補給物資、万葉集試訳

■補給物資

万葉集試訳

2348 【承前,十二十二。】
 和射美能 嶺徃過而 零雪乃 猒毛無跡 白其兒爾
 和射美(わざみ)の 嶺行過(みねゆきす)ぎて 降雪(ふるゆき)の 厭(いと)ひも無(な)しと 申(まう)せ其兒(そのこ)に
 徃過不破關 和射美嶺遭雪降 豈猶彼零雪 吾人無由厭汝命 還願傳申訴其兒
佚名 2348

「降雪(ふるゆき)の」,以上乃「厭(いと)ふ」之序。
「厭(いと)ひも無(な)しと」,沒有討厭妳的理由。翻山越嶺之時,若遇雪降自然生厭,然無論如何避不會討厭心上人。
「申(まう)せ其兒(そのこ)に」,請人代為傳言。「申(まう)せ」古形為「申(まを)せ」,然見金石文平城京二條大路木簡,當時「申(まう)す」已是主流。

2349 寄花
 吾屋戶爾 開有梅乎 月夜好美 夕夕令見 君乎社待也
 我(わ)が宿(やど)に 咲(さ)きたる梅(うめ)を 月夜良(つくよよ)み 夕夕見(よひよひみ)せむ 君(きみ)をこそ待(ま)て
 吾宿屋戶間 庭院咲有白梅者 以月夜甚美 還欲每夕令君翫 是以夜夜盼君臨
佚名 2349

「夕夕見(よひよひみ)せむ」,每晚令心上人觀之。主語為女性。

2350 寄夜
 足檜木乃 山下風波 雖不吹 君無夕者 豫寒毛
 足引(あしひき)の 山嵐(やまのあらし)は 吹(ふ)かねども 君無(きみな)き夕(よひ)は 豫(かね)て寒(さむ)しも
 足曳勢險峻 山嵐於今雖不拂 然君不在側 孤寢難眠甚寂寥 此夕心冷感天寒
佚名 2350


真字萬葉集 卷第十 四時雜歌、四時相聞 終

山嵐(やまのあらし)」,自山上向下吹拂之山風。
「豫(かね)て」,早已。已然。

真字萬葉集 卷十一 古今相聞往來歌類之上

古今相聞往來歌類之上


2351 旋頭歌 【十七第一。】
 新室 壁草苅邇 御座給根 草如 依逢未通女者 公隨
 新室(にひむろ)の 壁草刈(かべくさか)りに 御座給(いましたま)はね 草如(くさのごと) 寄合娘子(よりあふをとめ)は 君(きみ)が隨(まにま)に 
堂構筯春暉 鴻猶丕展開煥然 可臨新室苅壁草 偃草之所如 依逢娘子慕傾心 隨君恣意順所欲
柿本人麻呂 2351

「新室(にひむろ)」,新築之居室。
「壁草(かべくさ)」,用以葺新室之壁之草。彌生、股墳時代之住居以藁、草束為壁。
「御座給(いましたま)はね」,「御座」乃「來」之敬語,「ね」表希求。
「寄合娘子(よりあふをとめ)」,如草偃般傾心之女子。
奉祝新室之曲,以下旋頭歌亦充滿民謠色彩。

2352 【承前,十七第二。】
 新室 踏靜子之 手玉鳴裳 玉如 所照公乎 內等白世
 新室(にひむろ)を 踏鎮(ふみしづ)む兒(こ)し 手玉(ただま)を鳴(な)すも 玉如(たまのごと) 照(て)りたる君(きみ)を 內(うち)にと申(まう)せ
 堂構筯春暉 鴻猶丕展開煥然 鎮地娘子鳴手珠 美玉之所如 輝耀照臨汝命矣 恭迎吾君請入內
柿本人麻呂 2352

「踏鎮(ふみしづ)む」,新築之際,踏故地面以鎮祭地靈之俗。
「照(て)りたる君(きみ)を」,光輝俊俏之男子。
「內(うち)にと申(まう)せ」,召請男子入內之語。

2353 【承前,十七第三。】
 長谷 弓槻下 吾所隱在妻 赤根刺 所光月夜邇 人見點鴨【一云,人見豆良牟可。】
 泊荑(はつせ)の 弓月(ゆつき)が下(した)に 我(わ)が隱(かく)せる妻(つま) 茜指(あかねさ)し 照(て)れる月夜(つくよ)に 人見(ひとみ)てむかも【一云(またにいふ)、人見(ひとみ)つらむか。】
 長谷泊荑之 纏向弓槻山之下 吾所藏嬌隱在妻 暉曜緋茜射 所光照臨月夜間 可將遭人所見哉【一云,蓋為他人所見哉。】
柿本人麻呂 2353

「弓月(ゆつき」,弓月山,即纏向山。該山有二峰,未知孰是。
「我(わ)が隱(かく)せる妻(つま)」,未獲得雙親允許,而私奔安置於人目所不至之處的妻子。
「茜指(あかねさ)し」,發出黃赤色光芒。

2354 【承前,十七第四。】
 健男之 念亂而 隱在其妻 天地 通雖光 所顯目八方【一云,大夫乃,思多雞備弖。】
 大夫(ますらを)の 思亂(おもひみだ)れて 隱(かく)せる其妻(そのつま) 天地(あめつち)に 通照(とほりて)るとも 顯(あらは)れめやも【一云(またにいふ)、大夫(ますらを)の、思猛(おもひたけ)びて。】
 愧為大丈夫 神魂顛倒情意亂 所以藏嬌隱其妻 雖然天地間 光儀通照晃六合 豈使露顯令人知【一云,愧為大丈夫,孤注一擲奮其意。】
柿本人麻呂 2354

「大夫(ますらを)の」,堂堂大丈夫,於茲為自嘲用法。
「天地(あめつち)に 通照(とほりて)るとも」,美貌貫徹天地。讚美女性容姿之最高級表現。

2355 【承前,十七第五。】
 惠得 吾念妹者 早裳死耶 雖生 吾邇應依 人云名國
 愛(うるは)しと 我(あ)が思(おも)ふ妹(いも)は 早(はや)も死(し)なぬか 生(い)けりとも 我(あれ)に寄(よ)るべしと 人言(ひとのこと)は無(な)くに
 朝思暮想之 愛也吾所念妹者 汝可玉殞早死耶 縱令生於世 無人祝福同我倆 不若早逝去他界
柿本人麻呂 2355

「愛(うるは)しと」,原文「惠」與「愛」通。舊訓作「めぐまとむ」,然慣例承接「我(あ)が思(おも)ふ」時,必為「愛(うるは)し」。
「早(はや)も死(し)なぬか」,「ぬか」為希求語氣。表現自暴自棄之心情。
「生(い)けりとも 我(あれ)に寄(よ)るべしと 人言(ひとのこと)は無(な)くに」,就算活著也沒有人鼓勵妳和我在一起。無人支持之戀情。

2356 【承前,十七第六。】
 狛錦 紐片敘 床落邇祁留 明夜志 將來得云者 取置待
 高麗錦(こまにしき) 紐片方(ひものかたへ)ぞ 床(とこ)に落(お)ちにける 明日夜(あすのよ)し 來(き)なむと言(い)はば 取置(とりお)きて待(ま)たむ
 艷華高麗錦 織紐一對其片方 落於寢床在地矣 若云明日夜 仍將復來纏綿者 吾將取置以恭待
柿本人麻呂 2356

「高麗錦(こまにしき)」,舶來品之織物。
「紐片方(ひものかたへ)ぞ」,一對之織紐中的其中之一。蓋云男子之衣紐,但不明為上衣或袴之用。
「明日夜(あすのよ)し」,此尋上代以日沒為一日之始知觀念而言。
曉別之際,女方對男性所詠之曲。

2357 【承前,十七第七。】
 朝戶出 公足結乎 閏露原 早起 出乍吾毛 裳下閏奈
 朝戶出(あさとで)の 君(きみ)が足結(あゆひ)を 濡(ぬ)らす露原(つゆはら) 早起(はやくお)き 出(いで)つつ我(われ)も 裳裾濡(もすそぬ)らさな
 纏綿春宵後 朝戶出歸君足結 所以潤濡露原矣 心願能成偶 早起送行吾裳裾 亦請霑漬令衣濕
柿本人麻呂 2357

「足結(あゆひ)」,為求活動便利,於膝邊繫袴之紐。
「裳裾濡(もすそぬ)らさな」,「な」表意識。請沾濕夫君之露,亦漬濡己身之衣。

2358 【承前,十七第八。】
 何為 命本名 永欲為 雖生 吾念妹 安不相
 何為(なにせ)むに 命(いのち)を元無(もとな) 長(なが)く欲為(ほりせ)む 生(い)けれども 我(あ)が思妹(おもふいも)に 易(やす)く逢(あ)は無(な)くに
 吾人有所思 何為將欲此身命 冀祈無由長壽哉 縱令得苟活 我所朝朝暮暮念 伊人無緣可逢矣
柿本人麻呂 2358

「何為(なにせ)むに」,為何。多呼應反語。
「元無(もとな)」,缺乏理由、徒然。
「易(やす)く逢(あ)は無(な)くに」,無法輕易相逢。


2359 【承前,十七第九。】
 息緒 吾雖念 人目多社 吹風 有數數 應相物
 息緒(いきのを)に 我(あれ)は思(おも)へど 人目多(ひとめおほ)みこそ 吹風(ふくかぜ)に 在(あ)らば數數(しばしば) 逢(あ)ふべき物(もの)を
 吾雖不惜命 所以熱切念伊人 然恐人目蜚語繁 避諱不得見 若值吹風拂數數 只求應可相逢矣
柿本人麻呂 2359

「息緒(いきのを)」,守住生命之鋼索。「息」乃生命之象徵。
「吹風(ふくかぜ)に 在(あ)らば」,反事實假定。

2360 【承前,十七第十。】
 人祖 未通女兒居 守山邊柄 朝朝 通公 不來哀
 人親(ひとのおや)の 娘子兒据(をとめこす)ゑて 守山邊(もるやまへ)から 朝(あさ)な朝(あさ)な 通(かよ)ひし君(きみ)が 來(こ)ねば悲(かな)しも
 呵護垂乳根 人祖雙親護娘子 所謂深窗守山邊 日日復朝朝 不絕往來伊人者 今不復臨令人悲
柿本人麻呂 2360

「人親(ひとのおや)の 娘子兒据(をとめこす)ゑて」,地名「守山」有監視之義,遂以之為序。此處之「親」概指母親。
「朝(あさ)な朝(あさ)な」,訪妻制時,男子於夜間來訪較為普遍。

2361 【承前,十七十一。】
 天在 一棚橋 何將行 穉草 妻所云 足壯嚴
 天(あめ)なる 一(ひと)つ棚橋(たなはし) 如何(いか)にか行(ゆ)かむ 若草(わかくさ)の 妻所(つまがり)と言(い)はば 足飾為(あしかざりせ)む
 懸於久方天 獨木棚橋跨銀漢 如何渡之越行乎 親親猶若草 吾妻之許將徃者 自當飾足壯嚴矣
柿本人麻呂 2361

「天(あめ)なる」,「天(あめ)にある」之略。蓋唯七夕歌。
「一(ひと)つ棚橋(たなはし)」,一枚板之棚橋。不用心渡之則極為危險之橋。
「若草(わかくさ)の」,妻之枕詞。
「足飾為(あしかざりせ)む」,「飾(かざ)り」指裝備,原文「狀嚴」乃佛語表現。

2362 【承前,十七十二。】
 開木代 來背若子 欲云余 相狹丸 吾欲云 開木代來背
 山背(やましろ)の 久世若子(くせのわくご)が 欲(ほ)しと言(い)ふ我(われ) 輙爾(あふさわ)に 我(われ)を欲(ほ)しと言(い)ふ 山世久世(やましろのくせ)
 苗木繼根生 山城久世稚子矣 所云好裘傾心余 輕浮輙爾兮 所云愛慕欲我者 山城久世稚子矣
柿本人麻呂 2362

 右十二首,柿本朝臣人麻呂之歌集出。

「山背(やましろ)の」,原文「開木代」之「開木」指伐木開山。
「若子(わくご)」,年輕人。此限定於高社會地位之者。
「輙爾(あふさわ)に」,未深思熟慮。
高潔之女性受其所不青睞之男子求婚,而落花有意流水無情之民謠。

2363 【承前,十七十三。】
 岡前 多未足道乎 人莫通 在乍毛 公之來 曲道為
 岡崎(をかさき)の 迴(た)みたる道(みち)を 人莫通(ひとなかよ)ひそ 在(あり)つつも 君(きみ)が來坐(きま)さむ 避道(よきみち)に為(せ)む
 丘岬岡崎之 崎嶇迂迴小徑矣 莫令人往來通之 願常跡罕至 以為有朝君臨時 規避人目密道也
佚名 2363

「岡崎(をかさき)の」,岡之突起。『日本書紀』神武帝前紀有「丘岬(をかさき)」云云。
「迴(た)みたる道(みち)を」,「迴(た)む」乃巡迴之意。
「在(あり)つつも」,持續維持此一狀態。
「避道(よきみち)」,避開人目,竊下通行之路。

2364 【承前,十七十四。】
 玉垂 小簾之寸雞吉仁 入通來根 足乳根之 母我問者 風跡將申
 玉垂(たまだれ)の 小簾隙間(こすのすけき)に 入通來(いりかよひこ)ね 垂乳根(たらちね)の 母(はは)が問(と)はさば 風(かぜ)と申(まう)さむ
 請自玉垂之 小簾隙間通入來 慎之莫令他人覺 呵護垂乳根 母君若問何簾動 我將佯申風拂之
佚名 2364

「玉垂(たまだれ)」,玉簾,修飾小簾之同格雅語。
「隙間(すけき)」,未詳。暫解為縫隙。
「入通來(いりかよひこ)ね」,ね乃希求終祝詞
垂乳根(たらちね)の」,母之枕詞。

2365 【承前,十七十五。】
 內日左須 宮道爾相之 人妻姤 玉緒之 念亂而 宿夜四曾多寸
 內日射(うちひさ)す 宮道(みやぢ)に逢(あ)ひし 人妻故(ひとづまゆゑ)に 玉緒(たまのを)の 思亂(おもひみだ)れて 寢(ぬ)る夜(よ)しそ多(おほ)き
 內日照臨兮 康莊宮道瞬一會 不期瞥見人妻故 魂絲命緒矣 神魂顛倒情意亂 孤枕難眠夜多矣
佚名 2365

「內日射(うちひさ)す」,「宮」之枕詞。
「宮道(みやぢ)」,首都之大路。
「人妻故(ひとづまゆゑ)に」,別人之妻是即原因。原文「姤」,按『廣雅』『萬象名義』,「姑,故也。」
「玉緒(たまのを)の」,長、亂、絕之枕詞。

2366 【承前,十七十六。】
 真十鏡 見之賀登念 妹相可聞 玉緒之 絕有戀之 繁比者
 真十鏡(まそかがみ) 見(み)しかと思(おも)ふ 妹(いも)も逢(あ)はぬかも 玉緒(たまのを)の 絕(た)えたる戀(こひ)の 繁(しげ)き此頃(このころ)
 無曇真十鏡 吾人由衷寔欲見 可惜伊人不予逢 魂絲命緒矣 情斷覆水誠難收 其戀仍繁比昔時
佚名 2366

「真十鏡(まそかがみ)」,「見(み)る」之枕詞。
「見(み)しかと思(おも)ふ」,「しか」乃表願望之終助詞。夾帶完了助動詞「つ」之連用形「今も見てしか」較為一般。
「妹(いも)も逢(あ)はぬかも」,「ぬかも」表希求,「妹(いも)も逢(あ)ふ」乃「妹(いも)に逢(あ)ふ」之相類表現。
「絕(た)えたる戀(こひ)の」,已然破局、斷絕之戀情。

2367 【承前,十七十七。】
 海原乃 路爾乘哉 吾戀居 大舟之 由多爾將有 人兒由惠爾
 海原(うなはら)の 道(みち)に乘(の)りてや 我(あ)が戀居(こひを)らむ 大船(おほぶね)の 緩(ゆた)にあるらむ 人子故(ひとのこゆゑ)に
 吾人之所戀 其猶水路滄海原 險象環生駭浪起 何以為之者 以其安穩乘大船 自若無憂伊人故
佚名 2367

 右五首,古歌集中出。

「海原(うなはら)の 道(みち)に乘(の)りてや」,「道(みち)に乘(の)る」乃步上某一旅程。此云自己踏上了令人迷惘的戀情。
「我(あ)が戀居(こひを)らむ」,詠嘆疑問詞。
「大船(おほぶね)の」,不動搖之譬喻。與首句相對。
「緩(ゆた)に」,安然自若。不知作者苦於戀慕相思之情,而自在安穩的生活著。
「人子故(ひとのこゆゑ)に」,為家長或丈夫呵護之女,表無法觸及之女性。

2368 正述心緒 【卌七第一。】
 垂乳根乃 母之手放 如是許 無為便事者 未為國
 垂乳根(たらちね)の 母(はは)が手離(てはな)れ 如是許(かくばか)り 術無(すべな)き事(こと)は 未為無(いまだせな)くに
 自離垂乳根 母堂之手獨立起 如是愁幾許 手足無措不得方 茫然無助未嘗有
柿本人麻呂 2368

「母(はは)が手離(てはな)れ」,此云懂事以來。
「術無(すべな)き事(こと)は」,表不知如何是好。此云苦戀。
「未為無(いまだせな)くに」,「無(な)くに」為詠嘆文末句法。


2369 【承前,卌七第二。】
 人所寐 味宿不寐 早敷八四 公目尚 欲嘆【或本歌云,公矣思爾,曉來鴨。】
 人寢(ひとのぬ)る 甘睡(うまい)も寢(ね)ずて 愛(は)しきやし 君(きみ)が目(め)すらを 欲(ほ)りし嘆(なげ)かふ【或本歌云(あるふみのうたにいはく)、君(きみ)を思(おも)ふに、明(あ)けにけるかも。】
 無以猶他人 不得甘睡度春宵 慎矣愛憐哉 心願與君會一面 孤寢難眠嘆終夜【或本歌云,心念伊人苦相思,不覺夜更天將明。】
柿本人麻呂 2369

「甘睡(うまい)も寢(ね)ずて」,「甘睡(うまい)」為好眠。男女談情之床第。
「君(きみ)が目(め)すらを」,「すら」表至少。

2370 【承前,卌七第三。】
 戀死 戀死耶 玉鉾 路行人 事告無
 戀死(こひし)なば 戀(こ)ひも死(し)ねとや 玉桙(たまほこ)の 道行人(みちゆきひと)の 言(こと)も告(つ)げ無(な)き
 君意蓋如茲 若苦相思欲戀死 戀死而可哉 玉桙華道往來人 未嘗傳言信杳然
柿本人麻呂 2370

「戀(こ)ひも死(し)ねとや」,「も」為伴隨希求、命令之用法。
「道行人(みちゆきひと)の 言(こと)も告(つ)げ無(な)き」,連經由通行人之傳言皆無。男方非但不親自來訪,亦無遣使,甚至連託付往來人傳言都不做。

2371 【承前,卌七第四。】
 心 千遍雖念 人不云 吾戀孋 見依鴨
 心(こころ)には 千重(ちへ)に思(おも)へど 人(ひと)に言(い)はぬ 我(あ)が戀妻(こひづま)を 見(み)む由欲得(よしもがも)
 埋藏方寸間 雖念千遍了於胸 未嘗與人訴 可有朝思復暮想 所戀愛妻逢由哉
柿本人麻呂 2371

「我(あ)が戀妻(こひづま)を」,「妻(つま)」原文「孋」乃組合「女」「麗」之造字。

2372 【承前,卌七第五。】
 是量 戀物 知者 遠可見 有物
 如是許(かくばか)り 戀(こ)ひむ物(もの)そと 知(し)らませば 遠(とほ)くも見(み)べく ありける物(もの)を
 後悔不當初 早知戀慕如此許 不能自已者 別離之時當遠望 轉瞬不移惜拜眉
柿本人麻呂 2372

「遠(とほ)くも見(み)べく ありける物(もの)を」,反事實假定。早知現今為相思所苦,當初多看一遠、多送遠一點就好了。
類歌3739。

2373 【承前,卌七第六。】
 何時 不戀時 雖不有 夕方任 戀無乏
 何時(いつ)はしも 戀(こひ)せぬ時(とき)は あらねども 夕片設(ゆふかたま)けて 戀(こひ)は術無(すべな)し
 捫心以自問 雖然無時不戀慕 伊人常懸心 然而每夕將近晚 相思情潰難自抑
柿本人麻呂 2373

「何時(いつ)はしも 戀(こひ)せぬ時(とき)は あらねども」,雖然無時不相思,然而現在殊更難止。
「夕片設(ゆふかたま)けて」,「片設(かたま)け」表將近。
類歌2877。第十三卷3329長歌中亦有類似表現。

2374 【承前,卌七第七。】
 是耳 戀度 玉切 不知命 歲經管
 如是(かく)のみし 戀(こ)ひや渡(わた)らむ 玉限(たまきは)る 命(いのち)も知(し)らず 年(とし)は經(へ)につつ
 如是傾吾心 居常戀慕念伊人 玉剋魂極兮 此命不知至何夕 不覺月累年已經
柿本人麻呂 2374

「玉限(たまきは)る」,命、世之枕詞。
「命(いのち)も知(し)らず」,不知自己能活到何時。

2375 【承前,卌七第八。】
 吾以後 所生人 如我 戀為道 相與勿湯目
 我(あ)が後(のち)に 生(う)まれむ人(ひと)は 我(あ)が如(ごと)く 戀(こひ)する道(みち)に 逢(あ)ひこす莫努(なゆめ)
 在於我以後 所生之人後輩矣 當以前車鑑 莫逢戀路猶吾人 辛酸迷走總勞苦
柿本人麻呂 2375

「戀(こひ)する道(みち)に」,此以戀情之苦痛、迷茫比喻為艱險之道路。
「逢(あ)ひこす莫努(なゆめ)」,奉勸晚輩別走上該路。

2376 【承前,卌七第九。】
 健男 現心 吾無 夜晝不云 戀度
 大夫(ますらを)の 現(うつ)し心(ごころ)も 我(あれ)は無(な)し 夜晝(よるひる)と云(い)はず 戀(こ)ひし渡(わた)れば
 丈夫益荒男 彰顯之心我不備 愧對壯士名 朝思暮想懸慕情 日夜不分念伊人
柿本人麻呂 2376

「現(うつ)し心(ごころ)も」,平常心、正常的姿態。
「夜晝(よるひる)と云(い)はず」,晝夜不分。

2377 【承前,卌七第十。】
 何為 命繼 吾妹 不戀前 死物
 何為(なにせ)むに 命繼(いのちつ)ぎけむ 我妹子(わぎもこ)に 戀(こひ)せぬ前(さき)に 死(し)な益物(ましもの)を
 應當何所為 方能苟延續此命 比來有所思 若得未戀伊人前 既死者何苦來哉
柿本人麻呂 2377

「戀(こひ)せぬ前(さき)に」,原文「不戀前」。「前(さき)」表以前。若自己在愛上對象前就死去的話,就不會如現在般痛苦了。

2378 【承前,卌七十一。】
 吉惠哉 不來座公 何為 不猒吾 戀乍居
 吉(よ)しゑやし 來坐(きま)さぬ君(きみ)を 何為(なにせ)むに 厭(いと)はず我(あれ)は 戀(こ)ひつつ居(を)らむ
 一了而百了 不若果斷絕此情 君既不來訪 何以吾人不改悛 鍾情總戀無情人
柿本人麻呂 2378

「吉(よ)しゑやし」,不管了,之捨缽氣氛感動詞

2379 【承前,卌七十二。】
 見度 近渡乎 迴 今哉來座 戀居
 見渡(みわた)せば 近渡(ちかきわた)りを 徘迴(たもとほ)り 今(いま)か來坐(きま)すと 戀(こ)ひつつそ居(を)る
 放眼望見者 不過相隔去咫尺 然以忌人目 朝朝暮暮期伊人 迂迴避道相來會
柿本人麻呂 2379

「見渡(みわた)せば」,眺望。
「近渡(ちかきわた)りを」,所去不遠。或一水相隔,或一路之遙。
「徘迴(たもとほ)り」,迂迴,避開人目而刻意繞遠路。
「今(いま)か來坐(きま)すと」,期待對方立刻出現。

2380 【承前,卌七十三。】
 早敷哉 誰障鴨 玉桙 路見遺 公不來座
 愛(は)しきやし 誰(た)に障(さは)れかも 玉桙(たまほこ)の 道見忘(みちみわす)れて 君(きみ)が來坐(きま)さぬ
 慎矣愛憐兮 是為誰人所障哉 玉桙華道兮 忘失來路迷千衢 久俟吾君不來會
柿本人麻呂 2380

「愛(は)しきやし」,諷刺所愛男子變心不來之曲。
「誰(た)に障(さは)れかも」,「障(さは)れかも」乃疑問條件語。
「忘(みちみわす)れて」,原文「遺」,『萬象名義』云:「忘失也。」

2381 【承前,卌七十四。】
 公目 見欲 是二夜 千歲如 吾戀哉
 君(きみ)が目(め)の 見(み)まく欲(ほ)しけく 此二夜(このふたよ) 千年如(ちとせのごと)も 我(あ)は戀(こ)ふるかも
 難堪相思情 欲拜君眉守空閨 短短此二夜 猶如千秋萬歲長 誠因妾身焦戀矣
柿本人麻呂 2381

「見(み)まく欲(ほ)しけく」,「見(み)まく欲(ほ)し」之く句法,中古語願望助詞「まほし」之古型。
「此二夜(このふたよ)」,苦苦等待男方來訪的兩晚,猶如千年之久。

2382 【承前,卌七十五。】
 打日刺 宮道人 雖滿行 吾念公 正一人
 內日射(うちひさ)す 宮道(みやぢ)を人(ひと)は 滿行(みちゆ)けど 我(あ)が思君(おもふきみ)は 唯一人(ただひとり)のみ
 內日照臨兮 康莊宮道猶若市 雖然行人眾 然吾朝思且暮想 鍾情掛心唯君耳
柿本人麻呂 2382

「宮道(みやぢ)を人(ひと)は 滿行(みちゆ)けど」,自平城京正面玄關羅城門至平城宮朱雀大路平城京人口約十萬,宮內勤務者蓋一萬餘。
路上人口再多,鍾情只為一人。類歌3248、3249。

2383 【承前,卌七十六。】
 世中 常如 雖念 半手不忘 猶戀在
 世中(よのなか)は 常如是(つねかく)のみと 思(おも)へども 片手忘(かたてわす)れず 猶戀(なほこ)ひにけり
 雖知空蟬兮 火宅世間總猶是 不能如所願 然而此情不能忘 尚猶戀慕盡徒然
柿本人麻呂 2383

「世中(よのなか) 常如是(つねかく)のみと」,世間總不如意。雖然知道如此,卻難控制自己的心情。

2384 【承前,卌七十七。】
 我勢古波 幸座 遍來 我告來 人來鴨
 我(わ)が背子(せこ)は 幸座(さきくいま)すと 歸來(かへりき)て 我(あれ)に告(つ)げ來(こ)む 人(ひと)も來(こ)ぬかも
 杳然無音訊 誰能歸來報佳音 言吾夫子者 安然無恙總安平 來告之人不有哉
柿本人麻呂 2384

「我(わ)が背子(せこ)は 幸座(さきくいま)すと」,「幸(さき)く」為無恙之意。羈旅之人於異地見到作者丈夫,傳達其無事之語。
「人(ひと)も來(こ)ぬかも」,「ぬか」表希求。「も」有至少之意。

2385 【承前,卌七十八。】
 麤玉 五年雖經 吾戀 跡無戀 不止恠
 新(あらた)まの 五年經(いつとせふ)れど 我(あ)が戀(こ)ふる 跡無(あとな)き戀(こひ)の 止(や)ま無(な)く怪(あや)し
 萬象復更新 五年光陰雖已逝 吾之所戀慕 渺茫無跡此情之 至今不絕甚恠矣
柿本人麻呂 2385

「跡無(あとな)き戀(こひ)の」,毫無行跡,意旨夢幻、渺茫、難以依褚。

2386 【承前,卌七十九。】
 石尚 行應通 建男 戀云事 後悔在
 巖(いはほ)すら 行通(ゆきとほ)るべき 大夫(ますらを)も 戀(こひ)と云(い)ふ事(こと)は 後悔(のちのくい)あり
 縱令堅巖兮 尚能貫通行越之 巍峨大丈夫 唯有情關總難過 徒留追悔恨相逢
柿本人麻呂 2386

「巖(いはほ)すら 行通(ゆきとほ)るべき」,無論如何障礙都可排除之壯士。
「後悔(のちのくい)あり」,後悔陷於戀情無法自拔。