元亨釋書卷八、万葉集試訳

■元亨釋書卷八 淨禪
https://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/mokuroku/genkou/genkou08.htm


万葉集試訳

4152 【承前。】
 奧山之 八峯乃海石榴 都婆良可爾 今日者久良佐禰 大夫之徒
 奧山(おくやま)の 八峰椿(やつをのつばき) 詳(つば)らかに 今日(けふ)は暮(く)らさね 大夫伴(ますらをのとも)
 重巒奧山之 八峰海石榴椿花 詳翫觀賞之 今日盡情暮歡愉 大夫壯士伴緒矣
大伴家持 4152

「奧山(おくやま)の 八峰椿(やつをのつばき)」,藉「椿(つばき)」、「詳(つば)らか」字首同音而為「詳らか」之序。此椿蓋插於花瓶而飾於宴會場中。
「詳(つば)らかに」,盡情。其下蓋省略放鬆、舒緩之語。
「大夫伴(ますらをのとも)」,此云參加宴會之官人。

4153 【承前。】 漢人毛 筏浮而 遊云 今日曾和我勢故 花縵世余
 漢人(からひと)も 筏浮(いかだう)かべて 遊(あそ)ぶと云(い)ふ 今日(けふ)そ我(わ)が背子(せこ) 花蘰為(はなかづらせ)よ
 縱令唐人等 流觴乘筏泛曲水 遊宴盡歡也 便是今日吾兄子 當冠花縵齊同樂
大伴家持 4153

漢人(からひと)」,或書「唐人」、「韓人」。指韓國、唐土之海外人士。
「筏浮(いかだう)かべて」,此蓋誇張形容曲水宴之流觴。
「花蘰為(はなかづらせ)よ」,原文「花縵世奈」。類聚古集、仙覺文永本等作「花縵世奈(せな)」,按元曆校本則「世奈(せな)」為家持初案,「世奈」方為決定稿。

4154 八日,詠白大鷹歌一首 【并短歌。】
 安志比奇乃 山坂超而 去更 年緒奈我久 科坂在 故志爾之須米婆 大王之 敷座國者 京師乎母 此間毛於夜自等 心爾波 念毛能可良 語左氣 見左久流人眼 乏等 於毛比志繁 曾己由惠爾 情奈具也等 秋附婆 芽子開爾保布 石瀨野爾 馬太伎由吉氐 乎知許知爾 鳥布美立 白塗之 小鈴毛由良爾 安波勢也理 布里左氣見都追 伊伎騰保流 許己呂能宇知乎 思延 宇禮之備奈我良 枕附 都麻屋之內爾 鳥座由比 須惠弖曾我飼 真白部乃多可
 足引(あしひき)の 山坂越(やまさかこ)えて 行變(ゆきかは)る 年緒長(としのをなが)く 繁離(しなざか)る 越(こし)にし住(す)めば 大君(おほきみ)の 敷坐國(しきますくに)は 都(みやこ)をも 此處(ここ)も同(おや)じと 心(こころ)には 思物(おもふもの)から 語放(かたりさ)け 見放(みさ)くる人目(ひとめ) 乏(とも)しみと 思(おも)ひし繁(しげ)し 其處故(そこゆゑ)に 心和(こころな)ぐやと 秋付(あきづ)けば 萩咲匂(はぎさきにほ)ふ 石瀨野(いはせの)に 馬綰行(うまだきゆ)きて 遠近(をちこち)に 鳥踏立(とりふみた)て 白塗(しらぬり)の 小鈴(をすず)も玉響(ゆら)に 合(あ)はせ遣(や)り 振放見(ふりさけみ)つつ 憤(いきどほ)る 心中(こころのうち)を 思延(おもひの)べ 嬉(うれ)しびながら 枕付(まくらづ)く 妻屋中(つまやのうち)に 鳥座結(とぐらゆ)ひ 据(す)ゑてそ我(あ)が飼(か)ふ 真白斑鷹(ましらふのたか)
 足曳勢險峻 翻山越坂跋涉來 物換星移兮 日新月異年緒長 遠離隔繁山 住在北陸越中者 吾皇大君之 所以御宇敷坐國 無論在京師 或在此處亦同矣 雖然方寸間 內心思懷如此者 然苦可相語 又愁可以相慰之 知心人乏少 不絕懷土憂思繁 正因其故而 欲撫此情和此心 每逢秋日至 指彼秋萩所咲匂 遼曠石瀨野 策馬飛馳奔行去 遠近彼此間 蹴散排擊眾驚鳥出 銀飾白塗之 鈴鐸搖盪發玉響 相遣競追獵 翹首振放仰見者 憤悶懷抑鬱 意所不樂此心中 可以解憂愁 恣意遊興盡歡愉 纏綿相枕兮 端傍離僻妻屋中 豎設据鳥座 令居止木我所飼 矢形真白斑鷹矣
大伴家持 4154

「行變(ゆきかは)る」,時光流逝,一年復始。
「年緒長(としのをなが)く」,家持任越中守,蓋經三年半。
「繁離(しなざか)る」,遠離首都。
「都(みやこ)をも 此處(ここ)も同(おや)じと」,無論京師或遠國皆為天皇所治之領土。
「思物(おもふもの)から」,「ものから」表逆接接續。
「語放(かたりさ)け」,相語相談。
「見放(みさ)くる人目(ひとめ) 乏(とも)しみと」,「見放く」為抒發鬱悶之情。
「其處故(そこゆゑ)に」,「其處(そこ)」表上句所述之鬱悶情懷。
「馬綰行(うまだきゆ)きて」,「綰(だ)き」為操縱、驅策。
「遠近(をちこち)に」,遠近,引申為到處。
「鳥踏立(とりふみた)て」,踏地驚嚇躲藏草叢中之鳥類飛翔以狩獵。
「小鈴(をすず)も玉響(ゆら)に」,「玉響(ゆら)」乃玉石撞擊之聲。
「合(あ)はせ遣(や)り」,「合(あ)はせ」為相鬥、競爭。
「振放見(ふりさけみ)つつ」,遠望。
「枕付(まくらづ)く」,「妻屋(つまや)」之枕詞。
「妻屋中(つまやのうち)に」,建於母屋邊徬之小屋。
「鳥座結(とぐらゆ)ひ」,令鳥類棲息之止木。「結(ゆ)ひ」乃架設。
「真白斑鷹(ましらふのたか)」,白色之鷹,依次曲矢形尾等文觀之,或稍有些許斑點。

4155 【承前,反歌。】
 矢形尾乃 麻之路能鷹乎 屋戶爾須惠 可伎奈泥見都追 飼久之余志毛
 矢形尾(やかたを)の 真白鷹(ましろのたか)を 宿(やど)に据(す)ゑ 搔撫見(かきなでみ)つつ 飼(か)はくし良(よ)しも
 矢形尾羽兮 愛也真白斑鷹矣 令据於吾宿 柔情撫翫有所思 得以飼之甚幸也
大伴家持 4155

「真白鷹(ましろのたか)」,一般而言蒼鷹頭部灰黑,背部鼠色,翼帶褐色,胸腹則為白地褐斑。此亞種則全身以白色為主。

4156 潛鸕歌一首 【并短歌。】
 荒玉乃 年徃更 春去者 花耳爾保布 安之比奇能 山下響 墮多藝知 流辟田乃 河瀨爾 年魚兒狹走 嶋津鳥 鸕養等母奈倍 可我理左之 奈頭佐比由氣婆 吾妹子我 可多見我氐良等 紅之 八鹽爾染而 於己勢多流 服之襴毛 等寶利氐濃禮奴
 新(あらた)まの 年行變(としゆきかは)り 春去(はるさ)れば 花(はな)のみ匂(にほ)ふ 足引(あしひき)の 山下響(やましたとよ)み 落激(おちたぎ)ち 流(なが)る辟田(さきた)の 川瀨(かはのせ)に 鮎子小走(あゆこさばし)る 島鳥(しまつとり) 鵜養伴(うかひとも)なへ 篝射(かがりさ)し 漂行(なづさひゆ)けば 我妹子(わぎもこ)が 形見(かたみ)がてらと 紅(くれなゐ)の 八入(やしほ)に染(そ)めて 贈(おこ)せたる 衣裾(ころものすそ)も 通(とほ)りて濡(ぬ)れぬ
 物換星移兮 日新月異年復始 佐保春來者 妍花滿開咲一面 足曳勢險峻 山麓轟轟發鳴響 落激貫千丈 逝水源遠更流長 辟田川瀨間 鮎子蹦躍飛而泳 島嶼禽鳥兮 鵜養伴緒鸕鶿匠 燔焚燃篝火 漬水溯溪登行者 愛也吾妹妻 贈於我命為形見 赤朱胭脂紅 八鹽折染工序繁 片刻不離身 光彩鮮豔此衣裾 為水通濡沾漬濕
大伴家持 4156

「花(はな)のみ匂(にほ)ふ」,花開滿面。「のみ」乃無交雜相混之狀態。
「山下響(やましたとよ)み」,使山下轟轟鳴響。
「鮎子小走(あゆこさばし)る」,稚鮎飛躍游泳之狀。
「島鳥(しまつとり)」,「鵜(う)」之枕詞。
「鵜養伴(うかひとも)なへ」,飼鵜捕魚之氏族、漁民。
「漂行(なづさひゆ)けば」,漬水溯溪而上。
「形見(かたみ)がてらと」,「がてら」表其以紀念為主要目的,實用為次。
「紅(くれなゐ)の 八入(やしほ)に染(そ)めて」,工序繁複所折染之鮮豔紅衣。
「贈(おこ)せたる」,單身赴任之時,妻子坂上大孃所以餽贈。

4157 【承前,反歌。】
 紅乃 衣爾保波之 辟田河 絕己等奈久 吾等眷牟
 紅(くれなゐ)の 衣匂(ころもにほ)はし 辟田川(さきたかは) 絕(た)ゆる事無(ことな)く 我返見(われかへりみ)む
 赤朱胭脂紅 此衣光彩發豔色 源遠辟田川 逝水不斷之所如 我亦頻訪無絕時
大伴家持 4157

「衣匂(ころもにほ)はし」,「匂(にほ)はし」乃染為赤色之意。衣服為水漬濕,而朱赤之色更為鮮艷之狀。
「我返見(われかへりみ)む」,「返見(かへりみ)む」指再訪此地翫之之意。

4158 【承前。】
 每年爾 鮎之走婆 左伎多河 鵜八頭可頭氣氐 河瀨多頭禰牟
 年每(としのは)に 鮎(あゆ)し走(はし)らば 辟田川(さきたかは) 鵜八潛(うやつかづ)けて 川瀨尋(かはせたづね)ねむ
 每年復始新 稚鮎躍泳此頃時 源遠辟田川 領彼鸕鶿鵜八潛 覓遍川瀨為漁獵
大伴家持 4158

「鵜八潛(うやつかづ)けて」,家持等人與專業之鸕鶿匠各操一羽鵜,排為橫列而進之狀。

4159 季春三月九日,擬出舉之政,行於舊江村。道上屬目物花之詠,并興中所作之歌
 過澀谿埼,見巖上樹歌一首 【樹名椨(都萬麻)。】
 礒上之 都萬麻乎見者 根乎延而 年深有之 神左備爾家里
 礒上(いそのうへ)の 椨(つまま)を見(み)れば 根(ね)を延(は)へて 年深(としふか)からし 神古(かむさび)にけり
 人過澀谿埼 望見礒上椨樹者 盤根長延而 歷歲深邃年月久 莊嚴神古蘊稜威
大伴家持 4159

「根(ね)を延(は)へて」,老樹盤根錯縱盤據之狀。
「年深(としふか)からし」,「年深(としふか)くあるらし」之略。年深為指經歷久遠歲月之漢語表現。
「神古(かむさび)にけり」,神聖莊嚴之狀。

4160 悲世間無常歌一首 【并短歌。】
 天地之 遠始欲 俗中波 常無毛能等 語續 奈我良倍伎多禮 天原 振左氣見婆 照月毛 盈ち之家里 安之比奇能 山之木末毛 春去婆 花開爾保比 秋都氣婆 露霜負而 風交 毛美知落家利 宇都勢美母 如是能未奈良之 紅乃 伊呂母宇都呂比 奴婆多麻能 黑髮變 朝之咲 暮加波良比 吹風乃 見要奴我其登久 逝水乃 登麻良奴其等久 常毛奈久 宇都呂布見者 爾波多豆美 流渧 等騰米可禰都母
 天地(あめつち)の 遠初(とほきはじ)めよ 世中(よのなか)は 常無(つねな)き物(もの)と 語繼(かたりつ)ぎ 流(なが)らへ來(きた)れ 天原(あまのはら) 振放見(ふりさけみ)れば 照月(てるつき)も 滿闕(みちかけ)けしけり 足引(あしひき)の 山木末(やまのこぬれ)も 春去(はるさ)れば 花咲匂(はなさきにほ)ひ 秋付(あきづ)けば 露霜負(つゆしもお)ひて 風交(かぜまじ)り 黃葉散(もみちち)りけり 空蟬(うつせみ)も 如是(かく)のみならし 紅(くれなゐ)の 色(いろ)も移(うつろ)ひ 烏玉(ぬばたま)の 黑髮變(くろかみかは)り 朝笑(あさのゑ)み 夕變(ゆふへかは)らひ 吹風(ふくかぜ)の 見(み)えぬが如(ごと)く 逝水(ゆくみづ)の 止(と)まらぬ如(ごと)く 常(つね)も無(な)く 移見(うつろふみ)れば 庭潦(にはたづみ) 流(なが)るる淚(なみた) 止兼(とどめか)ねつも
 遠自太古之 天地初判開闢時 悠悠此世間 諸行無常攝理也 口耳互相傳 語繼流傳述來矣 久方高天原 振放昂首仰見者 明亮照月者 有其陰晴與滿闕 足曳勢險峻 嚴山木末樹梢上 每逢春臨者 花開滿面咲爭艷 每至秋來者 負露淩霜耐天寒 混於金風間 黃葉零落飄散亂 空蟬憂世間 萬象凡人盡如是 濃郁朱紅兮 艷色失褪消黯然 漆黑烏玉兮 黑髮變白化斑駁 早朝展笑顏 夕暮倏然化愁容 洽猶吹風之 舉目無以能得見 又似逝水之 不捨晝夜無止時 見諸行無常 森羅萬象易移者 庭潦泛溢兮 所流落淚下滂沱 源源不絕誠難抑
大伴家持 4160

「遠初(とほきはじ)めよ」,「よ」與「より」同。
「世中(よのなか)は」,日文本意為人之生涯,佛語則指世界、眾生、世俗。以原文「俗中」觀之,蓋指後者。
「滿闕(みちかけ)けしけり」,月象盈闕,「けり」表自古至今之恆常事實。
「露霜負(つゆしもお)ひて」,「露霜」乃露之雅語。
「空蟬(うつせみ)も」,此云生活在世間之凡人。
「逝水(ゆくみづ)の 止(と)まらぬ如(ごと)く」,『論語』云:「子在川上曰:『逝者如斯夫,不捨晝夜。』」
「庭潦(にはたづみ)」,「流」之枕詞。溢流庭中之雨水。
「止兼(とどめか)ねつも」,無法停止。