢坂山(あふさかやま)の 旗芒(はだすすき) 穗(ほ)には咲出(さきで)ず 戀渡(こひわた)るかも
 親親吾妹子 逢坂山間所叢生 旗芒之所如 穗不咲出隱心中 默默暗戀埋胸懷
佚名 2283

「我妹子(わぎもこ)に」,以相逢而為「逢坂山(あふさかやま)」之枕詞。亦與第五句「戀渡(こひわた)るかも」相關。
「旗芒(はだすすき)」,以上,引出「穗(ほ)には咲出(さきで)ず」之序。
「穗(ほ)には咲出(さきで)ず」,「穗(ほ)」與「秀(ほ)」同,引人注目之事物。此云避開人目,偷偷愛著對方之意。

2284 【承前,廿三十四。】
 率爾 今毛欲見 秋芽子之 四搓二將有 妹之光儀乎
 率(ゆくりな)く 今(いま)も見(み)が欲(ほ)し 秋萩(あきはぎ)の 搓(しな)ひにあるらむ 妹(いも)が姿(すがた)を
 倉促急率爾 且今速欲得拜眉 秋荻之所如 嬌撓窈窕柔華奢 心懸吾妹光儀哉
佚名 2284

「率(ゆくりな)く」,原文「率爾」乃表突如之漢語。『名義抄』云:「率爾,俄かに、ゆくりなし。」
「今(いま)も見(み)が欲(ほ)し」,希望立刻相逢。
「搓(しな)ひにあるらむ」,枝葉撓垂之狀,比喻女子嬌柔婀娜之姿。

2285 【承前,廿三十五。】
 秋芽子之 花野乃為酢寸 穗庭不出 吾戀度 隱嬬波母
 秋萩(あきはぎ)の 花野芒(はなののすすき) 穗(ほ)には出(いで)ず 我(あ)が戀渡(こひわた)る 隱妻(こもりづま)はも
 秋荻所盛咲 百花絢爛原野間 芒薄不出穗 吾竊長相所戀慕 親親隱妻今何如
佚名 2285

「花野芒(はなののすすき)」,花野指花朵盛開之原野,以上乃引出下句「穗(ほ)」之序文。
「隱妻(こもりづま)はも」,「隱妻」指來訪男子尚未公表雙方關係之女方「はも」乃推量不在眼前之現今狀態之語。

2286 【承前,廿三十六。】
 吾屋戶爾 開秋芽子 散過而 實成及丹 於君不相鴨
 我(わ)が宿(やど)に 咲(さ)きし秋萩(あきはぎ) 散過(ちりす)ぎて 實(み)になる迄(まで)に 君(きみ)に逢(あ)はぬかも
 至於吾屋戶 所咲秋萩芽子花 凋散零落而 結實之日為止矣 未嘗得與君相逢
佚名 2286

「散過(ちりす)ぎて」,「過(す)ぎ」表消散不見。
「實(み)になる迄(まで)に」,隱喻便為秋萩結實至此,語該人卻遲無結果。


2287 【承前,廿三十七。】
 吾屋前之 芽子開二家里 不落間爾 早來可見 平城里人
 我(わ)が宿(やど)の 萩咲(はぎさ)きにけり 散(ち)らぬ間(ま)に 早來(はや)きて見(み)べし 奈良里人(ならのさとびと)
 吾宿屋前之 秋萩芽子已盛咲 在其未散間 宜當速來共相翫 寧樂奈良里人矣

「早來(はや)きて見(み)べし」,催促語句。但上代語無將之視為命令行之確例。
「奈良里人(ならのさとびと)」,里表市街地。居於飛鳥舊京,對平城京之友人或戀人所發之語。

2288 【承前,廿三十八。】
 石走 間間生有 皃花乃 花西有來 在筒見者
 石橋(いしばし)の 間間(まま)に生(お)ひたる 顏花(かほばな)の 花(はな)にし在(あり)けり 在(あり)つつ見(み)れば
 砌磴石橋之 走石間間所生有 貌花之所如 雖然開花不結實 見彼徒花嘆欷歔
佚名 2288

「石橋(いしばし)の」,置於淺水,藉以渡越之踏石。
「顏花(かほばな)」,未詳。或云水草。而「石橋(いしばし)」或書作「砌、磴」,是以或為石疊、石段所生之花草。
「在(あり)つつ」,一直如此。(開花而不結果。)

2289 【承前,廿三十九。】
 藤原 古鄉之 秋芽子者 開而落去寸 君待不得而
 藤原(ふぢはら)の 古(ふ)りにし里(さと)の 秋萩(あきはぎ)は 咲(さ)きて散(ち)りにき 君待兼(きみまちか)ねて
 舊都藤原京 人去樓空故里間 秋萩芽子者 咲而落去散凋零 不堪久待君不來
佚名 2289

「藤原(ふぢはら)の 古(ふ)りにし里(さと)の」,和銅三年遷京平城後,藤原是即舊都。
「君待兼(きみまちか)ねて」,主語為荻,而隱射持續等待之作者本身。

2290 【承前,廿三二十。】
 秋芽子乎 落過沼蛇 手折持 雖見不怜 君西不有者
 秋萩(あきはぎ)を 散過(ちりす)ぎぬべみ 手折持(たをりも)ち 見(み)れども寂(さぶ)し 君(きみ)にしあらねば
 吾見秋萩之 芽子盛過將凋零 折枝持身徬 雖然相翫仍寂寥 以其花者非君也
佚名 2290

「散過(ちりす)ぎぬべみ」,原文「落過沼蛇」之「蛇」乃へみ之借訓。
「見(み)れども寂(さぶ)し」,「寂(さぶ)し」乃「寂(さび)し」之古形。雖見荻花,能稍慰情懷,然相思之愁卻不能解。
「君(きみ)にしあらねば」,欲見伊人,而荻花難以代用。

2291 【承前,廿三廿一。】
 朝開 夕者消流 鴨頭草乃 可消戀毛 吾者為鴨
 朝咲(あしたさ)き 夕(ゆふへ)は消(け)ぬる 月草(つきくさ)の 消(け)ぬべき戀(こひ)も 我(あれ)はするかも
 朝開夕消逝 轉瞬凋零不久長 月草誠虛渺 如是黯然痛傷神 苦戀吾人為之矣
佚名 2291

「月草(つきくさ)の」,以上為引出「消(け)ぬ」之序。
「消(け)ぬべき戀(こひ)も」,磨耗身心殆至毀滅之憂戀。
類歌3039。

2292 【承前,廿三廿二。】
 蜒野之 尾花苅副 秋芽子之 花乎葺核 君之借廬
 秋津野(あきづの)の 尾花刈添(をばなかりそ)へ 秋萩(あきはぎ)の 花(はな)を葺(ふ)かさね 君(きみ)が假廬(かりほ)に
 蜻蛉秋津野 割苅尾花更添副 秋萩芽子之 妍花折之飾屋葺 為君所寢假廬上
佚名 2292

「秋津野(あきづの)」,所在未詳。『萬葉集』中秋津野有奈良吉野宮瀧、及紀州田邊秋津町兩處,未詳孰是。原文「蜒野」之「蜒」乃「蜻蛉・蜻蜓(あきづ)」之略。
「尾花刈添(をばなかりそ)へ...花(はな)を葺(ふ)かさね」,葺假廬之頂時,除尾花更添秋萩已飾之趣。「ね」為希求終助詞。

2293 【承前,廿三廿三。】
 咲友 不知師有者 默然將有 此秋芽子乎 令視管本名
 咲(さ)けりとも 知(し)らずしあらば 默(もだ)もあらむ 此秋萩(このあきはぎ)を 見(み)せつつ元無(もとな)
 若不知其咲 豈將觸景更生情 本可默然而 不巧誰叫君無由 令我觀此秋荻哉
佚名 2293

「咲(さ)けりとも」,此「とも」乃表引用之「と」與も之組合,非表逆接。
「默(もだ)もあらむ」,無感之心理狀態。
「見(み)せつつ元無(もとな)」,訪友人宅,見秋萩盛咲而曲折感嘆。更愛荻花而難捨

2294 寄山
 秋去者 鴈飛越 龍田山 立而毛居而毛 君乎思曾念
 秋去(あきさ)れば 雁飛越(かりとびこ)ゆる 龍田山(たつたやま) 立(た)ちても居(ゐ)ても 君(きみ)をしそ思(おも)ふ
 每逢秋臨時 鳴雁翔空所飛越 秋稼龍田山 坐立不安心忐忑 無時無刻不念君
佚名 2294

「龍田山(たつたやま)」,以上藉同音帶出「立(た)ち」之序。
「立(た)ちても居(ゐ)ても」,「居(ゐ)る」乃居坐之意,行住坐臥無所間息。

2295 寄黃葉 【三首第一。】
 我屋戶之 田葛葉日殊 色付奴 不來座君者 何情曾毛
 我(わ)が宿(やど)の 葛葉日(くずはひ)に異(け)に 色付(いろづ)きぬ 來坐(きま)さぬ君(きみ)は 何心(なにごころ)そも
 吾宿屋庭間 葛葉日異添新色 黃變至如此 然而吾君遲不來 汝心究竟做何想
佚名 2295

「葛葉日(くずはひ)に異(け)に」,「日(ひ)に異(け)に」表與日俱筯。慨歎離別日久,不得相逢。

2296 【承前,三首第二。】
 足引乃 山佐奈葛 黃變及 妹爾不相哉 吾戀將居
 足引(あしひき)の 山實葛(やまさなかづら) 黃變迄(もみつまで) 妹(いも)に逢(あ)はずや 我(あ)が戀居(こひを)らむ
 足曳勢險峻 及於峻山山實葛 轉俄黃變矣 吾仍無由與妹逢 唯有戀慕愁相思
佚名 2296

「山實葛(やまさなかづら)」,常䖝蔓性植物。
「黃變迄(もみつまで)」,山實葛晚秋不落葉而轉濃紅色。舊葉於春日發新芽時掉落。
「妹(いも)に逢(あ)はずや 我(あ)が戀居(こひを)らむ」,詠嘆疑問。

2297 【承前,三首第三。】
 黃葉之 過不勝兒乎 人妻跡 見乍哉將有 戀敷物乎
 黃葉(もみちば)の 過兼(すぎか)てぬ子(こ)を 人妻(ひとづま)と 見(み)つつやあらむ 戀(こ)ひしき物(もの)を
 黃葉零落兮 難以忘懷彼佳人 自今而後者 誠當視作人妻哉 戀慕至此甚惆悵
佚名 2297

「黄葉(もみちば)の」,「過(す)ぐ」之枕詞。
「過兼(すぎか)てぬ子(こ)を」,無法放下、忘去之人。「兼(か)てぬ」表無法克服。
「見(み)つつやあらむ」,詠嘆疑問。
「戀(こ)ひしき物(もの)を」,與第二句同義之別語表現。
慕然回首,伊人已作他人嫁,枉然戀慕情難忘。

2298 寄月 【三首第一。】
 於君戀 之奈要浦觸 吾居者 秋風吹而 月斜焉
 君(きみ)に戀(こ)ひ 萎心荒振(しなえうらぶ)れ 我(あ)が居(を)れば 秋風吹(あきかぜふ)きて 月傾(つきかた)ぶきぬ
 慕君情意亂 心力憔悴志消沉 居坐待君者 秋風吹拂沁骨寒 月傾將明人不來
佚名 2298

「萎心荒振(しなえうらぶ)れ」,「萎(しな)ゆ」乃草木枯萎,人心憔悴之狀。「心荒振(うらぶ)れ」乃心情憂悶之狀。
「月傾(つきかた)ぶきぬ」,期待心上人隨月光而至,然終不來。
類歌2667。

2299 【承前,三首第二。】
 秋夜之 月疑意君者 雲隱 須臾不見者 幾許戀敷
 秋夜(あきのよ)の 月(つき)かも君(きみ)は 雲隱(くもがく)り 須臾(しまし)く見(み)ねば 幾許戀(ここだこ)ひしき
 吾度我君者 蓋似秋夜月矣哉 雲隱匿形姿 須臾悄然不見者 戀慕幾許念如斯
佚名 2299

「秋夜(あきのよ)の 月(つき)かも君(きみ)は」,倒置。指心上人宛如秋月。「かも」原文「疑意」乃意訓用字。
「雲隱(くもがく)り」,比喻暫時無法見得戀人。

2300 【承前,三首第三。】
 九月之 在明能月夜 有乍毛 君之來座者 吾將戀八方
 九月(ながつき)の 有明月夜(ありあけのつくよ) 在(あり)つつも 君(きみ)が來坐(きま)さば 我戀(あれこ)ひめやも
 長月九月間 有明月夜之所如 若能常在此 得君時時來訪者 吾豈苦戀愁如斯
佚名 2300

有明月夜(ありあけのつくよ)」,以上二句以同音引出「在(あり)」之序。
「在(あり)つつも」,一直如此。

2301 寄夜 【三首第一。】
 忍咲八師 不戀登為跡 金風之 寒吹夜者 君乎之曾念
 良(よ)しゑやし 戀(こ)ひじとすれど 秋風(あきかぜ)の 寒吹(さむくふ)く夜(よ)は 君(きみ)をしそ思(おも)ふ
 一了而百了 吾新決意不復戀 然而當秋風 沁骨吹拂天寒夜 不覺思君更抑鬱
佚名 2301

「良(よ)しゑやし」,怨恨無情郎,表示己心已死,隨便如何都好之感嘆詞。
下定決心不顧對方,但在天寒枝葉仍不免相思。

2302 【承前,三首第二。】
 或者之 痛情無跡 將念 秋之長夜乎 寤臥耳
 或人(あるひと)の 嗚呼心無(あなこころな)と 思(おも)ふらむ 秋長夜(あきのながよ)を 寢覺伏(ねざめふ)すのみ
 蓋是或人念 嗚呼春宵不識趣 以為夜短故 吾人更傷秋夜長 孤寢難眠寤覺爾
佚名 2302

「或人(あるひと)の」,此云覺得秋夜苦短之人。
「嗚呼心無(あなこころな)と」,與愛人相語,則縱是漫長秋夜,亦覺苦短。恨夜不識香而早過。
「寢覺伏(ねざめふ)すのみ」,「寢覺(ねざめ)」指半夜醒來,該睡時睡不著

2303 【承前,三首第三。】
 秋夜乎 長跡雖言 積西 戀盡者 短有家里
 秋夜(あきのよ)を 長(なが)しと言(い)へど 積(つも)りにし 戀(こひ)を盡(つ)くせば 短(みじ)かくありけり
 縱觀人世間 雖然總云秋夜長 然吾有所思 此戀憂情積久長 若欲盡之恨夜短
佚名 2303

「戀(こひ)を盡(つ)くせば」,「盡(つ)くす」乃消解、盡全。情話綿綿,一解長久以來所累積之思念。

2304 寄衣
 秋都葉爾 爾寶敝流衣 吾者不服 於君奉者 夜毛著金
 秋葉(あきつは)に 匂(にほ)へる衣(ころも) 我(あれ)は著(き)じ 君(きみ)に奉(まつ)らば 夜(よる)も著(き)るがね
 秋葉現火紅 染作朱艷此衣裳 吾者不服之 若以此裳奉君者 漫漫長夜可著哉
佚名 2304

「秋葉(あきつは)」,秋日紅葉。
「匂(にほ)へる衣(ころも)」,染作鮮紅或鮮黃之服。一般「衣(ころも)」指貼身衣物。
「夜(よる)も著(き)るがね」,「がね...」於此為「將會為己而...」期待戀人穿著自身之衣物,夜寢之時能想念自身之心情。

2305 問答 【四首第一。】
 旅尚 襟解物乎 事繁三 丸宿吾為 長此夜
 旅(たび)に尚(すら) 紐解(ひもと)く物(もの)を 言繁(ことしげ)み 丸寢(まろね)そ我(あ)がする 長此夜(ながきこのよ)を
 羈旅在異地 尚有豔遇解紐者 然吾畏蜚語 不解衣襟丸寢而 隻身孤度此長夜
佚名 2305

「旅(たび)に尚(すら) 紐解(ひもと)く物(もの)を」,此云,有些人就算在外地亦解紐而寢。亦即在羈旅之間,有意外豔福,與結識織女子共寢。
「丸寢(まろね)」,穿著衣物,包裹得一絲不露而孤獨入睡。比喻伸守節操。
男子受人妨害,不得訪心上人之閨,所詠之曲。

2306 【承前,四首第二。】
 四具禮零 曉月夜 紐不解 戀君跡 居益物
 時雨降(しぐれふ)る 曉月夜(あかときづくよ) 紐解(ひもと)かず 戀(こ)ふらむ君(きみ)と 居(を)ら益物(ましもの)を
 時雨降紛紛 天將曙前曉月夜 衣紐無由解 若得與吾引領盼 戀君與共豈傷神
佚名 2306

「曉月夜(あかときづくよ)」,拂曉前之月夜,比喻等待情人來訪,終夜未眠,而待人不至。
「紐解(ひもと)かず」,前首「丸寢」之置換。

2307 【承前,四首第三。】
 於黃葉 置白露之 色葉二毛 不出跡念者 事之繁家口
 黃葉(もみちば)に 置白露(おくしらつゆ)の 色葉(いろは)にも 出(いで)じと思(おも)へば 言繁(ことのしげ)けく
 豈如黃葉上 置有白露色葉之 灼然顯於色 吾度自身隱此情 怎知流言蜚語傳
佚名 2307

「置白露(おくしらつゆ)の」,以上乃引出下文「色葉(いろは)にも」之序。
「色葉(いろは)」,發紅之樹葉。原文「色葉二毛」或云乃「色二葉毛」之文字倒轉而訓「色(いろ)に葉(は)も」。
「出(いで)じと思(おも)へば」,「思へば」乃逆接用語。

2308 【承前,四首第四。】
 雨零者 瀧都山川 於石觸 君之摧 情者不持
 雨降(あめふ)れば 激山川(たぎつやまがは) 岩(いは)に觸(ふ)れ 君(きみ)が碎(くだ)けむ 心(こころ)は持(も)たじ
 若逢雨零者 山川猛爆水勢狂 觸岩碎激越 然吾心柔情不堅 無由摧君碎如斯
佚名 2308
 右一首,不類秋歌,而以和載之也。

「岩(いは)に觸(ふ)れ」,以上乃「碎(くだ)けむ」之序。
「君(きみ)が碎(くだ)けむ 心(こころ)は持(も)たじ」,「碎(くだ)けむ」指心如刀割。此云作者心軟,沒有讓對方因自身情感不實而失望心碎的狠心。

2309 譬喻歌
 祝部等之 齋經社之 黃葉毛 標繩越而 落云物乎
 祝等(はふりら)が 齋社(いはふやしろ)の 黃葉(もみちば)も 標繩越(しめなはこ)えて 散(ち)ると云物(いふもの)を
 縱令祝部等 所以潔齋嚴守戊 大社黃葉者 亦有飄散越神域 凋零標繩外時矣
佚名 2309

「祝等(はふりら)が 齋社(いはふやしろ)の」,「祝(はふり)」乃次於禰宜之下級神官。原文底本作「祝部」,或本作「呪部」取詠唱咒文祈禱之意。「齋社(いは)ふ」乃淨身齋戒慎不觸穢,努於保持聖性之謂也。此社或與1517「味酒 三輪祝が 山照らす 秋黃葉の 散らまく惜しも」同指三輪山。 https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m08.htm#1517
「標繩越(しめなはこ)えて」,標繩乃用以標示所有所設之繩。此劇概指女子偷偷躲過親人之監視,潛出住居而與戀人逢晤。
男子誂誘女子,縱為雙親管控嚴格之深窗明珠,亦希望能時而偷偷逢荑之曲。

2310 旋頭歌 【二首第一。】
 蟋蟀之 吾床隔爾 鳴乍本名 起居管 君爾戀爾 宿不勝爾
 蟋蟀(こほろぎ)の 我(あ)が床邊(とこのへ)に 鳴(な)きつつ元無(もとな) 起居(おきゐ)つつ 君(きみ)に戀(こ)ふるに 寐兼(いねか)て無(な)くに
 唧唧復唧唧 吾之所寐床緣處 蟋蟀無由鳴不斷 輾轉又反覆 想戀起居倍思君 更不得眠夜將明
佚名 2310

「床邊(とこのへ)」,或云「床隔(とこのへ)」,由壁垣、衝立所區隔之空間。
「鳴(な)きつつ元無(もとな)」,毫無道理地鳴聲不斷。
「寐兼(いねか)て無(な)くに」,「兼(か)て無(な)く」表不可能之「克(か)てず」之く句法。


2311 【承前,二首第二。】
 皮為酢寸 穗庭開不出 戀乎吾為 玉蜻 直一目耳 視之人故爾
 旗芒(はだすすき) 穗(ほ)には咲出(さきで)ぬ 戀(こひ)を我(あ)がする 玉限(たまかぎ)る 唯一目(ただひとめ)のみ 見(み)し人故(ひとゆゑ)に
 旗芒之所如 黯然隱忍穗不咲 秘藏幽戀我為之 玉限魂極兮 奉為轉瞬所瞥見 一期一會伊人故
佚名 2311

「旗芒(はだすすき)」,「穗(ほ)」之枕詞。
「穗(ほ)には咲出(さきで)ぬ」,不結穗。「穗(ほ)」與「秀(ほ)」通,此句隱喻不形於色。
「玉限(たまかぎ)る」,以美玉一瞬間發出光芒修飾只見得一面之人。不過「玉限(たまかぎ)る」常用作修飾「命、魂」之枕詞,或有種不惜霍出性命,或是因相思之情痛不欲生之隱喻。

冬雜歌

2312 雜歌 【四首第一。】
 我袖爾 雹手走 卷隱 不消有 妹為見
 我(わ)が袖(そで)に 霰(あられ)た走(ばし)る 卷隱(まきかく)し 消(け)たずてあらむ 妹(いも)が見(み)む為(ため)
 吾袖衣手間 霰雪奔騰零來矣 今欲包取之 裹持呵護不令消 奉為將來使妻見
柿本人麻呂 2312

「霰(あられ)た走(ばし)る」,「た走(ばし)る」乃猛烈飛跳之意。た為接頭語,「走(はし)る」本意即為奔騰、炸裂之意。「霰(あられ)」包含冰雹,原文作「雹」。
「卷隱(まきかく)し」,此云以衣物包裹之。
「消(け)たずてあらむ」,「消(け)つ」乃「消(け)す」之古形。雖然作者性別相反,此乃近於1833「梅花 降覆ふ雪を 包持ち 君に見せむと 取れば消につつ」之用法。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m10.htm#1833

2313 【承前,四首第二。】
 足曳之 山鴨高 卷向之 木志乃子松二 三雪落來
 足引(あしひき)の 山(やま)かも高(たか)き 卷向(まきむく)の 崖小松(きしのこまつ)に 御雪降來(みゆきふりく)る
 足曳勢險峻 蓋是此山高故哉 纏向穴師之 崖之小松末梢上 御雪落來降紛紛
柿本人麻呂 2313

「山(やま)かも高(たか)き」,類似疑問文之疑問條件語。此山概指與三輪山一谷之隔的穴師山。
「崖小松(きしのこまつ)に」,崖乃介於三輪山、穴師山間之卷向川之河岸。

2314 【承前,四首第三。】
 卷向之 檜原毛未 雲居者 子松之末由 沫雪流
 卷向(まきむく)の 檜原(ひはら)も未(いま)だ 雲居(くもゐ)ねば 小松(こまつ)が末(うれ)ゆ 沫雪流(あわゆきなが)る
 分明寧樂之 纏向檜原雲未居 何以轉瞬間 自於小松末梢上 沫雪飄零流轉哉
柿本人麻呂 2314

「雲居(くもゐ)ねば」,「雲居(くもゐ)る」乃雲一時停滯於某一場所之意。
「沫雪流(あわゆきなが)る」,「流(なが)る」乃雨、雪、花瓣、木葉之類,隨風飄散之狀。

2315 【承前,四首第四。】
 足引 山道不知 白柯杙 枝母等乎乎爾 雪落者【或云、枝毛多和多和。】
 足引(あしひき)の 山道(やまぢ)も知(し)らず 白橿(しらかし)の 枝(えだ)も撓(とをを)に 雪降(ゆきのふ)れれば【或云(あるはいふ)、枝(えだ)も撓撓(たわたわ)。】
 足曳勢險峻 山道亦不知所蹤 何以如此者 白橿之枝亦撓曲 雪降紛紛遂所以【或云、白橿枝亦曲撓撓。】
柿本人麻呂 2315
 右,柿本朝臣人麻呂之歌集出也。但,件一首,或本云:「三方沙彌作。」

「山道(やまぢ)も知(し)らず」,因大雪而無以分別道路。
「枝(えだ)も撓(とをを)に」,因積雪之重而撓曲。
「枝(えだ)も撓撓(たわたわ)」,「撓撓(たわたわ)」乃屈折。
「件一首」,此云2315。

2316 詠雪 【九首第一。】
 奈良山乃 峯尚霧合 宇倍志社 前垣之下乃 雪者不消家禮
 奈良山(ならやま)の 峰尚霧(みねなほき)らふ 宜(うべ)しこそ 籬下(まがきのもと)の 雪(ゆき)は消(け)ずけれ
 吾觀寧樂之 奈良山峰霧尚籠 理宜灼然矣 無怪籬下前垣許 積雪仍置未消熔
佚名 2316

「峰尚霧(みねなほき)らふ」,「霧(き)らふ」乃「霧(き)る」之持續形。山為雪雲覆蓋,備感嚴寒。
「宜(うべ)しこそ」,表以下所述合理。難怪。
「籬下(まがきのもと)の」,「籬(まがき)」乃以竹、柴所編織之壁垣。

2317 【承前,九首第二。】
 殊落者 袖副沾而 可通 將落雪之 空爾消二管
 殊降(ことふ)らば 袖(そで)さへ濡(ぬ)れて 通(とほ)るべく 降(ふ)らなむ雪(ゆき)の 空(そら)に消(け)につつ
 吾人有所嘆 既然天雪必零者 不若濡袖濕 當應豪降落雪者 飄渺消熔逝空中
佚名 2317

「殊降(ことふ)らば」,既然都要下的話。「殊(こと)」於此與「如(こと)し」類。「こと...ば」有希求之意。

2318 【承前,九首第三。】
 夜乎寒三 朝戶乎開 出見者 庭毛薄太良爾 三雪落有【一云,庭裳保杼呂爾,雪曾零而有。】
 夜(よ)を寒(さむ)み 朝戶(あさと)を開(ひら)き 出見(いでみ)れば 庭(には)も薄垂(はだら)に 御雪降(みゆきふ)りたり【一云(またにいふ)、庭(には)も斑(ほどろ)に、雪(ゆき)そ降(ふ)りたる。】
 冬夜天寒故 敞開朝戶出見者 放眼之所望 庭間薄垂置斑駁 御雪飄零降紛紛【一云,庭間斑駁積薄垂,御雪飄零降置矣。】
佚名 2318

「薄垂(はだら)」,雪、霜薄薄降置之狀。
「斑(ほどろ)」,與「斑(はだら)」交互使用之類字。

2319 【承前,九首第四。】
 暮去者 衣袖寒之 高松之 山木每 雪曾零有
 夕去(ゆふさ)れば 衣手寒(ころもでさむ)し 高松(たかまつ)の 山木每(やまのきごと)に 雪(ゆき)そ降(ふ)りたる
 每逢夕暮時 衣袖寒之涼刺骨 寧樂高松之 山間木木無遺漏 株株雪零置斑駁
佚名 2319

「衣手(ころもで)」,衣袖,引申為全體衣物之雅語表現。

2320 【承前,九首第五。】
 吾袖爾 零鶴雪毛 流去而 妹之手本 伊行觸粳
 我(わ)が袖(そで)に 降(ふ)りつる雪(ゆき)も 流行(ながれい)きて 妹(いも)が手本(たもと)に い行觸(ゆきふ)れぬか
 吾人衣袖上 所以降置沫雪者 可以更流離 乘風扶搖更飄零 行觸吾妹手袖哉
佚名 2320

「降(ふ)りつる雪(ゆき)も」,同為完了動詞,「ぬ」與「つ」用法大異,此蓋云雪片正於眼前飄過。
藉由風、雨、雪等流離之物為媒介,期望間接地與戀人相觸之曲,亦見於1090、2858

2321 【承前,九首第六。】  沫雪者 今日者莫零 白妙之 袖纏將干 人毛不有君
 淡雪(あわゆき)は 今日(けふ)は莫降(なふ)りそ 白栲(しろたへ)の 袖枕乾(そでまきほ)さむ 人(ひと)も有(あ)ら無(な)くに
 還冀沫雪者 在於今日莫零之 素妙白栲兮 衣袖為枕為我乾 伊人如今不在茲
佚名 2321

「袖枕乾(そでまきほ)さむ」,願意以吾濡濕之衣袖為枕,將之曬乾之人。

2322 【承前,九首第七。】  甚多毛 不零雪故 言多毛 天三空者 陰相管
 甚多(はなはだ)も 降(ふ)らぬ雪故(ゆきゆゑ) 言痛(こちた)くも 天御空(あまつみそら)は 曇(くも)らひにつつ
 分明其雪者 稀疏所降不甚多 何以蜚語繁 浮雲蔽日遮天際 御空陰鬱曇不散
佚名 2322

「言痛(こちた)くも」,人之輭言輭語,亦引申作誇張地之意。

2323 【承前,九首第八。】  吾背子乎 且今且今 出見者 沫雪零有 庭毛保杼呂爾
 我(わ)が背子(せこ)を 今(いま)か今(いま)かと 出見(いでみ)れば 沫雪降(あわゆきふ)れり 庭(には)も斑(ほどろ)に
 心念吾夫子 且今且今將臨乎 出門迎見者 沫雪飄零降稀疏 庭中薄垂置斑駁
佚名 2323

「我(わ)が背子(せこ)を 今(いま)か今(いま)かと」,其後省略等待之語。

2324 【承前,九首第九。】
 足引 山爾白者 我屋戶爾 昨日暮 零之雪疑意
 足引(あしひき)の 山(やまに)に白(しろ)きは 我(わ)が宿(やど)に 昨日夕(きのふのゆふへ) 降(ふ)りし雪哉(ゆきかも)
 足曳勢險峻 遠山所以素白者 蓋是吾宿之 昨日誰彼夕暮時 所零皓雪所為哉
佚名 2324

「昨日夕(きのふのゆふへ)」,古時多半以日沒作為一日之始,而本歌以日出為之,堪屬少數。
「降(ふ)りし雪(ゆき)かも」,原文「零之雪疑意」之「疑意」乃意訓表現。

2325 詠花 【五首第一。】
 誰苑之 梅花毛 久堅之 消月夜爾 幾許散來
 誰(た)が園(その)の 梅花(うめのはな)そも 久方(ひさかた)の 清(きよ)き月夜(つくよ)に 幾許散來(ここだちりく)る
 其是誰苑之 所咲梅花也矣哉 遙遙久方兮 清冽冷茢月夜間 幾許散來降斑駁
佚名 2325

「誰(た)が園(その)の 梅花(うめのはな)そも」,與末句呼應,指飄散於此者蓋為何處之梅花。或有以梅御雪之可能。
「久方(ひさかた)の」,天之枕詞,於茲修飾「月夜(つくよ)」。

2326 【承前,五首第二。】
 梅花 先開枝乎 手折而者 裹常名付而 與副手六香聞
 梅花(うめのはな) 先咲(まづさ)く枝(えだ)を 手折(たを)りてば 裹(つと)と名付(なづ)けて 寄(よそ)へてむかも
 暗香浮動兮 手取梅花率先咲 折枝而裹者 周遭速噂為饋贈 流言蜚語傳不斷
佚名 2326

「手折(たを)りてば」,「て」乃完了助動詞「つ」之未然型,主語乃作者。
「裹(つと)と名付(なづ)けて」,「裹(つと)」為贈禮,「名付(なづ)け」於茲有視作之意。
「寄(よそ)へてむかも」,來說三道四。平時無多交流,看見作者折枝,則來興口舌,說是將贈戀人之物。因而猶豫是否該贈梅枝與心上人。

2327 【承前,五首第三。】
 誰苑之 梅爾可有家武 幾許毛 開有可毛 見我欲左右手二
 誰(た)が園(その)の 梅(うめ)にかありけむ 幾許(ここだ)くも 咲(さ)きてあるかも 見(み)が欲(ほ)し迄(まで)に
 其是誰苑之 所咲梅花也矣哉 幾許復幾許 盛咲如斯無所惜 令人神往欲翫之
佚名 2327

「誰(た)が園(その)の 梅(うめ)にかありけむ」,收受他人所折梅枝,見其華盛咲,而欲前去觀翫。


2328 【承前,五首第四。】
 來可視 人毛不有爾 吾家有 梅之早花 落十方吉
 來(き)て見(み)べき 人(ひと)も有(あ)ら無(な)くに 我家(わぎへ)なる 梅初花(うめのはつはな) 散(ち)りぬとも良(よ)し
 近頃有所思 既然無人可來翫 我家庭院中 暗香浮動梅初花 汝縱散盡亦可也
佚名 2328

「人(ひと)も有(あ)ら無(な)くに…散(ち)りぬとも良(よ)し」,放任表現。既無可來賞翫之人,不如就這樣散去亦無嘗不可。

2329 【承前,五首第五。】
 雪寒三 咲者不開 梅花 縱比來者 然而毛有金
 雪寒(ゆきさむ)み 咲(さ)きには咲(さ)かず 梅花(うめのはな) 縱此頃(よしこのころ)は 然而(かくて)もあるがね
 以雪嚴寒故 縱令咲者不得開 暗香梅花矣 縱情比來含苞者 如斯未放可矣也
佚名 2329

「雪寒(ゆきさむ)み 咲(さ)きには咲(さ)かず」,懼於雪之嚴寒,縱欲開花卻無法如意。
「縱此頃(よしこのころ)は」,「縱(よし)」乃放任、許容。不避勉強開花,按這樣下去亦無妨。

冬相聞
2333 相聞 【二首第一。】
 零雪 虛空可消 雖戀 相依無 月經在
 降雪(ふるゆき)の 虛空(そら)に消(け)ぬべく 戀(こ)ふれども 逢由無(あふよしな)しに 月(つき)そ經(へ)にける
 洽猶零雪之 逝於虛空意消沉 吾雖慕不止 苦無逢由莫得見 不覺日久月已經
柿本人麻呂 2333

「降雪(ふるゆき)の」,「露の...」、「雪の...」有意志消沉,怠將如雪露般消逝無蹤之意。而此曲間置空字,稍屬特殊。

2334 【承前,二首第二。】
 阿和雪 千重零敷 戀為來 食永我 見偲
 沫雪(あわゆき)は 千重(ちへ)に降敷(ふりし)け 戀(こひ)しくの 日長(けなが)き我(あれ)は 見(み)つつ偲(しの)はむ
 細碎沫雪者 千重零敷累降置 戀慕日時久 不止相思我情長 望彼積雪騁所偲
柿本人麻呂 2334
 右,柿本朝臣人麻呂之歌集出。

「見(み)つつ偲(しの)はむ」,見雪而思人。
類歌4475。

2335 寄露  咲出照 梅之下枝爾 置露之 可消於妹 戀頃者
 咲出照(さきでて)る 梅下枝(うめのしづえ)に 置露(おくつゆ)の 消(け)ぬべく妹(いも)に 戀(こ)ふる此頃(このころ)
 咲出發艷華 梅之下枝上所置 玉露之所如 吾苦相思怠消逝 心戀伊人此頃矣
佚名 2335

「咲出照(さきでて)る」,「照(て)る」表花果美麗鮮豔之狀。於茲讚賞梅花光耀美麗。
「置露(おくつゆ)の」,以上乃帶出「消(け)ぬ」之序。
「此頃(このころ)」,原文「頃者」與「比日」皆為漢語表現。

2336 寄霜  甚毛 夜深勿行 道邊之 湯小竹之於爾 霜降夜焉
 甚(はなはだ)も 夜更(よふ)けて勿行(なゆ)き 道邊(みちのへ)の 齋笹上(ゆざさのうへ)に 霜降(しものふ)る夜(よ)を
 逢荑恨苦短 莫甚歸去在夜深 於此道邊之 潔齋小竹笹葉上 霜降天寒此夜間
佚名 2336

「甚(はなはだ)も 夜更(よふ)けて勿行(なゆ)き」,挽留將於深夜歸去之男子之語。
「齋笹上(ゆざさのうへ)に」,笹與榊皆為神事時手執之採物。原文「於」者,與「上」同。『續日本紀』大寶元年正月誌山上億良作山於億良。https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/syokki/syokki02.htm
霜降(しものふ)る夜(よ)を」,將「笹」與「霜」、「霰」、「雪」結合而詠之曲多有。

2337 寄雪 【十二第一。】
 小竹葉爾 薄太禮零覆 消名羽鴨 將忘云者 益所念
 笹葉(ささのは)に 薄垂降覆(はだれふりおほ)ひ 消(け)なばかも 忘(わす)れむと言(い)へば 筯(ま)して思(おも)ほゆ
 若猶笹葉上 薄垂降覆沫雪之 消逝無蹤者 吾冀可忘淡此情 無奈思慕唯徒筯
佚名 2337

「薄垂降覆(はだれふりおほ)ひ」,「薄垂」乃薄薄堆積之雪霜,以上乃引出「消(け)」之序。
「消(け)なばかも 忘(わす)れむ」,若得一死則將可不再受相思之苦。然而只要活著,就飽受戀慕之煎熬。類於0947「慣れなばか 一日も君を 忘れて思はむ」https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/waka/manyou/m06.htm#0947

2338 【承前,十二第二。】
 霰落 板敢風吹 寒夜也 旗野爾今夜 吾獨寐牟
 霰降(あられふ)り 板間風吹(いたまかぜふ)き 寒夜(さむきよ)や 旗野(はたの)に今夜(こよひ) 我(あ)が獨寢(ひとりね)む
 霰落冰霜零 板間風吹冷刺骨 冰凍寒夜也 今夜大和旗野間 寂寞孤身我獨寢
佚名 2338

「板間風吹(いたまかぜふ)き」,原文「板敢」有諸說。或云「板玖(甚く)」之訛,或云「板聞(甚も)」、「板暇(いたま)」之訛,未衷一是,此按原文解作板葺小屋之屋頂隙縫。
「寒夜(さむきよ)や」,「や」乃呼應末句「む」之詠嘆用法。